インターバル
飛鳥お嬢様の教育係は難しい。
そこで俺は先輩に相談することにした。
「おはようございます。今、お時間は大丈夫でしょうか?」
「おはよう。随分と板について来たようだな」
先輩は笑っている。
そう言われると、入社当時とは立ち居振る舞いが変わったかもしれない。
「実は、相談したい事柄があります」
「いいだろう、夕方になるが構わないか?」
「はい、例の店で」
しゃぶ決めたい。
「予約はしておくから、業務に戻ってくれたまえ」
「はい、それでは失礼します」
一日の業務を終えて先輩と合流すると、先輩は何やら難しい表情をしていた。
「おお来たか。今日は違う店にしないか?」
「休みなんですか?」
思わず質問に質問で返してしまった。
「予約は入れたが、今日は普段とは違う日でな……」
歯切れが悪い。
どうしたのだろう?
「後悔しないなら行くぞ?」
「後悔なんてしませんよ。僕は馬しゃぶを決めたいんです!」
「よく言った! では突撃じゃーい」
先輩ってこんなキャラだっけ?
とにかく、あの店に突撃だ。
ここ、ここ。
ホースのみちびき。
しかし、先輩が渋った理由は扉を開けて判明した。
「手を挙げろ」
白い装備のこれは、あの有名な映画、星間戦争の兵士のコスチュームだ。
その一団が銃口をこちらに向けている。
思わず両手を挙げて敵意がないと表明した。
「怪しい連中だ、奥へ連行しろ」
この人は確か、元老院議員?
店員と思われる兵士に囲まれたまま、店の奥の席に座らされる。
「釈明することがあれば聞こう」
「馬しゃぶに、生二つ」
先輩はさらりと注文を通した。
「これ、どういうことですか?」
「料理を運んで来た時にでも聞いてみろ」
先輩は素っ気ない返事だった。
箸が例の光の剣になっているけど、力を使って食べろとでも言われるのだろうか。
やがて黒い衣裳のあの人がゆっくりとやって来た。
店内放送が例の行進曲だけど、鍋を持つ姿はシュール過ぎる。
持っている鍋まで黒いのは演出過剰じゃないの?
「あの、これは何の為にやっているんですか?」
焜炉の上に黒い鍋を置いた店員は一言だけ答えてくれた。
「広報」
声の想定
俺 小林祐介さん
先輩 宮野真守さん




