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十七年前――亡国の遺跡にて


「いたぞー! 生存者だぁ!」

「おーい! サンダー殿が生きてらしたぞぉ! 早く担架を持てこーい!」


 稲妻が闇夜を引き裂き、冷たい豪雨が打ちつける中、シュターゼン国に属する兵たちは、唯一の生存者に向かって一斉に駆けて行く。


 まるで竜の口を思わせる洞窟の入り口から、ゆらりゆらりと一人の影が、重い足取りで這い出てきた。

弱冠二十歳ながら、炎の国シュターゼン国の近衛騎士団副団長に任命された女戦士――ユウ=サンダー。


 ユウの身に付ける鎧はところどころに亀裂が浮かび、拉げ、埃まみれだった。

相当な疲労なのか、足元はいつもつれてもおかしくない程覚束ない。

そんな彼女は自分の身よりも遥かに大事そうに、布で厳重に包まれた何かを抱えていた。


「副団長!」


 兵が駆け寄り、ユウに手を差し伸べる。

しかし彼女は膝を突き、代わりに大事そうに抱えていた包みを駆け寄ってきた兵士へ差し出す。


「私のことは良い。早く、これを陛下へ……!」

「こ、これは……!?」


 包みを受け取った兵が、驚きで目を丸くする。


「ほぎゃ~……ほぎゃあぁ~!」


 豪雨の中に、未熟で甲高い鳴き声が響き渡った。


「副団長、この赤ん坊は?」

「おそらく、この赤ん坊こそ、失われし水の国リヴァイアの、ウンディーネの化身たる水の巫女。入手経緯はあとで説明する! 今は一刻も早く、この赤ん坊をシュターゼンへ!」


 ユウの指示が飛び、兵たちは速やかに撤退の準備を開始する。


 包みの中で泣き叫ぶ、青い髪と瞳を持つ赤ん坊から、まるで波涛のように水の魔力があふれ出る。

その荘厳な魔力の輝きは周囲を青白く照らし出すのだった。


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