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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
3章 Crossing 重なる世界!

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第90話 アイテムショップ、再び

「ささっ、中に入ってどうぞにゃん!」


 店員さんに案内されて中に入ると、以前訪れたアイテムショップとほぼ同じ内装。おそらく家ごと出張してきた形なのでしょう。


「聞きたいことはわかってますにゃん。【A-YS】の叡智を取り入れて、どのような新アイテムを開発したか聞きたいんですにゃん?」


「話が早いですね!なにかあるんですか?」


「【自動車ベッド】ですにゃん」


「つ、ついに完成したんですね……!」


 座るとHPの自動回復量が増加することから、戦闘中に座ったり寝たりすれば有用なのでは?と言われ続けてきたリラックス系家具。


 しかし移動ができなくなるという重大な欠点から一線級の活躍は見込めず、車椅子の開発が待たれていたのだけど、今回は車椅子ではなくベッドを採用したらしい。確かベッドの方が回復力が高いんですよね。


「もしかしてベッドの上で戦えるのー!?おしゃれー!」


「車椅子は【A-YS】でそのものが売ってるようでしたからにゃん。少し工夫をさせていただきましたにゃん」


「工夫って、ベッドにしたことですか?それともほかにもあるんですか♥」


「もちろん!従来の車椅子とは根本から原理が異なりますにゃん!」


 従来とは仕組みが異なる?電気や魔力で走るわけではないということだろうか?


 そして店員さんに【自動車ベッド】のもとへ案内されたのだけど……デザインがおかしい。


 真っ黒のシーツにドクロのマークが描かれたいかにも厨二病なお布団なのだ。さらにベッドの横には巨大な赤黒い臓器のような気持ち悪い球体が置かれている。はっきり言ってとてもリラックスできるとはいえない。


「こっ、これは……っ!呪われた装備っ!?」


「正解ですにゃん!」


 灑智の言葉にぱちぱちと拍手で返す店員さん。なるほどー呪われた装備かー。なら仕方ないよねー。


 仕方なくないよ!?


----

>こんな所で寝たら一生起きられなそう


>気持ちよくて起きられないのかな?


>永眠だぞ


>幽霊にとり憑かれそう

----


 コメント欄の言う通り、まるで意味がわからない。なんでベッドを呪う必要があるんですか!?いや、重大な理由があるのはわかりますけど!


「この球には『それは一度着けると外せない』が4つくらいついてるんですよねっ?ベッドの方はそれが1つ分と、あとは物理的な拘束が設けられているように見えますっ」


 灑智に言われて改めて見てみると、ベッドにはベルトのようなものが取り付けられており、ベッドを身体に固定することができるようになっていることが見て取れた。


「その通り!このベッドを身体に取り付けて、禍々しい球を投げる。それだけであらゆる地点に移動することができるのですにゃん!」


 そういうことか。この仕組みはさっき灑智が槍に引きずられていった仕組みと同じ……!呪いの効果を重ねることでプレイヤー側が逆に装備に吸い寄せられてしまう超現象。このベッドはそれを利用して移動できるのか……!


 これを使えば単純な横移動だけではなく、空を飛ぶことだってできるだろう。ベッドに常に縛りつけられるという最悪すぎるデメリットはあるけれど、間違いなく実践級のテクニックだ。


「買いますっ!買わせてくださいっ!」


「まいどありですにゃん!ご一緒に『それは魔法ダメージを15%軽減する』の効果がついた【メッキスプレー】もおつけしますにゃん」



 禍々しい球をふわふわと浮かせながら進ませると、それに追従してベッドごとゆっくりと移動し始める灑智。【サイキック】のスキルである【キネシス】の恩恵だ。


 おそらく普通に投げるだけでも移動はできるのだろうけれど、日常使いに関しては【キネシス】がないと話にならないだろうね。直線的に投げて拾っての繰り返しは効率が悪すぎる。


 おまけとして受け取ったメッキスプレーは、例によって装備を砕いて溶かしてエンチャントを抽出したもので、吹きかけることで擬似的に新たなエンチャントを付与することができるらしい。ベッドにくまなくかけておいたので耐久性も万全だ。


「さてー!そろそろいくよー!電器屋に!もう寄り道なんてしないからねー!」


 ドローンが待ちきれないめりぃさんのために改めて電器屋へと向かうのだけど、ベッドに横になったままキャスターをころころ転がして進む灑智がシュールすぎてすごい。周囲の他のプレイヤーは1人残らず灑智の魅力に釘付け(?)になっているくらいだ。


 そして移動すること約5分。ついに電器屋さんにやってきました。外観は10階建てくらいの大規模なお店。ショッピングセンターとかなら話はわかるけれど、電器製品専門と考えるとかなりの大きさですよね。


 建物の真正面にはテレポーターのカプセルが鎮座しており、そこから各種製品のエリアにひとっ飛びで行けるらしい。逆にテレポーターを使わないことは想定されていない様子で、ぱっと見た限りでは入口の類が見当たらない。テレポーターが故障したら完全に出入り不可能になる欠陥住宅ですね。


 カプセルの中に入ると商品を検索できるARモニターが表示されており、そこから商品をカプセルの中や特定の住所に転送することもできるのだとか。


 とはいえボクたちはまだ具体的に欲しいアイテムを決めているわけではないので、店内に入って、実物を見て回ることになった。


「見てください♥【ルンバ】がありますよ♥」


「よし、10個くらい買っていこうー!」


「【ドローン】ありますねっ!しかも銃が搭載可能らしいですっ!」


「20個買うよー!」


 どかどかと自動操縦系アイテムを購入していくめりぃさん。本格的にメカニック系【シャーマン】に転向するつもりらしい。買えるものは買えるだけ買っておけと言わんばかりの勢いで片っ端から【ストレージ】に詰め込んでいく。


「おっ、この眼鏡なんでしょう?なんか派手なガジェットに見えますけど」


「『それは視界に光線を放つ』……【レーザー機能付き眼鏡】ですね♥」


「なにそれ、すごい」


「見てくださいっ、これは【質量を持つARビジョン投影機】だそうです!」


「おもしろそうー!買いだね!」


「【地球破壊爆弾】!」


「買い!」


「【いちご大福】!」


「買い!」


 欲しいものはお金の許す限り購入して、ほくほく顔で店を出るボクたち4人。【いちご大福】を食べながら【サウスエリア】へ戻った。


 今回仕入れたアイテムの実用性を試してみたいところだけど、残念ながらそろそろ時間だ。ダンジョンも4人+ゴブ蔵では厳しいし、30層以降ならともかくすでに攻略できたマップを再び潜り直すのも芸がない。1回【フォッダー】に戻ってそっちで試してみるのもいいかもしれないね。


 というわけで明日も4人で集まって活動することを約束して、今日はログアウトすることにした。



 次の日、ボクたちはなぜか31層に足を踏み入れていた。


テクニックその60 『呪装備移動法・真』

呪われた装備を極めればベッドに乗ったまま移動することだってできますよ!

ファンシーな雰囲気が漂いますが、呪われていますので要注意。触ると全身から血を吹き出して死ぬかもしれません。


テクニックその61 『メッキエンチャント』

装備を溶かして作ったメッキを他のアイテムに貼り付けてやることでエンチャントを簡易的に付与することができます。その効果はやや控えめのようですが、お手軽に特定のエンチャントをピックできるならその有用さは計り知れません。食材の方で同じエンチャントを摂取すれば補強できますしね。

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