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15 開戦前夜②

「二人が知り合いというのであれば何も問題ないな。ではユーマくん、シスターセフィリアが聖印を施した武具に重量軽減の追加付与を施してくれ。魔力同調ができるきみなら大丈夫だろう」


 勇馬は以前メルミドの街にいるときに他人の施した付与を生かしたまま追加の効果を付与する作業をしたことがある。

 付与師の世界では『魔力同調』と呼ばれる技術であり皆が皆使えるわけではない。



 トーマスが部屋を出た後、運搬作業を終えたアイリスと合流すると勇馬はセフィリアにあてがわれている作業部屋の空いているスペースを自分用の作業場所と決めた。


 セフィリアにはマジックペンや印判を見られるわけにはいかない。


 アイリスは勇馬の奴隷であり他言を禁じる命令ができるがセフィリアに対してはそうはいかない。


 そのため勇馬はセフィリアには自分の作業を見られないよう、彼女の死角となる場所で作業をすることにした。


「ユーマさん、そんな部屋の端の暗い場所で作業をされず、もっと明るい広いところでされてはいかがですか?」


 セフィリアは勇馬が自分に遠慮してわざわざそういったところで作業をしていると思いそう声を掛けた。


「いえ、お気になさらず、俺はこういった場所の方が集中できるので」


 セフィリアは納得のいかない表情をしていたが、「そう言われるのでしたら」とそれ以上は言ってこなかった。


 セフィリアが聖印を施し終わった武具をアイリスが台車に載せて運んでくる。


 聖印とは聖職者が武具に光属性の属性付与を施すことであり一種の付与魔法である。


 付与魔法ギルドでも属性の付与をすることはできるが業務として引き受けているのは基本4系統と言われる火・水・土・風の属性だけであり光属性の付与は引き受けていない。

 これはそもそも光属性を持つこと自体が特殊でありそれを一般的な業務としてこなせるだけの者が付与魔法ギルドにはいないからである。


 一方、教会は正式には聖教会という名前であり、その名が示すとおり、古くから光属性に関わる技術や技法を扱ってきた。

 そのため、ことこれらに関しては付与魔法ギルドにも引けをとらない。


 セフィリアがわざわざ付与魔法ギルドで作業をしているのは明日にも始まるであろう戦闘を前に武具の準備のため付与魔法ギルドには性能強化のために多くの武具が集められているその都合上だ。


 今回相手となるアンデッド系の魔物には光属性の武具が何よりも適している。




(まずは重量軽減20%の版下を作るか)


 勇馬はセフィリアが見ていないことを確認すると版下作りをし、マジックペンを印判モードにすると『+重量軽減20%』の印判を完成させた。


 そしてアイリスが次々と運んで来る武具にぽこん、ぽこんと印判を押していく。


 元々セフィリアが聖印を施し終わった武具の数がそう多くはなかったことからものの数分で勇馬の作業は終わった。


「セフィリアさん、今できる作業は終わりましたのでいったん戻ります。また時間が経ったら戻ってきますので」


「もうですか!? 流石はギルドマスター推薦の付与師さんですね。まだお若いユーマさんがここまで優秀な方だとは正直思いませんでしたわ」


 セフィリアの聖印付与のペースを踏まえて、勇馬は夕方前にはまた戻って来ると告げて部屋を後にした。


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