表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
3章 Crossing 重なる世界!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/506

第89話 食材の魔術師、再び

「ドラッグストアに売ってそうなもので探索の役に立つものってありますかね?」


 この【消音スプレー】は隠密行動の役に立つかもしれないけど、どうせダンジョンではばったり出会って切った張ったの繰り返しだしなあ。


「このスプレーを投げて炎で燃やせばダメージが増えそうじゃないー?」


「爆弾がない世界なら良さげですけど、普通に持ってますからね……」


 確かにねー、と考え込むめりぃさん。明日香さんは店内をぐるりと見て回り、面白そうな薬剤を探している。


「あっ、こちらにダンジョン向けの棚がありましたわ♥」


「本当ですか!?」


 明日香さんが見つけた棚をのぞくと、そこには確かにゲームチックな効果を持つ飲み薬が販売されている。


「『これさえあれば魔力に特化した【ソーサラー】もたちまち屈強な戦士に変貌!』【マナファイターZ】……魔法使いの長所の大半が消滅しますね」


 ゲーム的にはINTをSTRに変換する脳筋アイテムらしい。いくら肉弾戦がしたくても魔法を犠牲にしたら本末転倒だよね。


「こっちには【狂戦C】というサプリメントがありますよっ!身体が自動操作になる代わりに身体能力が増加するんですって!!」


 と言いながらその【狂戦C】を買い占めていく灑智。明らかにイロモノ枠のアイテムなのだけど、使う気満々らしい。


----

>マナファイターZは逆に純前衛が使う薬なのでは??


>物理系クラスもINT自体はあるからな


>じゃあSTRと引き換えにINTを増やす薬を買おうぜ!


>頭がおかしくなるけど筋肉が増加する、賢くなれるけど寝たきり病人


>↑やばい薬みたいな表現やめろ

----


「なるほど、前衛職業(クラス)が使えばデメリットなしですか。その発想はありませんでしたね」


 INTは魔法攻撃力以外のシステムに関わっていることもあるので、正確にはデメリットがないわけではない。けれどキャッチコピー通りに使うよりはよっぽどマシな選択肢だろう。


 自分が使うわけではなくとも【アイテムマスター】としては購入しておいて【ストレージ】にぶっ込んでおくべきですね。


 他にも空気を固める【硬素剤】や光の反射を抑える【遮光スプレー】などなど、役に立ちそうな日用品をいくつか買ってドラッグストアから出る。みんなもいろいろとアイテムを買っていたが、灑智はもうボクと一緒に行動する前提なのかすべてをボクの【パーティストレージ】に入れていた。


「この【聖水】を使えば本来ならば外せない装備も外せるんですよっ!」


「それ、すごく高いですよね。外すたびに使うんですか?」


「はいっ!お姉様、買ってください!」


 20本くらい買いました。


----

>妹のおねだりに負けるお姉ちゃん


>✝ちゃんのおねだりに勝てる奴おる?


>いない

----


 ドラッグストアを出て、次に探すのは電器屋さん。


「ドローンはどこかなー?セントリーガンでもいいけど」


「セントリーガンが売ってる電器屋さんって、すごいですね♥」


 世紀末かな?


 wikiで地図を眺めてみるとどうやら【ノースエリア】にあるらしいとのことで、テレポーターで街を移動する。


 以前来たときにはゴーストシティだった【ノースエリア】も今ではプレイヤーが行き交う大都市になっている。


 道路の真ん中で人目もはばからず堂々と屋台をやっているプレイヤーもおり、大盛況と引き換えに盛大にカオスな景観を作り出してしまっているきらいがあるが、まあ誰もいない街よりははるかに街らしい光景だ。


 屋台をやっているプレイヤーには見覚えがあった。


「『食材の魔術師』!『食材の魔術師』じゃないですか!」


「おっ、いらっしゃい。ラーメン食ってくかい?」


「こんなところに屋台を置くなんて迷惑だよー?」


「どうせ車も通らないんだから問題ないぞ?」


 まあそうなんですけどね。


 めりぃさんはいつも『食材の魔術師』からラーメンを仕入れているらしい。『いつもの』を10ダースで、と彼女が注文すると大量のラーメンがずらりと並べられ、それを1つずつ【ストレージ】に収納していく。


「今日はこの街特有の新メニューに挑戦してみたんだ。食っていかないか?」


 そう言ってカウンターに置かれたのは、一見すると極めて普通のラーメンだ。しいて言うならば、何かの調味料のような粉が浮いているのが少し目立つくらいか。この調味料がこの街特有なんでしょうか?


「おいしそうですねっ。食べます!」


 割り箸をとって2つに割り、ずるずるとラーメンを食べ始める灑智。


「……うーん、おいしいっ!特にこの粉が効いてますね!胡椒とかじゃないみたいですけど、なんですか?」


「それは武器を砕いて粉末状にしたものだ」


 灑智の手が止まった。


「今なんて?」


「それは水属性の追加ダメージを与える装備を投入したからな。食材を透き通った味に変えてくれるんだよ」


----

>鉄粉入りラーメンかな


>言われなきゃ気づかないレベルとかすごいな


>すげえ発想だ……


>フォッダーじゃ装備は高価だけどA-YSなら山のように手に入るからな


>この街特有って食材の調達面の問題なのかw


>食材(装備)

----


「お……おいしいです。食べますっ!」


 しばらく手を止めていた灑智だが、意を決して、また箸を進めた。味的にはまったく違和感がないんだね。すごい。


「効果的にはどうなんですか♥」


「食材に使った装備のエンチャントが一時的に付与されるみたいだな。割と便利じゃないか?」


 効果としても非常に優秀ですね!いくつもの優秀な効果がついたエンチャント装備は高価でも、優秀な効果1つだけの装備なら安く手に入りそうですし、ワンポイントの強化としては実用性がありそうです。


 問題は味ですけどね。水属性はおいしいらしいですけど、毒関連のエンチャントとかは明らかに無謀だよね。


 エンチャントのバリエーションを聞いてみると、炎属性強化系もあるようなので購入しておく。まだ食べてないけど辛かったり熱かったりするんだろうなあ。


「とりあえずボクも食べてみようかな?同じものを1つください!」


「はいよ。水属性エンチャント付きだ」


 ことりとカウンターに置かれたラーメンをボクもずるずるとすすってみると……!


「すごい!!水の味しかしない!!」


----

>めっちゃ透き通ってて草


>それおいしいんですか?


>ひどすぎる……

----


「ごめんなさいっ、ちょっと表現を盛りました」


「さすが我が妹ですね。まさか食レポを偽装してくるとは」


「どっかの誰かさんは入ってもいないチャーシューの味をレポートしていなかったか?」


「あっ、この『それは自身を炎上させる』っていう炎属性強化エンチャントいいですね!この効果は食材効果ではなく装備にほしいくらいです!」


----

>話のそらし方がクソすぎて笑う


>呪われた装備の系譜なのでは??


>やっぱ姉だわ


>常に燃えてるキャラクターとか超目立つな


>狂ってやがる……

----


 それからいくつかのラーメンを追加購入して【ストレージ】に放り込んで、改めて電器屋に向けて出発することに。


 とことこと歩いていくと、また道路の真ん中に店が建っていた。


 今度は屋台ではなくガチの店。しかもなんか屋根が大炎上している恐ろしい店だ。あんな建物に住む人の正気を疑う。


「いらっしゃいませにゃん!!出張アイテムショップですにゃん!」


 またもや知ってるプレイヤーな気がする。


テクニックその59 『イクイプ麺ト』

装備を粉々にし、ラーメンに入れると味が変化します!そんな豪勢な料理は【フォッダー】の環境じゃできませんからね。

味は炎属性なら熱そうな味、みたいな感じで効果に依存するようです。

混ぜた装備の効果は料理効果として追加されます、最高ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼ 他のオススメ作品 ▼
【VR】ブレイブファンタジー【神ゲー確実】
掲示板形式で進む謎のVRMMOモノ。
結月ゆかりは画面を見つめる
VR全盛時代に古きを貫こうとする謎の二次創作モノ。
サキュバスさんがおうちにやってきた
平和な謎の日常コメディモノ。
これが僕らのMMO!
現実のMMOを主題とした謎のエッセイ。
― 新着の感想 ―
[気になる点] あれ?妹ちゃんはリアルステーション経由だから五感のフィードバックはないはずだけどラーメンの味分かるの?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ