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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
5章 Communication 異文化交流と配信戦争!

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第179話 ムゲン発火

 アリンドさんは「そろそろ順番待ちが長くなってきたから」と話を切り上げて、ボクたちはとりあえず列から外れる。


「結局古代文明についてはあまりわからなかったね。あかりちゃん、しょんぼり〜」


「まあ、もっと深く聞いていったらわかるかもしれないですけど……今のところ、わかったのは勇者には【加護】と【権能】——【黄金の才(ユニークスキル)】があるということくらいですね。歴史書の記述の裏付けにはなった、というところでしょうか。——それより、もっと気になることを言ってましたよね?」


「古代文明とはちょっと外れる可能性もあるけど……あかりちゃんイヤーはちゃんと聞いてたよ!……『時が戻せるのなら』だよね?」


 そう、『時が戻せるのなら』。普通に考えれば、後悔の念が込められた何気ないフレーズかもしれない。


 もちろん、セーブ&ロードの概念がないMMOにおいても時を戻すなんてことはそうそうない。せいぜい、運営が致命的なバグの結果を打ち消すために、すべてのデータをロールバックさせるくらいだ。


 でも——クエストという限定的な条件下において、ボクたちは時間を巻き戻すことができる。


 一度受けたクエストの再受注。


 正規ルートを進んだプレイヤーがアリンドさんを助けるために使った機能をボクたちは再び活用すればいい、というわけだ。


----

>隠しルートの隠しルートが見つかる可能性が?


>こういうところだけ凝ってるよなこのゲーム


>むしろ意図的にバグ染みた要素ぶちこんでる癖にギリギリバランス崩壊してないことのほうが凝ってる


>凝ったゲームを作れる作者がクソゲーを作ることに凝ったゲームだからね仕方ないね

----


「でも、仮に戻ったとして、魔王ってのは話が通用する存在なんですかね?」


「アリンドさんの説得も必要だよね?現在の時間軸においては話し合わなかったことを後悔しているみたいだけど、当時でもそういう考えだったかどうか……」


 色々と課題はあるけれど、とりあえず戻してみないことには始まらない。【メニュー】を開き、メインクエストの再受注を選択する。するとボクたちの前にアリンドさんが現れた。


「ハッハッハー!【ユズレス大森林】に行くぞ!調査しないといけないからなぁ!任務を終えた後の【パインサラダ】が楽しみだぜ!」


「わかりました!さっそく任務を達成しましょうか!【ユズレス大森林】へしゅっぱーつ!」


「おー!」



 とりあえず流れに乗って、【ユズレス大森林】にやって来たボクたち。【パーティ】で挑むようなボスキャラがやってくるクエストだけど、今回はボクとあかりちゃんさんの2人だけ。話し合いをするんだから必ずしも戦闘になるとは限らないし、なにより現在のインフレ環境において魔王はもはや雑魚だ。アリンドさんとの3人がかりなら問題なく倒せるはずだ。


「そういえばさ、アリンドさんって勇者なんだよね?勇者ってなんなのかな?あかりちゃん気になるな〜」


「おっ、勇者のことか。俺もよくわからないんだがなー。親も勇者だったし、世襲制なんだけど、昔のことはぜんぜん記録に残ってない。ただ、人類に仇をなす魔族を倒すのが使命ってところか」


「魔族って悪い奴なんですか?」


「確かに俺が今まで倒してきた魔族はみんな悪いことをしてた。でもな、人間だって悪いことはするんだよ。魔王以上の災厄をもたらした人間だっている。でも俺の【天啓】が反応するのは魔族だけ。なんでなんだろうな、魔族ってなんなんだ?」


 軽く質問をしていくと、クリア後と同じような疑念を抱かせることができたようだ。


 もしこの森に魔王がいたらどうしますか?そう問いかけると、「あり得ない仮定だな」と苦笑しつつも、


「そうだなあ……なんでそんなことをするのか?月並みな疑問だが、闘う前に聞いてみるかな」


 そう答えてくれた。アリンドさんについてはこれで解決。問題は魔王のほうですね。


 魔王の背景要素は、好きなだけ雑談を通して情報を集められるアリンドさんと違って、さっぱりわからないけど……今のところわかっているのは、人間だけど魔族の側についたということくらい。だから勇者補正が効かない。【天啓】をはじめとする勇者の事情についてもある程度知っていて、この国の国王を影で操っていた。こんなところかな。まあ、これは正規ルートを攻略してないからボクがそれ以上の情報を知らないだけなのかもしれないけど。


「正規ルートでは魔王の背景について語られたことってあるんですか?」


「一応あった気がするけど……あかりちゃんが覚えてる限りでは、人間に裏切られて魔族に助けられた。こんなところかな〜」


「すっごいふつーですね。ただ、必ずしも魔族が人類に危害を加えるとは限らない、ということですか」


「そうとも限らないんじゃない?強い人間だから闇堕ちさせて尖兵にしようとしたのかもだし」


----

>だとしたらそいつが裏ボスとして出てきたりしてもおかしくなさそう


>勇者は世襲制らしいけど魔王は違うのかな?それともヒュマデサタンは自称してただけなのか


>自称であんな強いスキル使えるか?勇者みたいな専用クラスの技レベルだろ


>まあゲーム的には人間じゃなくてモンスター扱いなんだからその辺の整合性は突っ込んでもしょうがないけどな

----


 コメント欄でもいくつかの意見が交わされている。確かに魔王の使うスキルは特異な技が多かった。【メイジ】も一部のスキルなら闇属性スキルを使えるし、【ナイト】もそういった要素が少なからずあるのだけど、魔王が使うスキルは完全に専用の闇属性スキル。いっそ種族が魔族になっているというのなら、そういったスキルが使えるのも理解できるけれど、【天啓】の判定では人間扱い。


 こんなクエスト開始地点に向かう道中で考えることじゃないかもしれないけれど、魔王も十分に謎が深い存在だ。


 さて、そんな考察をしている間に魔王の出現スポットに到着していた。さあ、どうなるかな?


 戦闘になるかどうかはわからないけれど、一応付与(バフ)をボクとあかりちゃんさんにかけておく。【イグニッション】はスキルさえ発動させなければ4分間は継続するので、かけておいて損はない。ついでに【イグニッション】を自分自身にかけて、強化された【イグニッション】を仲間にかければその効果もさらに上昇!時間がかかるので戦ってる最中は使えないけど、一度やってみたかったんだー。


「ちょっと待って、卍さん?」


「なんですか?」


「【イグニッション】で強化した【イグニッション】を自分にかけて【イグニッション】したら最強では?」


「え?」


----

>無限ループやめろ


>つよい


>INT強化とかでもいけんじゃねこれ


>残念ながら普通のバフは二重に付与できないんだよなあ

----


テクニックその89 『ムゲン発火』

次に使うスキルを強化することができる【イグニッション】。このスキルによって次に使う【イグニッション】を強化します。

そしたらその強化された【イグニッション】で次に使う【イグニッション】を強化しよう!

本来なら付与(バフ)は重複付与できませんが、【イグニッション】は効果発動と同時に消滅するので実質的な重ねがけが可能!なお、ムゲンとは言いますが上限値があるようです。

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