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【完結】マジックペンで異世界探訪(たんぽう)~ペンは剣よりも強し  作者: 言納智大
第2部 第1章 ダンジョン都市サラヴィ編
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19 入居

 パーティーハウスへの入居には特に時間は掛からなかった。


 元々身軽な冒険者であり大した荷物はない。


 パーティーハウスには備え付けの家財があるため寝具に掛けるシーツやカバーを買うくらいで生活が始められた。


 勇馬は自分の部屋に荷物を置くと直ぐに付与魔法ギルドへと出掛けた。


 留守を預かるのはアイリスと仲間たちだ。


「ユーマ様はお仕事ですの?」


 台所で掃除をしていたアイリスにセフィリアがそう声を掛けた。


「はい、ただ今日は早めにお昼ごろには戻られるとおっしゃっていました」


「ではそれまでにわたくしも掃除を致しましょう」


 シェーラとケローネの2人も自分たちの部屋の掃除をしている。


 シェーラもケローネも孤児院育ちであり、孤児院を出た後は野宿か宿を転々とする生活であったため自分だけの部屋を持ったことはない。初めての自分の部屋ということでその意気込みは強いものがあった




「帰ったよ」


 お昼になる前に予定よりも早く勇馬が戻ってきた。


 その時間にはおおよそ掃除も終わっており4人でお昼ご飯をどうするかという話をしていたところだった。


主様あるじさま、ちょうど良いときにお戻りになられました」


 アイリスはそう言って勇馬に昼食をどうするか相談した。


「今日は外に食べに行こう」


 パーティーハウスはきちんと管理がされていたためそこまで汚れていたわけではなかった。


 しかし、どうしても埃が溜まってしまうことは避けられないし、生活に必要なものは次から次へと目につき買い物に2度3度といくことになれば食事を作るのも労力的にはばかられた。


「明日からのことは食事のことも含めて後で話し合いましょう」


 セフィリアがそう話をまとめ5人は昼ご飯を食べに外へと出掛けた。





「それで明日からはどう致しましょうか」


 街の食堂での昼食を終えて一心地着いたところでセフィリアがそう切り出した。


「そうだね。宿じゃないから自分たちでしないといけないよね。取り敢えずは当番を決めるようか。食事についてはあれだったら外に食べに行くというのでもいいけど……」


主様あるじさま、せっかく立派なキッチンがあるのですから使わないのはもったいないと思います」


「そうだね、アイリスの手料理を食べないのはもったいないよね」


「ううっ、でもボクたちは大したものは作れないよ」


「まあまあ、少しずつ勉強すればいいですわ」


 結局食事は朝と昼は各人で、夜は週に2回は外食にして他の日は1人週に1回ずつ当番を決めて担当することになった。


 ちなみに勇馬の当番日にはアイリスがすることになった。


 アイリスがあるじである勇馬に食事を作らせることになるためアイリスが反対したのだ。


 もっともセフィリアの希望で勇馬の気が向いたときは手料理を振る舞って欲しいと言われているのでときどきは作る約束になっている。


 その他の当番もアイリスが勇馬に割り当てられた当番を代わりにするということで割り振りが決まった。

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