28 一緒に
「ルナールさん?」
勇馬の部屋へと入ったアイリスの目に飛び込んできたのは狐耳の少女の姿であった。
ルナールは昨夜と同じ様に白い襦袢を身に着けベッドに腰掛ける勇馬の側に立っていた。
(どうしてルナールさんがここに!?)
アイリスは勇馬と2人きりになるものだと思い込んでいたため予期せぬ第三者の存在に内心狼狽した。
しかし何とか表情だけは取り繕い、澄ました顔で勇馬に顔を向けた。
「あっ、主様。お呼びにより参上致しました」
わずかにどもってしまったがそんなアイリスの内心を知ってか知らずか勇馬は気にする素ぶりをまったく見せなかった。
「うん、今日はアイリスも一緒にと思ってね。ルナールさんには事前に話は通してあるから今日は3人でやろう」
勇馬はそう言ってルナールに視線を向けるとルナールは顔を赤くして俯いた。
(わっ、私、初めてが3人でなんて……)
アイリスが呆けた表情をしていると、勇馬がアイリスの元へと歩み寄り、アイリスの手を掴んでベッドまで引き寄せた。
「さあ、アイリスも遠慮しないで」
主人にそう促されてアイリスも覚悟を決めた。
それから30分。
部屋には3人の男女の熱気が籠っていた。
「アイリス、初めてだって本当なの? 随分上手だけど?」
「ええ、こんなことをするのは本当に初めてです。でも興味はありましたから」
「そうなんだ。まあ、それも才能かもしれないな。それにしても見てよルナールのこの表情、とっても気持ちよさそうじゃないか」
アイリスはルナールの表情を見ながら彼女の敏感な部分を少しずつ刺激していく。
「どうやらこの部分がいいみたいですね」
アイリスはルナールのわずかに変わっていく表情を見ながら少しずつ手を動かしていく。そしてその手がコリッとして固くなった部分を感じるとわずかにだけ力を入れてきゅっきゅと摘まんだ。
「んんっ!」
突然の快感にルナールは嬌声を耐えようとしたもののわずかながら声が溢れた。
「おっ、今こっちがビクってした。よっぽど気持ち良かったんだな。そこがルナールの弱点だったのか、なるほど参考にしよう」
「ふふっ、ではこっちはどうでしょうか?」
アイリスがルナールの下半身に手を伸ばす。
「そこは敏感なところだから慎重にな」
「わかっています。やさしくします」
アイリスは息も絶え絶えになっているルナールにやさしい表情で目配せをするとふんわりとしたタッチでルナールに触れた。
「どうですか? 痛くはないですか?」
アイリスの問いにルナールはふるふると首を横に振った。
「ではもう少し強くしますね」
アイリスはそう言うとルナールの表情を見ながら力を少しずつ強くしていった。
「ふあっ……」
ルナールは目を僅かに潤ませ蕩けそうな表情をしながら吐息交じりに思わず声を出した。
「アイリス、すごいな。俺がやってもここまでにはならなかったのに」
「だんだん、コツが掴めてきましたから」
アイリスは得意気な表情で続ける。
「そろそろ俺にも代わってくれないか、見ていたらうずうずしてきた」
「わかりました。名残惜しいですが主様に代わりましょう」
「あのっ、ちょっと休ませていただけませんでしょうか? さすがに続けてだと……ちょっとつらいです」
勇馬は湧き上がる衝動をこらえながら、ルナールの頼みを聞き10分ばかり休憩を入れることにした。
その間にアイリスは1階から飲み物を取ってくることにした。
「あら、アイリスちゃん、何だかご機嫌ね」
アイリスはたまたま鉢合わせしたエクレールにそう声を掛けられた。
「えっ、わかりますか?」
「流石にそんな顔をしていれば嫌でもわかるわよ」
そう指摘されてアイリスは自分の顔を両手でさわったり摘まんだりしている。
「それで何があったの?」
「実はですね……」
アイリスがエクレールと話をしている間、ルナールはベッドの上で乱れた息を整えていた。
「その、すまなかったな。まさかそんなに負担が大きいとは思わなくて」
「いっ、いえ、ハァハァ。これもお役目っ、ですからっ、気にっ、気になさらないで下さい」
「それにしてもアイリスがあそこまで積極的だったとはなぁ~」
アイリスが今日この部屋でしたこと。
それはルナールのふさふさの狐耳や尻尾をモフモフしたというただそれだけである。
ただし、ルナールのその消耗具合は勇馬が見ていて心配になるほどであった。
「あまり負担になるのなら今度からアイリスにはさせないようにするけど……」
「いえっ、それはダメです!」
間髪入れずにルナールは勇馬の提案を拒否した。
実はアイリスの隠された超絶テクの前にまたやって欲しいとまでは言えないルナールであった。




