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【完結】マジックペンで異世界探訪(たんぽう)~ペンは剣よりも強し  作者: 言納智大
第2部 第1章 ダンジョン都市サラヴィ編
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28 オークション会場へ

「うふふ、ユーマ様と2人きりですわ」


 護衛という建前ではあるが行く場所は真昼間まっぴるまの街の中心部。


 よほどのことが無い限り危険はないということでセフィリアはデート気分であった。


 服装もダンジョンを潜るときのようなシスター服ではなく、以前勇馬に買ってもらった服を着ている。


 髪の毛の色に合わせた薄いピンク色を基調としたワンピースで、動きやすさも一応考えたスカートの形状となっている。セフィリアの持つトートバックは一見おしゃれアイテムに見えるが中にはフライパンと何かあったときのためのアイテムが入っている。

 


 オークション会場の入り口で招待状を出すと引き替えに番号の記載されたカードとこの日オークションに掛けられる予定の品物のことが書かれたパンフレットを手渡された。


 オークションではそのカードの番号ごとに席が割り当てられている。


 ちなみに勇馬に割り当てられた席は周囲が壁に覆われ、前面のみがガラス張りとなった個室となっている。

 

 入札自体はそれぞれの席や個室に備え付けられているボタンを押して入札意思を示す仕組みだ。これは入札者や落札者をわからないようにして権力者が下の身分の者に対して圧力を加えたり、後で嫌がらせをすることを防ぐためである。


 自由な入札は当然落札価格を押し上げ、その結果オークション主催者であるこの街が潤うことにつながるため主催者もその辺りには気を遣っている。


 勇馬の案内された個室は会場のちょうど中心部であり、内装も何となくだが豪華な部屋になっていた。


 他の個室を見ていないので比べることはできないが、招待者用の個室でありいわゆるVIP用の部屋なのだろう。

 

 勇馬は個室に入って椅子に腰かけると受付でもらったパンフレットを開く。


「おー、いろいろあるんだな」


 パンフレットに記載されているのは数々のアイテムだ。


 基本的にオークションに掛けられる順番に記載されている。


 まずはダンジョン産のアイテムが並んでおり、ダンジョン産のアイテムについては後にいけばいくほどオークション開始価格が高い目玉商品がくるようになっている。

 

 ダンジョン産アイテムの他には、商人たちが出品している物が並ぶ。

 

 ダンジョン産のアイテムに引けを取らない物も多くあるようだが特筆するべきことはアイテムに限らず奴隷という「物」も含まれることだろう。


「こうやってざっと見ると、今日の一番の目玉はエリクサーみたいだな」


 エリクサーとは霊薬とも呼ばれる貴重な薬である。


 ダンジョンにおいても下層においてときおり宝箱から入手できたり、フロアマスターからのレアドロップで入手できることがあると言われている。


「は~、オークション開始価格2000万ゴルドですか」


 勇馬の後ろからパンフレットを覗き込んでいたセフィリアが溜息混じりにそう呟いた。


「開始価格だからもっと上がるんだろうな。目安となる落札金額は3000万から5000万らしいぞ」


「それだけあったらしばらくお仕事はお休みですわね」


 一攫千金を目指す冒険者が後を絶たないのはこういうことがあるからである。


 勿論手数料や税金をとられはするが、それでもかなりの金額が冒険者たちの手元に残ることになる。


 高価なアイテムを入手するためにはそれ相応の力が必要となるし、エリクサークラスとなればそれが入手できる場所へたどり着くにはAランク以上の冒険者が複数でパーティーを組んで、それ相応の準備をしなければならないだろう。


 しかし、それは置いてもうらやましいこと限りない話である。


 勇馬は次第に人が増え始めるオークションの会場を眺めながら、のんびりと開始を待った。

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