第67話 リアルステーション
ご飯を食べてまったりしていると、灑智が仮想端末経由でURLを送ってきた。
「なんですか、これ?まさかさっき工作活動をしたスレとか……」
「違いますよ。今度私がプレイしようと思っているゲームの公式サイトです」
「えっ、灑智がゲームをプレイするなんて……何か悪いものでも食べちゃいましたか!?」
一体何のVRゲームだろう。いや、灑智はVRが苦手だし、きっとARだよね。【フォッダー】の息抜きに一緒に遊んでみてもいいかもしれない。
ドキドキしながらリンクを開くと、ボクの目の前にWebサイトが現れた。
これはゲームではなく、デバイスだ。VRにダイブせず、モニターで遊べる『リアルステーション』とある。
「それがあればお姉様と一緒に遊べるんですよ?ほら、【フォッダー】も対応しているみたいです」
「なんというか、時代に逆行しているような……。需要はあるの?」
VRゲームをあえてモニターでプレイしたい人はいるのだろうか?
「需要はあるみたいですよ。ほら、まだ発売されていないけどスレッドがいくつも立ってます。お姉様のスレでも話題になっていましたよ」
「妹がVRへのダイブが苦手だって話はしたことがあるし、その関連で話題になっていたのかな?」
まず『リアルステーション』で検索し、このデバイスのスレッドを探す。
検索してみるとすぐにスレッドは見つかった。確かに、そこそこ盛り上がっている話題らしく、いくつもの過去スレが立っていた。
【VR】リアルステーション 14【クラシック】
346 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
VRをダイブせずにプレイしたい奴って何者なの?
古代文明とかが好きな人?
347 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
これずっと待ってたんだわ
ダイブしてのゲームって正直億劫なんだよな
348 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
誰もが身体動かして遊びたいわけじゃないのに
最近のゲーム業界はVRに偏重しすぎだわ
349 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
まーた時代の流れについていけないおっさんが出てきたよ
五感のリアリティを感じずにゲームとか楽しいか?
350 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
>>346
古代文明大好きです!
351 名前:名無しさん[] 投稿日:20xx/xx/xx
VRって遊びながら他のことできないの最悪じゃない?
魔車に乗ってる時とか移動時間中にダイブするわけにもいかないだろ
レトロとか懐古とか関係なく売れるよこれは
352 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
リアステ否定してる奴って逆に時代に取り残されてそう
あるいはニートだろ
353 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
>>349
苦痛に関わる五感を遮断する今のVRにリアリティなんてないだろ
辛い料理とか熱い食事とか、リアルの表現にはそういう要素も必要なのにね
354 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
ダイブ自体は否定しないけど総じて時間が足りなすぎる
思考加速とかやってる怪しいゲームは除くとして、
1つのゲームにダイブしてそれだけを遊び続けるって発想が古いんだよ
それこそ時代に逆行してる
スマホとか携帯ゲーム機とかが流行してた理由を考えろ
355 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
別にダイブしたい人はダイブして、ダイブしたくない人はリアステ使えばいいだけなのに
なんでこんな議論してるんだ
356 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
頭が硬いんでしょ
357 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
放置ゲーのVRが話題になってた時を思い出す流れだな
歴史は繰り返す
358 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
操作性にもよるね
これでダイブ時と変わらない操作性ならリアステ選ぶし
不利になるならダイブするかも
359 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
>>358
対応するゲームはモーションアシストがある系に絞ってるみたいだし
操作性は変わらないんじゃない?
360 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
ダイブ恐怖症ワイくん、ついにVRデビュー!!
A-YSとか遊んでみたかったんだ
361 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
>>353
あー、なんか物足りないと思ってたんだけどそういう事か
その辺の楽しみは制限かかってるVRじゃ再現できないな
362 名前:名無しさん[sage] 投稿日:20xx/xx/xx
>>360
VRデビューで初めて遊ぶゲームがクソゲーオブザイヤー受賞作なのか……
評価は割れているが、視点は意外と面白い。そっか、VRはゲームとして重いんですね。
ゲーム内からでもネットにアクセスして軽い作業はできるけれど、所詮はその程度。ながらゲームが求められていた時代とは完全に真逆の方向性に進化を遂げている。それがVRの本質。
面白いゲームでも物理的にそこまで時間は割けないという人もいるし、なんというかVRにおけるブルーオーシャン的な発想なんですね。
ボクはゲームが仕事みたいになってきていたので、そういう視点はなかった。ちょっぴり反省。
「確かにスレッドの意見を見るかぎり、需要はありそうですね。で、これ、いくらなの?」
「23万9800円ですっ。買ってください!」
ちょっとお高いけれど、最新デバイスならそんなものかな。口座を確認してみると……うん、買えるね。
「よし、じゃあお姉ちゃんが買ってあげます!予約しておくね」
「ありがとうございます!これで私も【フォッダー】に参戦できますね」
「ついに灑智もVRデビューかー。楽しみだなー」
「ロールプレイを考えないといけませんね。お姉様のお友達はみんな個性を出していますし」
「ロールプレイって別に必須じゃないけどね」
「やっぱりシスコンロールとかですかね?」
「つまり普段もわざわざロールプレイしてるってことですか?お姉ちゃん、悲しいです」




