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【完結】マジックペンで異世界探訪(たんぽう)~ペンは剣よりも強し  作者: 言納智大
第2部 第1章 ダンジョン都市サラヴィ編
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18 ショッピング

 

「今日は時間が空いたね。せっかくだから街で店を見て回ろうかな」


 アイリスは以前に買った地味な服装だし、セフィリアに至ってはいつもシスター服である。


 シェーラは旅人服で、ケローネは魔法使いらしいローブを着ている。


 ハーフエルフのアイリスは言うに及ばず他の3人もかなり整った容姿をしている。


 道ですれ違った男どもが振り返ることも少なくない。


 そのため、4人にはどうせならもっといい恰好をして欲しいと勇馬は思った。


 よく考えてみればこうしてみんなで街へ出て何かをするということをしたことはなかった。


「もしよかったら服を見に行かない?」


 異世界とはいえ女性は服が好きなようであり勇馬の提案にみな二つ返事で賛同した。服は買わなくても見るだけでやはり楽しいのだろう。


 勇馬はそこまで高価でなければ皆に買ってあげるつもりだった。


 



 勇馬たちは、街の中心部にある服を取り扱う店が集まっている区画までやってきた。


 ラノベのお約束では女性陣が長々と選ぶのをうんざりして待つというものだが勇馬としてもどんな服があるのか見てみたいということもあり服選びに付き合った。というよりも少なくとも勇馬の選んだ服をアイリス用に1着は買うつもりである。


「結構いろいろな服があるんだな……」


 村娘が着ていそうな大人し目の色合いのワンピースから貴族がお茶会に着て行くような豪奢なドレスまで様々である。


 この世界は階級の差が激しいからか日本にいたときに比べるとぴんからきりまでが幅広い。


 勿論、店によって相手にする層が別れているため、一つの店だけでは似たような傾向の服しか見ることはできない。

 色々見て回ろうとすればどうしてもはしごすることになる。


「これなんかアイリスに似合うんじゃないか?」


 何軒目かの店でたまたま目にした服を勇馬は指差した。


 明るいパステルカラーのワンピースである。


「どうでしょう。アイリスさんにはこちらの色合いの方がよろしいのではないでしょうか?」

「ボクはこっちの方がいいと思うけどな~」


 勇馬の提案にセフィリアとシェーラが異論を唱えた。

 くだんのアイリスは服というよりも服に付けられた5万ゴルドの値札を見て言葉を失っている。冒険者の装備品に比べれば安いとはいえ市民が買うにはこの世界では高価な部類だ。



(奴隷が着る服じゃないですよ~)



 アイリスの心の声が言うとおり、この店は貴族の子女を顧客層としていて価格帯はややお高めの部類である。

 とはいえ、貴族でもハイクラスを対象とするほどのレベルではなく下級貴族の子女がカジュアルに日常使いで着る程度なので驚くほどのものではない。


「まあ、俺が気に入ったから取り敢えずこれは買っておこう。アイリスも何か欲しいものがあったら買うから言ってね。他のみんなにもこれまでのお礼も兼ねてプレゼントするから欲しい物があったらどうぞ。ただあまり高すぎるのは勘弁して下さい。まあ、5万くらいまでだったらいいかな」


 勇馬の言葉にセフィリア以外の3人の表情が固まった。


 最近彼女たちが冒険者としてダンジョンに潜って日銭を稼ぐようになったがそれで5万ゴルド稼ぐのはやはり大変である。

 特にこれまで余裕のない生活をしていたシェーラとケローネはわかりやすく動揺した。


「そ、そんな高価なプレゼントは受け取れません」

「そうだよ。ボクたちに何かあるのかと思われちゃうよ」

「まあ、上限というだけで安い物でよければそれでもいいからね。まあ、無理にとは言わないけれど」

「せっかくのユーマ様のお心遣いですからわたくしは遠慮なくいただきますわ。でしたらユーマ様、わたくしの服も選んでくださいませんこと?」


 そう言ってセフィリアは勇馬の腕をとると勇馬を連れて他の服を見て回った。


 最初は遠慮していたシェーラとケローネもセフィリアの遠慮なさに影響されたのか次に回った街娘向けの店で1万ゴルド前後の服を購入した。


「ユーマさん、今日はありがとうございました」

「ありがとう!」

「大事に使わせていただきますわ」


 勇馬は店から出るとケローネとシェーラに続いてセフィリアからそう声を掛けられた。


「これからもよろしくね」


 勇馬は明日から始まるみんなとの共同生活に思いを馳せながらそう答えた。

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