5 ダンジョン
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付与魔法ギルドを出るころには日も暮れる時間となっていた。
勇馬たちは宿へと戻り少し早い夕食をとることにした。
「それで明日からのことなんだけど」
食堂のテーブルについて勇馬はそう切り出した。
「俺はこれまでと同じ様に付与魔法ギルドで仕事をするつもりだけどせっかくダンジョン都市に来たんだ。みんなはダンジョンに潜りたいんじゃないかな?」
勇馬はシェーラとケローネに視線を向けてそう尋ねた。
「でもボクたちはユーマさんの護衛が仕事ですし……」
「ですです。前金ももらっているのにわたしたちの都合で動くわけにはいきません」
勇馬は少し首をひねって考えるしぐさをすると不意にアイリスに顔を向けた。
「アイリスはどうかな? ダンジョンに行きたくない?」
「えっ、私ですか?」
アイリスは勇馬の奴隷として当然勇馬の仕事の手伝いをするつもりでいた。
そもそも勇馬はアイリスが冒険者となること自体ずっと後ろ向きだったのでまさかその様に水を向けられるとは思ってもいなかった。
「行きたいか行きたくないかと言われれば勿論行ってみたいというのはありますが……」
アイリスは遠慮しながらも自分の正直な気持ちを勇馬に示した。
「それならアイリスには明日から冒険者としてダンジョンに潜ってもらおう。シェーラとケローネは俺ではなくアイリスの護衛としてダンジョンに同行してくれないかな?」
勇馬の言葉にアイリスは勿論、シェーラとケローネも驚きを露わにする。
「しかし主様。それは……」
「聞くところによるとこのダンジョンでは結構なお宝が手に入るという噂みたいだね。お宝は欲しいけど俺はそんな危険な場所にわざわざ入ることはできないよ。というわけでアイリス、俺の代わりに行って取ってきてくれないかな?」
アイリスも勇馬の言葉を額面どおりに受け取るほど浅はかではない。
勇馬が自分の希望を叶えるために敢えて用意した口実であることは直ぐに理解できた。そしてその心遣いを無碍にするほどアイリスも歪んではいない。
「わかりました。主様の代わりにダンジョンから宝を持ち帰ってご覧に入れます」
アイリスの言葉に勇馬は満足そうに頷いた。
「それでセフィリアはどうする? もしもやることが決まってないんだったらアイリスたちと一緒に行って欲しいと思ってるけど……」
勇馬としては冒険者に登録したばかりのアイリスとようやくDランクに昇格したばかりの未成年2人の獣人のパーティーではやはり不安が大きい。
冒険者としての実績のあるセフィリアに加わってもらえるのであればパーティーの頭数という面でも願ったり叶ったりだ。
「わたくしはユーマ様と一緒がいいのですが……そうですわね。ユーマ様がそうおっしゃるのでしたらそれで構いませんわ」
セフィリアも内心勇馬と同じ危惧を抱いていたこともあり勇馬の意図を察して四の五の言わずに勇馬の言葉に頷いた。
「でっ、でもユーマさんの護衛はどうするの?」
「シェーラ、俺は別に街の外やダンジョンに行くことはないから心配しなくても大丈夫だよ」
「でも街の中でも危ないこともあるし……」
「大丈夫だよ、これまでもそんなことはなかったし」
そう言って勇馬は気楽そうに笑った。シェーラは何か嫌な予感を覚えながらもしぶしぶ勇馬の指示に従うことにした。
お疲れ様でした。
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