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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
5章 Communication 異文化交流と配信戦争!

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第172話 インフィニティジャンプ

さっそく【メモリシード】を使ってアイテムを作っていくことに。さすがにうさぎの姿ではアイテムは作れないのでアバターを切り替えてからの制作作業。


「といっても、実際どういうアイテムを作ればいいんだろう?」


「ボタンを押すとびよーんと伸びる槍とか作れるみたいだよー」


 めりぃちゃんはすでに作ってみたいアイテムが決まっているみたいで、【ドローイング】を使ってぱぱっと外装のモデリングをしていく。


 やがてめりぃちゃんが完成させたのは一対の革靴。一見すると普通の靴に見えるけれど、なんらかのギミックが埋め込まれていることに間違いない。でも、一体どんな靴なんだろう?


「これはねー。正確には靴じゃなくて、靴にセットするアイテムなんだよー」


 そう言って裏側を見せてくれるめりぃちゃん。よく見るとなにか薄い板のようなものが靴底に取り付けられている。新手のシークレットブーツみたいに見えるけど……。


「なんだと思うー?しっこくからアイデアをもらって作ってみたんだー」


 漆黒の翼くんの発想なのか。ってことは見た目よりもっと凄いものなのかな?


「ああ、もうわかりました。答えはあえて言いませんが」


「AWP-002はやっぱり頭の回転が速いね。わたしも自分で答えを出してみよう」


 AWP-002がこの時点でわかったということは、外観によるヒントだけでも答えを導けるということ。まじまじと裏底にくっついた板の特徴を捉えていく。


 まず、気がついたのが、板は靴底から少しだけ浮かせて取り付けられているということ。そしてその板を支えているのが、【メモリシード】によって可動する線。つまりこのアイテムは板部分が飛び出たり引っ込んだり、あるいは左右に動くことによって目的が果たされる、ということなんだけど……。


「……ジャンピングブーツ?」


 こう、トリガーに反応してぴょっこーんと跳ねられる、みたいな。


----

>もしかしたら歩くときに適切な力で補正してくれるアシストシューズかもしれない!


>こんな数十分で作れるような機能じゃなさそう


>身長を自在に調整できるスーパーブーツだぞ


>相手を蹴飛ばすときにリーチが伸びる系装備に違いない

----


「ジャンピングブーツ……おしい!ちょっと違うかなー?」


「えー?ヒントちょうだい♥」


「だめー!よく見ればわかるよ!」


 よし、もう一度じっくり見てみよう!さっそくじーっと眺めてみる。


 うーん、なんとなく板が発光してるような気がする。たぶんだけどこれ、どこかで見たことがあるような?


「あっ。もしかしてこれ、〈ロードウイング〉用の道路?」


「そうそう!もうわかったでしょー?」


 そう言って道路を取り出して靴と一緒に並べ、比較させてくれるめりぃちゃん。そっか。ジャンピングブーツが惜しかったのは、【エアジャンプ】に関係しているからなんだね。


 たぶんだけど仕組みはさっきまで考えていたジャンピングブーツの原理とは全く逆。板が出っ張るのではなく、引っ込むのかな。


「じゃあさっそく履いて試してみるねー!」


 そう言うといったん板を取り外しためりぃちゃんは、メニューを操作して靴を換装する。その後再び板を靴の裏側にセットして【ギルドハウス】から出ることに。【エアジャンプ】をするなら建物の中じゃ狭いからね。


 そして外に出てついに靴のお披露目。めりぃちゃんはすうっと深呼吸すると、スキルの発動を宣言する。


「【エアジャンプ】!【エアジャンプ】!【エアジャンプ】!【エアジャンプ】!」


 【エアジャンプ】の連続使用。これは『ボク』もよく使っていたし、他のプレイヤーも使っていたこのゲームでは殿堂入りに近い超便利テクニック。だけど、めりぃちゃんの動きは今までの【エアジャンプ】、そして〈ロードウィング〉の発動光景とは少し違う。


 そう、板を足に叩きつけないでジャンプしているんだ。それは〈ロードウィング〉の片手が塞がれるという致命的なデメリットを克服する革新的な現象。


 そしてその現象がどういう理屈で成り立っているかというと、やはり靴裏についた板に理由がある。


 まず【エアジャンプ】を発動する。すると同時に一瞬だけ靴裏に板が引っ込む。ほんのわずかしか浮いていないから見た目ではほとんどわからないけどね。で、それによって接地の判定が満たされて、即座に【エアジャンプ】が使用可能になる。


 このアイテムの特徴は靴とは独立したアイテムであるということ。接地の条件は、足か靴が地面に接していることだから、靴と板をただ一体化しても意味がない。


 ただ、それによって拡張パーツみたいに他の靴に取り付けることもできるみたいだし、そこはむしろメリットになってるかもね?


「すごーい!まさに無限ジャンプだね♥」


「MP消費のリスクは残ってるけどねー」


「これまで発見された仕様に関連するサポートアイテムを制作することでより強力なアクションを取れる……新たな可能性が生みだされましたね。……では私は、無難に盾でも作ってみましょうか」


 そうしてAWP-002はアイテムを作り始めるのだけど、その手捌きはとんでもなく速い。あっという間に図面を組み立てて、その辺の露店で素材を購入し、形を完成させていく。そして【メモリシード】にプログラムを構築して、新たにギミック付きの装備がこのように生み出された。


 軽く図面を見た限りでは、【ホーム】みたいだね。真四角の無骨な木製の箱にミニチュアの椅子やテーブルが詰め込まれて、さらに収納口が用意されている。まずこのアイテムの重要な点は『盾に必要な要素が入っていない』ということ。具体的に言うと持ち手がない。


 このゲームは盾を殴られたら減衰こそあれどダメージ自体は普通に受ける。逆に盾以外の場所を殴られてもある程度なら盾による減衰があるからメリットもあるんだけど……このアイテムは装備じゃないから殴られてもダメージを受けない。


 それ自体はわりとありふれた発想だけどね。それに思い切り殴り飛ばされたら地形ダメージは受けるから無敵ではないし。


 で、その持ち手がない盾をどうやって持つのかというと、先程のアタッチメント方式の靴板と同じだ。完成した【ホーム】の両端を、【メモリシード】を使って作成した持ち手付きの万力でがちゃっと挟んで持ち運ぶみたい。単純に接着剤とかでくっつけると一体化したアイテムになっちゃうから、ってことなんだね。


 ただ、これだけだとは思えない。わたしに負けたとはいえ、思考能力に長けたAIであるAWP-002が作ったものなんだし、まだなにか隠されてるね?


 わたしはちょっとわくわくしながら装備の観察を続けていく。

テクニックその86 『非装備装備』

装備に付随した着脱可能なアタッチメントだよ。

つけ外し可能のアイテムは装備の一部に含まれないから、一部の装備やアイテムに課された制限・条件・性質を踏み倒すことができるんだよね♥


テクニックその87 『インフィニティジャンプ』

以前から様々な場面で活用されてきた〈ロードウィング〉、その最終進化系!

板を叩きつけるという手順を自動化することによって腕が塞がれるというデメリットを打ち消した自由自在のジャンプが可能になるんだよっ。

けれどMPが必要なことと、連呼している間はスキルを使えないという欠点は残念ながら克服できていないのが残念かな。こっちは【マクロ】の方をうまく使っていこうね。

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