表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/226

10 困ったときの

 勇馬がエリクサーを手に入れた翌日。


「ちょっとレスティへ行こうと思うんだ。そろそろパーティーハウスを更新するかどうかも決めないといけないのもあるしみんながこれからどうしたいか考えを聞かせてくれない?」


 朝食後、勇馬は他のメンバーにそう切り出した。


「しかし、主様あるじさま。レスティに戻って大丈夫でしょうか?」


 勇馬の言葉にアイリスが不安を口にした。


 勇馬が逃げるようにレスティを離れたのは勇馬が付与師として常識外れの力を示し、それによって勇馬の身に何か起こる可能性を危惧したからだ。


 もしも勇馬がレスティに戻ったことを知られれば最悪なんやらかんやら理由を付けて身柄を拘束されることがあるかもしれない。


「そうだな。確かにその可能性はあるな」


 勇馬は一市民のつもりでもこの異世界では珍しい黒髪黒目という特徴をもっている。


 誰かが勇馬を探していればまずこの特徴で回状が回っているだろう。


 勇馬とすればレスティにいるエクレールに会いたいだけであるため、近くまで行ってシェーラやケローネに呼び出してもらうということでも、エクレールをこちらに呼ぶということでも構わない。

 しかし、一刻も早くエクレールに会いたいという思いがあり、もう一方の当事者であるクレアにも会っておきたいという気持ちもある。クレアは足が悪いため街の外に来てもらうことはできる限り避けたいとも思うことからできるのであれば自分が直接レスティに行くのが一番だと思った。


 一旦話を保留として、勇馬は自室に戻るとマジックペンを顕現させ、「メニュー」と唱えた。


 何か新しい機能がないかを確認するためだ。


 困ったときの『神(のペン)』頼みである。



 ――マジックペン(レベル5・メイクアップペン) 


『人の身体の一部(髪・目・肌など)の色を変えることができる。色については任意の色に調整できる。キャップの色は虹色』




「……何とタイムリーだな」


 勇馬としてはどこかで神が見ているのではないかと思う程だがいい方の話であれば自分としては何の問題もない。


 早速、自分で試してみることにした。


「俺の黒髪はこの世界では流石に目立つからな。黒髪を金色にしてみるか。それに目の色を青色に」


 勇馬はペンを金色にするよう念じると、ペン先が金色に変わった。それを鏡の前で自分の髪に押し付けると押し付けた辺りからみるみる黒色が金色へと変わっていく。


「おおっ、俺の髪が金髪に……」


 地球にいるときには髪を染めたいとは思ったことはなかったが、こうして髪の色を変えてみるとガラっと印象が変わる。


 次は目の色を変えようと勇馬はペン先を明るい青色に変える。


 しかし、ペン先を目に押し当てるということはちょっと怖かった。


まぶたで勘弁してくれないかな?」


 そんな思いでまぶたにペン先を当ててみると勇馬の願いが叶ったのかまぶたの色はそのままに瞳だけが青色となった。


「よし、これでいけるな!」


 勇馬の目の前にある鏡に映るのは金髪でサファイアブルーの瞳の若い男だ。

 日本では目立つ容姿かもしれないがこの異世界では少なくない身体的特徴であり一見の者であれば誰も勇馬だとは思わないだろう。


 勇馬はさっそく1階に降りてみんなの前に顔を出した。





「!? あっ、あなたは誰ですかっ!」


 2階から降りてきた勇馬を見てアイリスがそう叫んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ