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【完結】マジックペンで異世界探訪(たんぽう)~ペンは剣よりも強し  作者: 言納智大
第2部 第1章 ダンジョン都市サラヴィ編
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7 いざダンジョンへ

 ここまで読んでいただきました皆様ありがとうございました。

 また、ブックマーク・評価といった反応レスポンスを下さった皆様ありがとうございます。

 励みになっています。

 勇馬が余裕をこいて付与魔法ギルドで無双をしているころアイリスたちはダンジョン入口の外にある広場にいた。


「さすがに人が多いですね」


 アイリスはそう言いながら周りに視線を彷徨わせた。


 入口周りにはダンジョンに入ろうとする冒険者たちだけではなくその冒険者を相手にする店や露店も多くあり活気に溢れている。


「まずは入場手続きをしないといけませんわ」


 ダンジョンはこの街が管理していて入るためには入場料を支払う必要がある。


「1週間、1月単位で支払いをした方が割安になるんですね。今日はどうしますか?」


「日帰りの予定ですし最初ですから1日分だけ支払いましょう」


 アイリスの問いにセフィリアがそう答えると4人は受付口へと並びそれぞれ入場料を支払った。


「セフィリアさんはダンジョンに入られたことがあるんですか?」


「ええ、何度か潜ってますわ。ただ、今回の様にパーティーで潜るのは初めてですわね」


 ケローネにそう返したセフィリアの言葉に他の3人は絶句した。


 一般的に冒険者は複数人でパーティーを組んでクエストを受注することが推奨されている。そうでなくても皆それぞれに得手不得手がありお互いに足りないところを補う必要があるし1人では不測の事態に対応できない。


「他の方とはパーティーを組まれなかったのですか?」


「そうですわね。まあ、わたくしの場合は元々専業の冒険者ではありませんでしたから。わたくしとしてはお使いやボランティアという意識でしたから1人でやることに疑問を持ちませんでしたわ」


 アイリスの疑問にセフィリアが答えているうちにダンジョンの入口に着き4人はセフィリアを先頭に中へと入っていった。


「思ったよりも明るいですね」


 入口の長い下り階段を降りて1階層の入口に到達したところでアイリスがそう漏らした。


 初めてダンジョンの中を体験したアイリスだったが事前にクレアの授業で学んでいたとはいえ、やはり聞くのと実際に見るのとでは大違いだ。

 ダンジョンと聞くと薄暗い、ときには真っ暗な中を灯りを燈して進んで行くというイメージだが少なくとも照明器具が必要となるほどではない。


「とにかくダンジョンは不思議なところですわ。一説によると神の贈りものであり、神の試練とも言われています。いろいろと説明のつかないようなことがありますけれど気にしたら負けですわ」


 わかっていることと言えばダンジョンの中には冒険者を引き付ける貴重なアイテムや財宝があるということである。

 宝箱に入っていることもあれば魔物を倒したときにドロップされることもある。


 ダンジョンの中では魔物や魔獣を倒すと魔石を残してその身体は消滅し、ときおりアイテムをドロップすることがあると知られている。


 一方、ダンジョンの中で命を落とした場合、その者の死体や持ち物は一定時間放置された場合、ダンジョンに吸収される。

 例外としてフロアマスター、いわゆるボス部屋での場合は必ずしもそうはならないようだ。それどころか命を落としたはずなのに生きているということもあるなど、とにかく普通ではない。


 ファンタジーな異世界の中でも群を抜いて不思議な場所がダンジョンという場所である。

 

 そもそもなぜダンジョンの中に貴重なアイテムや財宝の入った宝箱があるのだろうか。


 この世界においても数多あまたの学者たちがダンジョンについてのいろいろな説を唱えている。

 

 セフィリアの言うようなダンジョンは神の贈りものであり試練でもあるという説は聖教会関係者をはじめとする信仰にあつい者から支持されている説である。

 その他にはダンジョン自体が一つの生き物であり意思をもっていて宝箱は人をおびき寄せる餌であるという説、ダンジョンの最下層にはダンジョンのぬし、即ちダンジョンマスターがいてその者が何らかの目的をもって人を誘い込もうとしているという説など細かく上げればきりがない。


 そんな学者たちの論争などは問題ではなく冒険者たちは宝を求めてダンジョンへと潜り続けている。


「今は何階層まで進んでいるのかしら」


 セフィリアが最後にダンジョンに潜ったときには30階層くらいが最高到達階層だという話を聞いていた。


「ダンジョンにはフロアマスターがいるんですよね? やっぱり強いんですか?」


 シェーラが興味深そうにセフィリアに尋ねた。


「そうですわね。5階層ごと、つまり5の倍数の階層のフロアマスターはそれ以外のフロアマスターとは格が違うというのでしょうか。一種の試練の様に言われてますわ。それもあって30階層のフロアマスターは強敵だという噂は聞いていましたけれどどなたかが突破されたのかしら?」


 誰にも倒されたことがないフロアマスターを倒した場合、かなり貴重なアイテムを残すことが知られている。


 一度誰かに倒されたフロアマスターは次回以降現れたときには一段階弱いとされる一方、残すアイテムもそれだけ格が下がると言われている。




「あっ、魔物がいたよ!」


 周囲を警戒していたシェーラがそう言うと皆の表情が引き締まる。


 シェーラが指差す先にはゴブリンが2匹通路を塞いでいた。


「それでは戦闘開始ですわ」


 セフィリアの声で3人はダンジョンでの初めての戦闘を開始した。


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