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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
11.5章 Draw 神引き・パワカもなんのその!

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第489話 マクロシャドウ

「そういえば【転生】アバターって【マクロ】はどういう扱いになるのです?」


「おや、メグさんにしてはずいぶんと初歩的な疑問ですね」


 どんな状況下であっても記録モーションを必ず再現できるのが【マクロ】だ。これを使えばどうなるのか。この疑問を持つのは当然であり、【マクロ】の紡ぎ手である『技能士』のメグさんなら本来は見落としがたいはずだ。とはいえ、彼女は【転生】アバターを使っていないことから、完全に意識の外にあったのだろう。


「つまり卍さんは知ってるのです? そういえばさっきの戦いでも«テレポート»を使っていたのです」


「いえ、知りませんけど?」


----

>知らねえなら初歩的な疑問とか抜かすな


>五月雨突きみたいな奴を使った時ってことだよな


>マクロシャドウが出るよ


>メグさん知らなかったんか

----


 ちなみに«テレポート»の場合はアバターの形状とは関係のない動きなので、まったく意識せずとも通常と同じように使えた。今回の論点は、コメント欄の言うとおり«五月雨突き»のような動作だろう。


 ボクたちは、これまでこの疑問にまったく着目していなかったが、【転生】というシステムが実装された瞬間から当然のように湧いてくる疑問であり、知っている人にとってはもしかしたら常識なのかもしれない。


「猫姫さんは知ってます?」


「いえ、考えたこともありませんでしたの……。【転生】アバターを使い始めたのは今日が初めてのことですし……」


 コメント欄には『え、卍さん知らないの?』『エアプで草』『普通は実装初日に試すだろ』と批判の嵐が一気に流れ込んだ。仕方ないでしょ!【転生】使ってなかったんだから!


 まあこれは実際に使ってみればすぐにわかる話ですよね。ぴょこんとメグさんの頭から飛び降りて、«五月雨突き»を発動してみた——。


 【マクロ】を発動したが、身体が勝手に動き出すことはなかった。不発? ほんの一瞬そう思ったが——次の瞬間、驚くべき事象が発生した。


 ボクの前に黒い影の人型がふっと揺らめき、杖を鋭く突き出したのだ。


「なるほど、これは良いですね」


 今のアバターで再現できないアクションは、黒い影が代行してくれるらしい。ただし、影と分かれて同時に別行動はできない。影が出現している間、本体のアバターは動かせず、あくまで物理的に不可能な動きを強制的に再現するための補助処理にすぎない。


「むむ、これは……。私も本格的に【転生】アバターを取得する必要があるみたいです」


 メグさんが顎に手を当てて考え込んでいる。これを見ただけで使い道を思いついたらしい。詳細を尋ねたいところだが、今はあくまで【復刻米】の回収とそのついでのレベル上げが目的だ。深く掘り下げることはせず、ダンジョンの探索を続けることにした。


 大部屋を抜け、通路を進み、多数のモンスターを討伐し、やがて行き止まりにたどり着いた。


 行き止まりには宝箱があった。猫姫さんは全能によって風を操作して宝箱の蓋を開ける。ボクはふわりと浮かんで中をのぞき込んだ——。


「……ありますね。米粒が」


「これが【復刻米】なのです」


「この宝箱にたどり着くまでに20分くらいかかりましたけど、これでようやく、たったひと粒ですか?いくつ必要なんです?」


「それはわたくしがお答えいたしますわ。最低でも3000粒くらい欲しいですわね」


「ちなみにそれって一食分ですよね? たとえば本戦で使いたいってなったら複数食分必要ですよね?」


「ですわね。〈ミストフード〉なんかで打ち消されることも考慮すれば、予備も必要かと思いますわ」


「地獄すぎないですか?」


「【パーティ】を組んでいますから、この宝箱からは3粒のお米が取れますの。あと1000箱くらい開ければ目標達成ですわ!」


----

>やべえよやべえよ


>素直に社員に任せて逃げろ


>社員が人海戦術で集めたらちゃんと3000粒揃うの??

----


 若干このダンジョンにやってきたことを後悔しつつあるが、メグさんと猫姫さんはそんなことは端から承知の上だろう。それならボクは全力で米粒集めに協力するまでだ。


 ボクはふわふわと上下に揺れながら宣言した。


「よーし、ここからは最速でダンジョンを周回していきましょう!」


「おー!なのです!」


「おー!ですわ!」


 まったり攻略している場合ではなかった。悠長にしていれば【ダブル】本戦に間に合わないかもしれない。


「全力で行きますよ!」


 ボクは【エレウテリア】を起動して、全速力でダンジョンを突き進む。ボクの視界に入ったモンスターは一瞬で溶けていき、なんの障害にもなり得なかった。


「【スピードアップ】!」


 メグさんが範囲支援(バフ)でスピードを強化し、猫姫さんが歌を口ずさんだ。【バード】のスキル、【共鳴のシンフォニー】だ。詠唱中に支援(バフ)の効力を大きく引き上げる優秀なスキルで、移動速度が桁違いに跳ね上がる。


【共鳴のシンフォニー】

[アクティブ][聴覚][詠唱中][支援][魔法][攻撃][演奏]

消費MP:6 詠唱時間:20s 再詠唱時間:30s

効果:

[詠唱中]:[キャラクター]に[付与]されている[支援]の[効果]を[増加]させる。

[詠唱後]:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。


「うおおおおおお!どけどけー!!」


 そう叫びながら曲がり角を曲がると、そこにはボクの会社の社員がいて——【エレウテリア】の暴威で一瞬で消滅した。


「……」


----

>人殺し!!!!


>かわいそう


>卍さんの会社で真面目に働いてただけなのに

----


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