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【完結】マジックペンで異世界探訪(たんぽう)~ペンは剣よりも強し  作者: 言納智大
第2部 第1章 ダンジョン都市サラヴィ編
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21 主(あるじ)とメイド

 アイリスはメイド服の姿のままパーティーハウスの掃除をしていた。


 昨日の入居日には必要最低限の掃除しかできなかったため今日から本格的に掃除を始めようと朝から意気込んでいた。


「そんなに汚れているようにはみえないけど」


「いえ、これは放置できません。こんなのを放置していたら先生に叱られてしまいます」


 アイリスの言う先生とはアイリスにメイドとしてのあり方、『メイ道』を教えてくれたレスティの街に住むメレナのことである。メレナはレスティの領主であるリートリア辺境伯家の元メイド長であり、彼女のメイドとしての水準は上級貴族の家のそれである。


 一方、地球にいるときからザ・庶民である勇馬は多少の汚れくらいは気にしない。


 このパーティーハウスも基本的には冒険者パーティー向けということもあり、元々管理する側も冒険者の水準での最低限度の管理であったこともありアイリスが叩き込まれた水準からすれば物足りないのは仕方がなかった。


 メレナにメイドとしての教育を頼んだのは他ならない勇馬ではあったがちょっと教育レベルが高すぎたかな、と今になって思ったり思わなかったりした。



(まあ、大は小を兼ねるということでいいかな。アイリスには追々ほどほどでと言っておけばいいか)



 勇馬はそう思いながら自分の部屋へと戻り、自分の荷物を整理することにした。


「そういえば、手紙を出していなかったな」


 リートリア辺境伯領の領都レスティにいる間は、メルミドの付与師ギルドの受付嬢のエリシアと手紙のやりとりをしていた。


 レスティから離れる直前にエリシアから手紙が来ていたが直ぐに魔物の襲撃がありそのままレスティからこのサラヴィに来てそのままになってしまっていた。



(そもそもこっちの場所を伝えていいのかどうか、ってことなんだよな~)



 勇馬は自分の秘密にしていた能力を周囲に知られてしまい、それが原因で何があるかわからないということで隣国であるこの国にまで逃げて来たというのが実情である。



(手紙をもらってそのままってのは落ち着かないしな。どこにいるのかはさておいて元気にやっていることだけは伝えておきたいな)



 勇馬は部屋でエリシア宛の手紙を書くと、外へ出しに行くことにした。


 付与魔法ギルドのギルド便を使うとどこにいるのかがわかってしまいかねないため、冒険者ギルドか商業ギルドのどちらかに親書配達依頼を出すことにした。


 部屋から出て廊下を通るとアイリスがまだ先ほどと同じように作業をしていた。


「アイリス、あまり根を詰めなくてもいいからな。ほどほどにだぞ」


「あと少し、あと少しですので」


 勇馬としてはそんな奴隷を放っていくことが憚られたのでしばらくアイリスの作業を見守ることにした。


 台の上に立って窓ガラスを磨くアイリスは右に左にとせわしくなく動いていく。


 そのたびに、小ぶりではあるがきゅっと引き締まったお尻も左右に揺れ、勇馬はそこから視線を離すことができなかった。


 勇馬が換えのメイド服として「今度はミニスカメイド服を用意しよう」と強く決意したことは秘密である。

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