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11 契約発動

 アイリスは近くに置いていた自分のショートソードを抜き、目の前の男に向けた。


 アイリスにとっては見ず知らずの金髪青眼の男が突然家の中に現れたのである。一緒にいたセフィリアは、一瞬、見知らぬ男が現れると「泥棒か」と思い、対峙しようとした。


 しかし、目の前の男から『神気』を感じたため、しげしげとその男の顔を見て気付いた。


「アイリスさん、そのお方は……」


 アイリスがセフィリアの声を聞く前に、先手必勝とばかりに勇馬に向かって剣を振るおうとした。



 その刹那――



 ――からん



 アイリスの手からショートソードが零れ落ちそして床へと落ちた。


「あっ!」

「あっ!」


 アイリスは白目を剥いて気絶し、その場に崩れ落ちる。


 勇馬とセフィリアが同時にアイリスを支えてアイリスの身体が床に叩きつけられるのを防いだ。





「……私は」


 アイリスはリビングのソファーに横にさせられていた。


「! さっきの男は!?」


 アイリスが身体を起こして辺りを見回す。

 するとさっきの金髪青目の男の姿が目に入った。


「アイリスさん、このお方はユーマ様です」


 アイリスが起あがろうとしたとき、セフィリアがそう声を掛けた。


 「……主様あるじさま?」


 アイリスが首を傾げ、改めて目の前の男の顔を見る。

 確かに色は違うが、顔の作りは勇馬のそれであった。


「もっ、申し訳ありません。とっさのことで主様あるじさまとは気付かず」


 アイリスはソファーから起き上がると勇馬の前に膝をつき頭をさげようとした。


「いや、俺の方こそ悪かった。ちゃんと説明してからすればよかったんだけど」


 勇馬も心配の種がなくなり舞い上がっていたことからそこにまで思いが至らなかった。


 その結果、思いもかけず、奴隷が主人を害そうとしたときに起こる奴隷契約の効果を目の前で見せつけられることになった。


「それにしてもセフィリアは俺だとわかったみたいだけど」


「わたくしがユーマ様の神気を間違えるということなどあるわけがありませんわ」


 セフィリアが自身満々にそう答える。


 それをアイリスは悔しそうな表情で眺めることしかできなかった。


 




 その後勇馬はシェーラとケローネを呼んで再び話し合いを始めた。


「変装すれば俺だってわからないだろう。予定どおりレスティに行こうと思うんだけど、その後みんなはどうしたい? このままここでこれまでと同じように生活する?」


「私は主様あるじさまについていくだけですのでお任せします」


「わたくしもユーマ様とご一緒しますわ」


「シェーラとケローネはもうすぐ護衛契約は終わりになると思うけどその後はどうする? レスティに戻るならちょうどいい機会だと思うけど?」


 2人が護衛としてレスティに戻ればそこでちょうど護衛契約期間が終了する。2人が再びレスティを中心に冒険者として活動するつもりなのであればこれ以上ない効率のクエストだったということになる。


「これからのことはまだ決めてないよ。ちょっと2人で話をさせてもらってもいい?」


「わかった。明後日あさってには更新するかどうかを伝えないといけないからなるべく早く頼むよ」


 もしもシェーラやケローネがパーティーから離脱するのであれば広いパーティーハウスは必要ないし、今後の活動場所を含めて考える必要がある。


 勇馬はシェーラたちの選択を待つことになった。

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