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19 勇馬を取り巻く周辺事情②

 エリシアとマリーが勇馬についての話をしているころ、勇馬はお昼ご飯を食べに宿まで戻っていた。


 勇馬はメニューを見ながら何にしようかと悩んでいた。



「ユーマさん、ご注文はお決まりですか?」


 ウェイトレスの女の子が注文伺いにやってきた。


 彼女の名前はフィーネ。

 先日勇馬が依頼を受けたこの宿のオーナーであるオルドスの孫娘である。


 フィーネの年齢は17歳。

 明るい茶色の長い髪をした彼女は顔立ちの整っている美人な女の子でこの宿の看板娘だ。

 成人が15歳であるこの世界では立派な大人であるとはいえ日本でいえば高校生にあたる。


 勇馬としては年下ということで気楽に接することができる数少ない知り合いだ。


「ちょっと迷っていてね。う~ん、フィーネちゃんのお勧めってどれ?」

「そうですね~。勿論なんでもおいしいですけど『ホウロウ鳥の天ぷら定食』とかどうですか?」

「じゃあそれで」


 元々長期滞在の勇馬はこの宿の従業員とも顔なじみとなりつつあった。


 それに加えて先日宿のオーナーであるオルドスの依頼をこなし、この宿の危機を救ったことでこの宿では一目置かれる存在となっていた。


 ウェイトレスのフィーネだけでなく、主に受付をしているカリナともちょっとした会話を交わすほどの仲にはなっている。



「おまたせしました。『ホウロウ鳥の天ぷら定食』です」


 注文してしばらく待つと揚げたての天ぷらとともにご飯とみそ汁がついた定食が運ばれてきた。


 この世界に来て勇馬が驚いたことはパンだけでなく米、つまりご飯食も普通に食べることができることである。

 他にも味噌やしょうゆも使われている。


 勇馬とすればライトノベルのお約束である和食探しの旅ができない寂しさはあったものの、そもそもないかもしれないものを探さなくてもいいことはありがたかった。

 それに加えて原料があっても元々作り方なんて大して知らないし試行錯誤するのも勘弁して欲しいところだったので大いに喜んだ。




「ごちそうさま」


 昼食を終えると建築ギルドからの指名依頼だ。


 あれから建築屋のロッシュの紹介で他の建物についても『防音』や『防水』,『強化』の依頼を受けるようになった。


 とはいえ、付与魔法はあくまでも魔法の付与によって一時的に性質を変化させているというだけなので、その付与内容を解除することも可能である。

 解除魔法ともディスペルマジックとも呼ばれるものが一応は存在するため、あくまでも応急処置として扱われる。


 そういった事情から芋を洗うように依頼が殺到するということはないが、ときおり依頼の話が来るようになった。

 件数は少ないものの建築に関するものであるだけに1件あたりの金額が武具への付与に比べると太い。


 通常の付与師であれば複数人でチームを組んでそこそこ時間を掛けて付与する仕事であっても勇馬は武具に付与するのと同じ感覚でこなしてしまうので稼ぐ効率は段違いであった。




 勇馬の貯蓄目標は300万ゴルドだ。


 単に奴隷を買うだけならば手付金を除いた290万ゴルドでいいのかもしれないが、奴隷の私物の購入やいざという場合の備えを考慮してプラス10万ゴルドで目標額を設定している。

 


 目標の300万ゴルドに向かって勇馬は今日もマジックペンで書き続けた。


2022.1.22

最新話の関係でフィーネの容姿等を追記

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