いざ! 海底神殿へ!!
(なんかこのデザイン、サ〇ヤ人のプロテクターみたいだなぁ)
デビルシェルを乱獲し、その素材で作った特製の”耐水装備”を身に着けた俺はそんな感想をちょこっとだけ抱く。
なんでちょこっとかというと、
「アンちゃんどう? 苦しくない?」
真っ白な貝殻一枚で覆われたオウバのJカップがポインと揺れて、
「うん、ぴったり」
真っ赤な貝殻の内側で杏奈のKカップもポインと揺れる。
「よかったぁ! 私のよりも少し大きめに作ったんだけど、正解だったね!」
「でも、ちょっと恥ずかしい……」
「大丈夫! アンちゃん凄く似合ってるよ!」
「ありがとう。オウバも、可愛い」
男性用の耐水装備はプロテクター型で、女性用は――なぜか表面積が異常に少ない、ビキニ型だった。
若干腰回りや、膝なんかにプロテクターのようなものが装着されているが、パッと見た感じでは貝殻で作った水着でしかない。
貝殻の胸当てからあふれ出る杏奈とオウバのJKカップ。
二人とも出ているところはしっかり出ていて、締まるところはキュっと締まっているので、とても美しい。
「はぁ……やっぱそうよね。杏奈も似合うわよねぇ……だからこれ嫌だったのよ……」
そしてやっぱり、黒いビキニ型の耐水装備を装着しているシャギはため息を着いていた。
シャギは決してニムほどまな板ではない。むしろ、色々とトータルバランスが取れているんだと思う。
だけども杏奈とオウバのたわわなメロンを見た後では、せいぜいりんごか桃を想像してしまうことは否めない。
「いいじゃないですか姉さま。ミキオくんは大きい胸よりも、姉さんのように小さくても形が良いのがお好きって言ってましたから」
「うん! 大きいと肩凝るし、疲れる。小さいほうが良い!」
「小さいいうなぁー! まったくあんた達は……」
(確かにミキオ君とやらの言うことも分かる! シャギみたいにバランスが取れてるのもいいなぁ!)
「シャァー!」
と、尻尾に圧力があって、俺は思わず悲鳴を上げる。
「トカゲ、エッチな目、ダメ!」
杏奈が眉を吊り上げて、俺を睨んでいた。
「うう……ごめん」
「わ、わたしなら、良いよ……? なんなら挟まる?」
どうやらジェラシーだったようだ。
「い、いやぁ~、あはは! それは嬉しいお誘いだけど」
「杏奈? 焼けちゃうじゃない」
「アンちゃんと精霊様は本当に仲が良いですね!」
シャギはにんまりと、オウバはにこにこと笑顔を浮かべている。
「うん! 仲良し! ねっ、トカゲ?」
「お、おう!」
杏奈から腕を組んできて、ほぼ素肌なKカップが二の腕を挟み込む。
前はリザードマンだと嫌がっていたけど、今は特にそんな素振りは見られない。
(杏奈も成長しているだなぁ)
カフェでの仕事や、アイス姉妹との交流が精神的に杏奈を成長させていると思った。
それは凄く嬉しいことなんだけど、前みたいに俺にべったりじゃなくなっていることにほんのちょっと寂しさを覚える俺なのだった。
●●●
海底神殿へ向かうには、砂浜から道のようにまっすぐ伸びる浮石を渡ってゆく必要があった。
浮石とはいっても、俺の感覚でいうと直径10メートルほど。
学校の教室程度の広さはあった。
足場は広いし、浮石の感覚もそんなに広くない。
これなら簡単に海底神殿に迎えると思っていたけど、そうは問屋が卸しません。
何故ならここは剣と魔法のファンタジー世界なのだから!
「GAA!」
サイ〇人プロテクター、基――オウバ特製の”耐水装備”を装着した俺は、湧き上がる水しぶきをものともせずに、爪を振り落とす。
「ギョ!」
そうして切り裂かれたのは不気味な鱗だらけの半魚人。
海の定番モンスター:サハギンである。
海面から次々とサハギンが飛び出しては、二の腕に生えているカッターのように鋭いヒレで切りかかってくる。
反属性というか、明らかに苦手な水属性の攻撃。
それは例え炎の精霊である俺にとっても、相当な痛手になるらしい。
しかし耐水装備で覆われているとろこで受けて流せば、何のことはない。
後は、リザードマン形態自慢の腕力で叩き伏せれば全く問題にならなかった。
「杏奈、抜けたぞ!」
数匹のサハギンが過り、後衛の杏奈へ突き進む。
杏奈は待ってましたと言わんばかり拳を鳴らした。
「ぱーんち!」
「ギョ―!」
真っ赤なビキニ――基、耐水装備の内側に包まれた豊満な胸を揺らしつつ、杏奈の鋭い拳がサハギンを吹っ飛ばす。
杏奈も俺と同じ”火属性”で水は苦手だが、耐水装備のお陰で、打撃攻撃を主にして戦っていた。
それでもやっぱり決定力には欠けていて、浮石の上はだんだんとサハギン比率が高まってゆく。
だけどもそれは当初からの狙い通り。
次々と海面から飛び出すサハギンの後ろで、こぽりと二つの泡が上がった。
「杏奈!」
「うん!」
俺は杏奈を抱き寄せ、口から炎を吐いて膝を伸ばす。
火炎放射は推進力となって俺と杏奈を一気に空へ押し上げた。
そして入れ替わるように海中からアイス姉妹が飛び出す。
「アースソード!」
オウバは胸をポインと揺らしながら翳した腕から白磁の魔力を浮石へ放つ。
途端、浮石から無数の”岩の剣”が生え、サハギンをお尻から串刺す。
「これで止めよ! サンダー!」
シャギはきゅっと引き締まった綺麗なウェストお捻り腕を横へ凪ぐ。
真っ青な南国の空に突然、紫色をした紫電が沸き起こった。
それは鋭い稲妻となって串刺しになったサハギン、そうじゃないサハギンもろともまとめてこんがりと香ばしく焼き上げる。
(こ、これは! 焼き魚の匂いだ! なんとなくアジの干物っぽい!!)
呑気にそんな風に思えるのも、耐水装備のお陰だった。
俺と杏奈が敵をおびき寄せてかく乱し、海中に隠れたアイス姉妹が全体魔法攻撃で一掃する。
アイス姉妹がそれぞれ水属性に強い魔法を得意としているのもあって、俺達はなんの苦も無く浮石の上を飛んで行く。
目的地の海底神殿まであとちょっと!
「楽勝だね」
「そうだね! アンちゃんとサラマンドラさんも良い活躍してるよ!」
「二人とも、油断はダメよ!」
杏奈とオウバをシャギがすこしきつめに諫める。
さすがはなんとなく委員長キャラっぽい雰囲気のシャギといったところか。
「きゃっ!」
と、突然オウバが短い悲鳴を上げた。
「オウバ!?」
俺たちは跳躍を止めて浮石に降り立ち、踵を返す。
オウバの脚にぬるぬるした気持ち悪い触手のようなものが巻き付いていた。
「きゃー!」
そのままオウバはつるし上げられ、海面から激しい水しぶきが湧き越る。
「フシュ―!」
「オ、オクトエンペラー! こんな奴がここにいるだなんて!!」
シャギは海面から現れた巨大なタコを見上げて、少しマズそうな叫びをあげたのだった。




