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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
2章 despair 小数点のその果てを!

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第47話 不壊化

「リフォーム……ですの?」


「今回のボクたちの主軸はマイホーム、我が家ですからね。何を強化する、って言われたら家を底上げするのが最適解ですよ」


 ゆうたさんはさっそく新たな装備を仕入れにどこかへ向かった。一方、ボクたちが現在向かっているのはいつものアイテムショップだ。


 おそらくリフォームも請け負っているはずだ。そうでなくとも家を強化するならば家具を仕入れるのが一番だ。


「猫姫さんより猫っぽい、耳と尻尾まで揃えた店員さんなんですよ。キャラを食われてしまうかもしれませんね?」


「あら?こう見えてもわたくしよりキャラが濃い人はなかなかいないと思いますわよ?近所では『なんちゃってお嬢様』としてみんなに慕われておりますの」


「それって慕われてるんですか?」



 というわけで、やって来ましたアイテムショップ。ボクはすでにここの常連と言っても過言ではないでしょう。


「おっ、この【油】というアイテム。炎属性の耐性を減少させるポーションですか。便利そうですね」


 店内のアイテムを軽く見回していると、ぶんぶんと太い尻尾を振りながら、店員さんがやってきた。


「いらっしゃいませにゃん!……あっ!お客様!ありがとうございますにゃん。おかげで家の注文が急増してますにゃん!」


 お仕事的に見れば儲かるんだろうけど……家って作るのに手間もかかりそうだよね。大丈夫なのかな?


「……わたくしも猫っぽい感じで会話してみたほうがいいのかしら?」


「今日は家具を仕入れに来たんですよ。あと、家の外壁を張り替えてほしいんですけど……可能ですか?」


「壁の素材を変えるってことですかにゃん?可能ですにゃん!ただし、重量が変動する点には注意が必要ですにゃん」


 重量が増加してしまえば【グラビティコントロール】込みでも【ストレージ】に入らなくなるおそれがある。攻撃への耐久性を考える必要があると思っていたのだけど、そううまくはいかないようですね。


「でも、なんで素材を変える必要があるんですかにゃん?」


「ああ、それは戦闘中に破壊されないようにですね……」


「でしたら大丈夫ですにゃん!【ホーム】として設定された家は破壊されにゃいにゃん?」


 え?


----

>そりゃあプレイヤーの家が破壊できたら迂闊に家なんか建てらんねえよ……


>ストレージに入る破壊不能オブジェクトとか最強では?


>マジかよ家最強だな


>本格的に環境が家バトルになりそう


>でも漆黒の翼は家を破壊とかしてたんじゃなかったか?


>↑NPCの家は破壊できる


>草


>普通は逆だろ

----


「でしたら家の素材を変更する必要はなさそうですね。家具だけ見ていきますか……」


「いえ、待ってくださいですのにゃん……それならば、なおさら家の材質は重要ですわにゃん」


 家具コーナーに向かおうとしたボクを猫姫さんが引き止める。家の材質が重要?耐久性に問題はない。むしろ、付与される追加効果が鍵になる……。


「卍荒罹崇卍さん。極端な話、材質が紙であっても()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですのよ?にゃん」


「あっ……!」


 そうか、家の耐久性は素材に依存しない。ならば、その分の素材スペックを他に割り振ることができるんだ!


「何か面白い素材に心当たりはありませんか!?」


「さ、さあ……そこまでは……にゃん」


「効果を重視するなら何か属性付きの石があればいい感じにゃんだけど……」


 属性付きの石ですか……。その言葉から察するに、この場所にはないんですね。ボクの所持品に何かないかな?


 【ストレージ】を開いて素材を確認してみると、なにやら素材やらアイテムの名前がボクの目の前にごちゃまぜで表示される。


 【グラビティコントロール】を取得してから整理する必要性が減ってきましたからねー。


 ずらーっと並ぶアイテムを入れ替えながら、下までスクロールしていく。すると、それは見つかった。


「あっ!【ディバインゴーレムの石】!これなんかどうですか!?聖属性ですよね」


 ストレージから1つを取り出し、店員さんに見せてみる。


「おっ!ディバ石ですかにゃん!でも——確かにこれには聖属性が付いてるように見えるけど、実際のところ聖属性じゃないですにゃん」


「え、そうなんですか?なんか明らかに聖属性っぽい感じですけど」


 取り出した石はキラキラと光を放ち続けており、聖属性以外の何物にも思えない状態だ。


「【ディバインゴーレム】の出現エリアでこういった神聖なモンスターが出る理由は知ってるかにゃん?」


「ああ、【フェイク・ゴッド】ですよね?」


 魔王討伐の前哨戦として討伐したことのあるモンスターだ。一般モンスターでありながら、【パーティ】での討伐が推奨される強力なモンスターで、【グレイブウッド】に存在する中では唯一の闇属性モンスターだ。


 【グレイブウッド】が神聖さを保ち続けているのは、あのモンスターが周囲の闇属性を吸収しているからだと推測できる。


「そうですにゃん。世界観としては【ライブラリ】にも載ってる情報だから間違いないにゃん。でも……闇を吸い取ったからといって自動的に聖属性が付与されるわけではないにゃん?」


 店員さんはこのゲームの世界観に精通しているようで、推測ではなく事実としての情報を持っているらしい。


 言われてみればもっともな話だ。闇属性が除去されただけで聖属性になる。作品の設定によってはなくもない話だけど、それが当たり前と結論づけるのも間違ってるよね。


「じゃあ、なんで光ってるんですのにゃん?おかしいですわよ、にゃん」


 猫姫さんの言う通り、実際問題として素材があからさまに輝いているのも事実。ではなぜこのような現象が発生しているのか?


「それは簡単な話。闇属性が極限まで吸い取られたからですにゃん」


「……吸い取られる……?」


「そう——この鉱石は聖属性なのではなく、闇属性のELMがマイナスに振れているだけなのですにゃ」


----

>完全にデメリットアイテムじゃねーか!


>言葉を言い換えただけでほぼ聖属性なのでは?


>↑闇属性が高いから聖属性が弱くなる、みたいな均衡設定はこのゲームには無いから普通に闇属性の適性が皆無なだけ


>でも実際闇属性の敵に聖属性効くんだよなぁ


>それは闇属性を持った敵に聖属性を弱点として設定してるだけで実は因果関係がない


>マジかよ糞鉱石じゃねーか

----

「負の闇属性……ってことですか」


「そして、だからこそ、この鉱石には無限の可能性があるにゃん」


 そう言って、店員さんはボクから石を受け取り、店の奥へ向かう。


 そして、こちらを振り返り、


「これから家の壁を構築するにゃん。だから庭に家を出してほしいにゃん」


 この鉱石を使うことが確定したかのような口ぶりで、ボクたちを裏庭へと誘う。


 負の闇属性に秘められた無限の可能性……それは一体……?


「……どうしてわたくしに誰もツッコミを入れないんですのにゃん?」


テクニックその34 『不壊化』

家の条件を満たしたアイテムは不壊になります。

シンプルですね。テキストが短いテクニックは強い。

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