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9 不死の軍団

 ここはレスティの街の北西にある『魔の森』と呼ばれる森。


 とある冒険者パーティーが採取クエストを受けて森の中を歩いていた。



「おい、魔物だ。アンデッドがいるぞ!」


「了解、戦闘態勢に入る」


 斥候の言葉に他のメンバーたちが準備に入る。


「1体、2体……何だ、まだいるぞ!」


 敵の数を伝えようとした斥候の様子がおかしい。


「どうした、敵は何体だ?」


 そう尋ねたときには斥候はあっという間にメンバーたちの元へと戻ってきていた。


「引くぞ! あの数はダメだ。とにかく逃げろ!」


 訳も分からず斥候のメンバーについてその場を離脱する他のパーティーメンバーたち。




「いったいどうしたんだ? 何があった? 何を見た?」


 森の中から外へ出て一呼吸置いたところでパーティーのリーダーが尋ねた。


「ざっと見て10体以上、その奥にもそれ以上の気配があった」


「そんなにか! この辺りではこれまでそういった話は聞いたことがないぞ」


 斥候の話を傍で聞いていた他のメンバーがそう口を出した。


「嘘を言ってどうする。とにかくやばい数ということだけは確かだ」


「……これはギルドに戻って報告した方がいいか」


 この冒険者パーティーはクエストを中断して急ぎレスティへと戻り、冒険者ギルドに『魔の森』の異常を伝えることになった。





 ちょうどそのころ、レスティの街の西にある原野で警戒監視中の第三騎士団の一個小隊は地平の果てに見えるある存在に気付いた。


「隊長殿、あれは何でありましょうか?」


 ある隊員が地平の彼方に見えるうごめく黒い存在に気が付いた。


「遠すぎてよく見えんな……よし、誰か馬で偵察に行ってこい」


 その言葉を受けて若い隊員が地平目がけて馬を駆る。そして数時間後にはその隊員が慌てた様子で戻ってきた。


「大変です! アンデッドの群れです。数はおよそ500! 皆が揃って同じ方向へ向かって進行しています」


「このままこの方向に進むとなると行先は……レスティか!」


 魔物の行先を予想した小隊長はその結果に戦慄する。


「一刻も早くレスティにこのことを伝えるのだ。近くの村々にも念のため避難するよう伝えよ」


 こうして騎士団によって魔物襲来の凶報がレスティにもたらされた。


 報告を受けた騎士団は直ぐに領主である辺境伯に報告し、臨時の会議が開かれる。


「こっちでも先ほど大量の魔物の発生の報告を受けた。魔の森の浅いところでアンデッドが多数との報告だ」


 冒険者ギルドのギルドマスターであるウルガンが開口一番そう告げた。


「今回の騎士団の報告は西の原野だ。ということはそれとは別の動きもあるということか」


「しかし、魔物の大量発生があるとはいえ、群れになってくるということはあるのでしょうか」


「スタンピードではないのか?」


「しかしスタンピードは一種の集団による異常行動と言われているではないか。報告によれば魔物の群れは粛々としたまるで軍隊のように統率された動きだったそうじゃないか」


「……わからん」


「とにかくアンデッドの群れがこの街に迫ってくるかもしれんということだ。監視を継続するとともに他の方からも同様の動きがないかを確認せよ。教会には念のためアンデッド対策の要請を。冒険者ギルドは不要不急のクエストは停止し緊急クエストの準備をせよ」



 こうして準備に入り一夜が明けた。


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