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リベンジバトル?


「ガオォォォーン!」


 かつて俺と杏奈に母親を倒された、たぶん思春期辺りの地龍アースドラゴンは、口の中へ翡翠の輝きを溜め始める。


(させるか! ファイヤーボール!)


 俺は地龍が激しい緑色光線を吐くのと同時に、真っ赤な太陽にように燃える巨大な火球を、杏奈の肩の上から吐き出した。


「ファイヤーウォール!」


 同時に杏奈は真っ赤な炎の壁を呼び出した。地龍の緑色光線をあっさりと霧散させる。


「ギャオッ!」


 次いで真っ赤な火球が地龍の画面を直撃し、打ち上げ花火のように火花が散る。

巨体が大きく揺らいで倒れそうになったが、巨大な尻尾で地面を打ち、何とか体勢を保つ。


 しかし次の瞬間にはもう、俺の背中から発せられた”無数の火矢ファイヤーボルト”の雨に晒されていた。

 地龍は降り注ぐ無数の火矢の下、右往左往するだけ。

その間に俺は空気をお腹パンパンにまで吸い込む。

身体の中を巡る紅蓮の炎が吸い込んだ空気と混ざって更に燃え上がり、赤い体表が真っ赤に輝く。


(こいつもくらえ! ファイヤートマホーク!)


 小さな口から、物理法則を完全に無視して、巨大な火柱がロケットのように打ちあがった。

 まるで対艦ミサイルのような火柱は炎を靡かせながら、綺麗な弧を描いて、地龍の頭上へ落下する。


「ガオォォォーーーン!!」


 激しい火柱が沸き起こり、爆発の音が地龍の叫びをかき消す。

 さすがの地龍も、炎の猛攻に前に、盛大に倒れた。


「いくよ、杏奈! 準備は良い?」

「オッケー!」


 俺は杏奈の肩の上で反転し、杏奈は膝を深く折る。

俺は炎を吐いて、杏奈が膝を伸ばせば、おっきなメロンがポインと揺れ、彼女の身体が大きく飛び上がった。


「「「おおおー!! 眼福!!」」」


 思わず戦いをずっと観戦していた村のお兄さんたちは、杏奈の胸の揺れをみて、まるで神を崇めるかのようにひれ伏していたのだった。


「ガオォォォー!」


 蒸気を上げながら起き上がった地龍は、鎌のような爪の付いた腕を、俺と杏奈に向けて振りかざす。


「よっと!」


 杏奈は身をひるがえし、その方向へ向けて俺が火炎を吐いて、あっさりと回避した。


 地龍は眉間に皺を寄せて、まるで小蠅を叩き落すみたいに、無茶苦茶に腕を何度も何度も振り回す。

だけど地龍の爪は空しく空を切るばかり。

俺は杏奈が身をひるがえすたびに、火炎を的確な角度に吐いて回避させる。

俺達はまるで空を飛ぶように、地龍の爪を避け続けた。


「ガオォォォーン!」

「ッ!」


 杏奈は振り落とされた地龍の爪の上に乗り、胸を揺らしながらジャンプ。

俺が更に火炎を吐いて、彼女を空高く押し上げる。


 杏奈は満月を背に地龍を見下ろし、拳を構えた。


「私の拳が真っ赤に燃えるぅ! ドラゴン倒せとトカゲが叫ぶ!」


 俺のバフスキルが杏奈に力を与え、構えた拳が口上通りに真っ赤に輝く。

そして浮かび上がる”炎を纏った蜥蜴”の紋章。

これこそ杏奈が俺のパートナーたる”炎の巫女”の証。


「ひぃっさつ、ぱぁぁぁんち!」


 杏奈は赤く光り輝く拳を地龍の顔面目掛けて鋭く突き出した。

拳は寸前のところで、地龍が展開した”緑色の障壁”によって受け止められてしまう。

しかし俺はチロリと二股の舌を出し、杏奈も呼応するように口元を緩ませる。


「杏奈!」

「うん!」

「「おおおお、ああああ!」」


 ユウ団長曰く、火属性とは感情の力。

心を燃やし、重ねることで、力が増す。

一つずつの火は重なり合うことで炎にと、どっかのコーチが言っていた!

だからそう!

 一つとなった俺と杏奈は無敵なのだ!



 俺は更に炎を吐き、杏奈の拳は真っ赤に燃える。

地龍の張った障壁にひびが入り、やがてすぐにガラスのように”バリン!”とバラバラに砕け散る。


「シャギ、オウバ、いま!」


 杏奈の声を合図に俺は火炎放射を止めた。

杏奈の身体が、重力に引かれて落ちて行く。。

すると、地龍を眩しいぐらいの輝きが照らし出した。


 空に滞空し、眩しい輝きを放つはアイス姉妹。

シャギとオウバは仲良く手を繋いで地龍を睨んだ。


「いくわよ、オウバ!」

「はい、姉さま!」


 シャギから黒の、そしてオウバからは白色の魔力が輝きとなってあふれ出る。

それは混ざり合って、彼女達を白銀の輝きで包み込んだ。


「「ぶっとべ、ドラゴン野郎! レイ・ソーラ!」」


 白銀の輝は姉妹が翳した腕に収束して放たれる。

まるでレーザー光線のような魔法が闇夜を切り裂き、その輝きは周囲を真昼のように照らし出す。


「ギヤオォォォーーん!!」


 輝きは地龍を飲み込みんだ。白銀の輝きの中で、巨大な地龍が灰になって消えて行く。

 リベンジバトルを仕掛けてきた地龍だったが、呆気なく倒されてしまう。

おまけに森には、シャギとオウバの放った魔法のお陰で”新しい道”が形作られていたのであった。


「おお! すげぇ! 地龍を倒したぞぉ!」

「さっすがアイス姉妹! オウバちゃん、こっちみてぇ!」

「あの赤い子も凄いぞ!! もしかして新しいSランクか!?」


 村からはたくさんの歓声が沸き起こていた。

その様子を見たシャギとオウバは、また大きな岩の上へ降り立つ。

 ちらっと、シャギが視線を送って来たので、俺と杏奈も岩の上に飛び乗った。


「みんな、応援ありがとう! 明日から私たちのお店”グリモワール”営業再開よ!」

「みなさん、お時間があったら是非お立ち寄りくださいね! 姉さまとオウバは皆さんのご来店を心よりお待ちしてます―!」


 アイス姉妹はあざとく宣伝を叫び、


「み、みんな、来て……!」


 杏奈は姉妹に隠れながら、小声でそう言っていた。


 シャギは転移魔法の黒いホールを発生させ、俺達を包み込み、その場を跡にする。


 こうしてシャギの計画した”討伐依頼ついでのお店の再開宣言”は大成功したのだった。


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