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30 俺たちの戦いはこれからだ!

 ここまでお読みいただきましてありがとうございました。


 後書きにいろいろと告知をしていますので後書きについても是非読んで下さい。

「なるほど、そういう話だったのか」


 あの後ケローネから聞いた話は、昨日突然トーマスがシェーラたちの宿を訪ねてきて勇馬とアイリスの護衛を頼みたいと言ってきたという。


 先日の魔物襲撃で主だった冒険者たちはしばらく臨時休業ということに加えてシェーラたちは勇馬ともトーマスとも面識があり、ある程度気心が知れているということが理由だ。


「でもシェーラたちはまだEランク、いや確か今回の魔物討伐に参加してDランクになったんだっけか? 護衛依頼は受けることができるのか?」


「いえ、主様あるじさま。恐らくは指名依頼にしているのだと思います。指名依頼であればランク制限はなくなりますので」


「さすがアイリス、わたしの授業を受けていただけはあるね!」


 クレアがアイリスを褒めちぎるとアイリスは頬を赤く染めた。


「護衛の報酬はもうもらっているのでお金の心配はいりませんよ」


 ケローネがそう補足をしてくれた。



 勇馬は昨日トーマスに付与魔法ギルドを辞めること、そしてこの街を離れることを告げた。


 恐らくトーマスも勇馬がこうすることは半ば予想していたのだろう。


 突然の申し出であったにも拘らずトーマスは咎めることなくその申し出を受け入れてくれた。

 それだけでなくこんな心遣いまでしてくれたことに勇馬はトーマスへの感謝の念を深めた。


「それからボクたちはこれを預かって来ました」


 そう言ってシェーラが勇馬に手渡したのはずっしりと重い革袋だ。


 革袋の中には金貨や大銀貨がぎっしりと詰まっている。これは付与魔法ギルドでの未支給となっていた報酬や役職手当である。


 最後に勇馬がやらかしたぶっ飛んだ付与についてはあくまでも『神の御業』によるものであるため、あくまでも一般的な付与がされたとの扱いで報酬が算定されている。


 しかし、ギルドの役職付きとしてこれまで働き、大きな貢献をしてきたことから慰労金には色が付けられていた。


「それからこれも」


 シェーラは勇馬に対してさらにマントと身分証を差し出した。


「これは……」


 勇馬は付与魔法ギルドを辞めることを伝えた際に中級付与師のマントと身分証も返納している。


 そのときトーマスは何も言わずにそれを受け取ったのだがシェーラに手渡されたものは勇馬が返納したそのものではなかった。


「上級付与師と書いてありますね」


 ケローネは勇馬が手にした身分証を読み上げた。


 マントもこれまでの中級付与師のものとは色が違うだけでなくその材質や手触りも段違いだ。


「トーマスさんからお手紙も預かってるよ」


 シェーラから手渡された手紙を恐る恐る開いてみる。


 手紙には几帳面な字でびっしりと文字が書かれている。






 ユーマくんへ


 まず最初に御礼を言わせて欲しい。


 私たちはきみに随分助けられた。


 今でもきみがやってのけた仕事は夢ではないかと思うよ。


 きみから半年以内に辞めるので払うと渡された登録料の銀貨3枚だけどさすがにこれは受け取れない。

 これまできみがギルドに貢献してくれた分も含めてこと付けているから受け取って欲しい。


 さて、付与師の身分証の返納を受けたけれどギルドの役職は辞めてもきみが付与師であることは変わりない。


 身分証の返納自体を受け付けることはできないけれど、この中級の身分証はきみには不釣り合いなので変更手続きのために一時的に預かることにしたよ。


 正直に言うときみの力は特級付与師に見合うものだとは思うけれどこの街の臨時のギルドマスターに過ぎない私だけではきみを上級付与師にすることしかできないことは許して欲しい。


 きみが何者であってもきみが付与魔法ギルドの仲間であるということは変わらない。

 私ももうすぐメルミドの街に戻る予定だからいつでもメルミドの付与魔法ギルドを訪ねて来て欲しい。



 最後に、



 あの日起こった出来事は『神の奇跡』でありそれ以外に私は何も見ていないし何も知らない。


 これからのきみの旅路にも神の奇跡がありますように。








 最後に『トーマス』という署名を見たとき勇馬は思わず天を仰いだ。


 空は雲一つない青空である。


 せっかくの晴れの出発の日に涙を見せることは憚られた。




「お客さん、出発の時間ですよ」


 乗合馬車の御者からそう声を掛けられた。


「よし、それじゃあ行くか!」


 勇馬はそう言ってアイリスの手を引いて馬車へと乗り込んだ。


 これまでにない勇馬の行動にアイリスは一瞬とまどいながらも頬を緩めて勇馬に続いた。


 これから始まる新しい何かを求めて勇馬たちは今この街を旅立つ。



 さあ、俺たちの戦いはこれからだ!


 本作はまだ続きます。

 

 第1部終了です。区切りがいいところで評価未了の方はこの機会に是非評価をお願いします!

 ↓ にある【☆☆☆☆☆】の☆を★に変えるだけの簡単な作業です。よろしくお願いします。


 

【新作の告知】

 また『マジックペン』ものです(作者は文房具メーカーの社員ではありませんが、このまま終わるのは負けた気がするのです)。

 ただ、書き方を大きく変えていますし、異世界ものではありますが転生(転移)ものではありません。

『マジックペン×おっさん追放』という内容です。

 是非一度読んでみて下さい。


『Sランククランを追放された事務職DTおっさん、覚醒して最強の補助職に! ~苦節20年、役立たずと言われたアーティファクトがついに進化して八面六臂の大活躍~』

  https://book1.adouzi.eu.org/n5364gk/

(ポイント評価欄の下あたりからリンクで飛べるようにしています)


 新作からこっちも見に来てくれないかな~というよこしまな目的の新作だったりします。

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