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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
11.5章 Draw 神引き・パワカもなんのその!

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第490話 生粋の良い人

 【エレウテリア】で迷宮を蹂躙するのは他のプレイヤーにとっても弊社の社員にとっても迷惑なようなので、今日はおとなしく普通に攻略していくことになった。


「よし、これで宝箱は4つめですね!」


 宝箱を開けると当然のように米粒が入っている。ボクたちはこのお米を集めに来ているのだから構いませんが、普通のプレイヤーにとっては相当なクソ要素ですよね。


「これで12粒……。先は長いのです」


「あの……やっぱり卍さんの社員に任せてわたくし達は戻りませんこと?」


「ダメですよ!社員に辛いことだけ押し付けて自分たちだけ遊びほうけているなんて、社長の名折れです!せめて100粒は集めていきましょう!」


----

>管理職が現場で働いてて草


>社長なら社員を殺した責任を取って自首しろ

----


 さっきの社員は不幸な事故でしたから!ボクは悪くありませんから!そう自己弁護を並べながら、迷宮の奥へと進んでいく。


「レベルも上がってスキルも充実してきましたわね。これでもう一度卍さんと戦うのも楽しそうですわ」


「私も猫姫さんと戦ってみたいのです!いい感じの【転生】先を見つけたら、勝負してほしいのです」


「構いませんわ、いつでも勝負を受け付けてますの!」


「メグさんも【アイズ・ファミリア】になってみませんか?きゅーとですよ?」


 【転生】アバター談義に花を咲かせながら、目の前のモンスターをさくさく倒していると、近くにプレイヤーの気配を感じ取った。【パスファインダー】の能力が壁の向こうにプレイヤーが居ることを告げており、《『第六感』》によってその正体を察した。


「おや、あきなさんがいますね」


「あきなさん?卍さんの配信で見たのです。なんだか強そうな『異形』さんなのです。 ابتسامةさんと似ていたような?」


「ابتسامةさんも触手系の『異形』ですから、確かに似た雰囲気はありますね。ただابتسامةさんはスライム系の触手で、あきなさんは生物系の触手なんですよ」


「合流しますの?」


「お二人がよろしければ、ご挨拶したいですね」


 メグさんも猫姫さんも快く承諾してくれたので、壁をひょいと抜けて声をかけてみた。


「あきなさん、こんにちはー!」


「わわっ、びっくりしたー!その声は、卍さん?」


 あきなさんは〈トンネル避け〉に慣れていなかったらしく、面白いくらいに驚いてくれた。プレイヤーの気配を感じ取る能力もまだ備わっていないようだった。


「ふっふっふ、この程度で驚くようではまだまだですね!」


 後からメグさんと猫姫さんが同じように壁を抜けて、あきなさんに挨拶をした。


「私はメグなのです!卍さんのお友達なのです!」


「……わたくしは✝聖天使猫姫✝ですわ。猫姫と呼んでくださいまし」


 猫姫さんはほんの僅かに逡巡する様子を見せたが、ぺこりと首を下げる。一方でメグさんは全く気にしていないようだ。


 あきなさんからは『異形』特有のオーラが発せられている様子はない。猫姫さんが気にしたのはテレビで見た顔だったからだろう。


「わたしはあきなだよ、よろしくね!今はクエストの攻略中なの!10階層でレジーナさんが待ってるんだ!」


 星型の感情表現(エモート)を撒き散らしながら触手による身振り手振りを交えて説明してくれる。やっぱりメインクエストの攻略中ですか。ちょうどいいですね。


「ボクたちはこの迷宮の宝箱を開けて回ってるんです。よければ一緒に行きませんか?」


「いいよー!あれからわたしも強くなったんだからね!」


 というわけで、あきなさんと一緒に迷宮の探索を開始することになった。せっかくなのでお手並みを拝見しようということで、次に出てきたモンスターはあきなさんに倒してもらうことにした。


 あきなさんを先頭に複雑怪奇な迷宮を進んでいると、曲がり角から全身鎧の甲冑が現れた。高性能な装備を揃えているボクたちならレベル差を考慮してもなお軽く蹴散らせる相手だが——。


 するとあきなさんは3本の触手を鋭く伸ばし、【正拳突き】を発動させる。〈マルチウェポンスキル〉によって全ての触手にスキルの効果が乗っているので、単純に考えればその威力は3倍だ。


 甲冑のモンスター、【デッドナイト】は触手に対して右手を突き出すと、瞬間的に黒色の壁が出現した。防御系スキルでの応戦——しかし次の瞬間に壁は粉々に粉砕されて、触手が鎧を突き飛ばす。


 さすがに3倍撃の【正拳突き】と言えども、障壁を崩した上で一撃で全損させるほどの威力はなかったらしい。【デッドナイト】は勢い良く壁に叩きつけられながらも戦意を消失していない。


 しかし息をつく間もなく、ここで2度目の【正拳突き】が発動する。すかさず追撃の触手による一撃を受けた【デッドナイト】はHPを失い、粒子になって溶けるように消えていった。


「ふふーん、どう?どう?」


「【デュアルスキル】ですか!手堅い(ビルド)ですね!」


 【モンク】の持つスキルである【正拳突き】は再使用時間(リキャストタイム)が10秒と短いが、それでもここまでの短時間で連発できるスキルではない。


 そこであきなさんはサブ職業(クラス)に【アサシン】を選択し、【デュアルスキル】によって複数個の【正拳突き】を取得したのだ。素手【モンク】としては手堅い(ビルド)ではあるけれど、初心者がそこに行き着くのは難しい。


【デュアルスキル】

[パッシブ][パーミッション]

効果:[アクティブ][スキル]を[重複]して[習得]できる。ただし[ジョーカー]は[習得]できない。


「帝王龍さんがアドバイスしてくれたんだよ!」


「さすが帝王龍さんですね。やっぱりあの人、いい人過ぎませんか?『生粋の良い人』の二つ名を進呈しましょう」


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