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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
5章 Communication 異文化交流と配信戦争!

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第150話 屠神 荒罹崇のくーる&てくにかる配信ちゃんねる

「みなさんこんばんにちはー。屠神 荒罹崇のくーる&てくにかる配信ちゃんねるへようこそー♥」


----

>乗っ取られたか


>卍さんに合掌


>いい奴だったのに……


>こら!俺たちの卍さんを返せ!

----


「まあまあそんなこと言わずに。ちなみにくーてくちゃんねるでは『卍さん』がやらなかったちょっとえっちな配信を予定してるんだよねー♥」


----

>卍さんさよなら


>もう帰ってこなくていいぞ


>チャンネル登録しました

----


「ちょっと待ったー!すみません、《ロールプレイング》が暴走してました。当配信はてくにかるな技術や面白い小ネタを提供する極めて健全なちゃんねるです!さっきのは嘘です!」


 なんか〘Multa〙と同じような症状が起きていませんか!?もしかしてこれが〈進化(エボルド)〉の副作用……?


----

>は?


>俺達のとがみんを返せ!


>とがみんってあだ名好き


>べ、別に卍さんのことを心配してたわけじゃないんだからねっ

----


「さて、みなさん。【フォッダー】のニュースは耳にしましたか?実は先日から謎の生命体がこのゲームにログインしているらしいんです!目ざといみなさんならとっくに知ってますよね?というか昨日の配信でも映ってました。」


 とは言っても多くの視聴者さんは昨日のことを覚えていないようで、例によってチャンネル登録を外したりしてくる。


 しかし中には昨日の件によって耐性を獲得した人もいるらしく、あの後ログインして実際に見たという書き込みやお友達になったという書き込み、それからهل تشاهد?(見てるー?)といったコメントも一部見受けられた。


「どうやら半々ってところですかね?とにかく実際にいるんです!そして、その子たちは明日香さんの《SANチェック》に相当する力を常に放ってるので見ただけで発狂か気絶します!このままだと多くの人はこのゲームを遊べません!」


----

>そういえば昨日ゲーム始めようとしたらいつのまにかログアウトして気絶してたんだよな


>俺なんか病院運ばれたぞ


>よく病院運ばれるようなゲームの配信見に来てるね


>俺はエアプだから危険は無いぜ


>俺なんか死んだからな


>成仏してくれ


>そんなもん居るわけ無いだろ。俺がログインして確かめてくるわ


>また1人逝ったか

----


「ついでに言えばこの配信も耐性がないと視聴できない、かなりコアな配信になってしまうんですよね。なので軽いところから慣れていただこうと思うのですが、よろしいでしょうか?」


----

>明日香さんのSANチェックを受けても涼しいとしか思わなくなった俺を発狂させられるかな?


>楽しみ!


>ホラー配信かな


>震えてきやがった……


>まだなんも来てないのに震えてて草

----


 よし、大丈夫そうですね。震えてる人もいますけど、たぶん貧乏ゆすりか何かでしょう。というわけでさっそく昨日知り合いになったお友達を紹介することに。


「あ、じゃあカメラを向けますね。こちら貞子さんです。夢はテレビに映ることらしいですよ!この配信もテレビみたいなものです。夢がかなったんじゃないですかー?」


----

>ひいいぃぃぃ!!


>怖い怖い怖い許して許して


>ぎゃああああああああ


>コメント送ってる暇があるのか?


>怖くてもコメントを送信するのが視聴者の役目だからね

----


「嘘です、私でした♥」


----

>なんだ明日香さんか


>びっくりして損した


>貞子ファッション似合ってますよ


>それ褒めてるの?

----


 軽いジャブとして明日香さんを呼んでみたのだけど、やっぱり彼女は慣れているようで、変装していてもそこまでびっくりしなかった様子。でも慣れてもらうには少しずつハードルを上げていかなきゃいけないしね。


「ずいぶん余裕そうですね、みなさん。では、次のお友達を紹介しますね――昨日お友達になった子でابتسامةさんっていうんですよ。カメラを向けますね」


「التحيات!」


----

>かわいい


>なでなでしたい


>お友達になりたい

----


「ですよね。このどろっとしてるところが特にきゅーとですよね?」


 昨日映ったときには気絶するほどのショックを与えたابتسامةさんだけど、今は少し力を抑えて、あまり怖がらせないようにしてもらっている。


「この子みたいなプレイヤーさんが今はたくさんログインしてるんですよ。だから、あまりびっくりしないであげてくださいね?」


 どうやら何度か気絶してしまえば耐性がつくらしく、それから少しずつ本気を出してもらったけれど、コメント欄の反応的には特に問題はないようだった。まあ、気絶してしまえばコメントできないので本当のところはわからないのだけど。


 ابتسامةさんが少しずつ本気を出していく動画というのもこの配信と並行してアップロードしていて、それを再生すれば【フォッダー】のプレイおよびボクの配信は視聴できるはずだ。


「それにしても……なんで急にログインしてきたんでしょうかね……?」


「私も聞いてみたのですが、『流行ってる』としか教えてくれませんでした♥」


 『異形』に詳しい明日香さんにもわからないことがあるようで、今回やってきた『異形』さんたちのことは結局不明のままだ。


「『異形』は表舞台に現れない存在でしたから……。これからは対策が必要になるかもしれませんわね♥知り合いと相談して情報開示を働きかけておきますわ」


「ありがとうございます、明日香さん。ちなみに危険な『異形』さんってのはいらっしゃるんですか?」


 とりあえず【サバイバル杯】で遭遇した触手の子と、配信に映って手を振っているابتسامةさんが悪い子ではないというのはわかるのだけど。


「そうですわね……。この子は食品ロスで捨てられたお肉をこっそり食べていく生物で、人間に害はありません。この前の触手の子は夜道に現れて怖がらせる程度のことはしてきますけど、まあおおむね友好的、といったところでしょうか♥」


----

>後者は普通に危険なのでは……?


>ホラー番組に出演してそう


>というかマジでこういう生物がリアルにいるの?

----


「意外といろんな生態があるんですね……」


「軽く見回ってきた限りでは、このゲームに来てる方々に危害を加えるような『異形』はいらっしゃいませんね。退魔師の人も念のためにパトロールしてますから大丈夫だと思いますよ♥」


「なるほど、となると、本当に遊びに来ただけなんですかね?新しいお友達が増えるのは良いことですが、またなにが起きそうな予感……」


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