表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

130/506

第128話 地道な事前準備

 練習試合が無事に終わり、反省会の時間だ。正直言って、あそこまでアドバンテージを取っていて、そのままねじ伏せられるのは問題だ。


「【アブソリュート】でしたっけ。新スキルなんですかね?」


 ボクが気になったのは、すらいむ明日香さんの使っていた【アブソリュート】というスキルだ。間違いなくAWP-002さんも、大量のスキル連呼に紛れて使っていたと思う。


 ボクは大抵の職業(クラス)のスキルを、最低でも名前までは知ってるつもりなのだけど、このスキルは聞いたことがない。となると、今回のアップデートで追加されたスキルのはずだ。


「【ナイト】のスキルですわ♥その効果は——【モーションアシスト】の無効化」


「無効化……!?」


【アブソリュート】

[アクティブ][近接][攻撃][物理]

消費MP:12 詠唱時間:0s 再詠唱時間:45s

効果:[キャラクター]に[ダメージ]を[与える]。この[スキル]に[キャラクター]の[モーションアシスト]は[反応]できない。


 スキルの詳細を確認してみると、その意味がわかった。なるほど。【アブソリュート】を回避したい、そう考えたとしても【モーションアシスト】が最適解を教えてくれなくなる。原理は異なるが、近接(ビルド)における『必中』スキル、ということか。


「つまり【モーションアシスト】に頼らなければ回避可能ということ……」


 身体が硬直したかのように動かなかったのは【モーションアシスト】によるサポートを前提としていたからだ。自分の意志で身体を動かそうとすれば、至って自然に迎撃できたわけだ。


「基本的には『必中』だけど熟練度(プレイヤースキル)が高ければかわせるってことですね。こういうのやめてください!現実(リアル)格闘家の無双には反対です!」


----

>リアルの身体的特徴を持ち込めるゲームで言うことなんですかねえ


>なお卍さんもプレコグニションに対抗する時に似たような事をやっていた模様


>リアルで修行しろ


>むしろ現実で強くてもモーションアシストには勝てないのがデフォだったしこれくらいの恩恵はあっていいよ


>AIの人はアブソリュートを使ってたし対策無いと積むぞ

----


 対策か……。一応このからくりを知ってさえいれば次からは動けますが、どちらにせよ追尾性能を伴う攻撃ですからね。回避ではなく迎撃しなければならない。


 対策が必要なのは【アブソリュート】だけではない。AWP-002さんはいくつものスキルを同時に発動できるし、おそらく優れた知性によって最善手を打てる。場合によっては、〈改造行為(チート)〉で腕や足を増設してくるかもしれないし、ボクが使えるおおよそのテクニックは相手も使える。


 〈魂の言葉(ソウルワード)〉は使えないみたいだが、〈装飾表現〉を重ねるのはAIの得意分野だろう。明日香さんにとっての〈SANチェック〉のような出力でなければ、精神競技(マインドスポーツ)はお手のものだ。


 そうなると残された武器は【黄金の才(ユニークスキル)】。あるいはボクの目に備わっている《『心眼』》くらいか。


 《『心眼』》を活かすことができれば良いのだが、今のところはプレイヤーの放つ『魔力』から居場所がわかったり、明日香さんの触手が見えてしまうだけなので、直接的に戦闘で優位性を得ることはできない。


 やはり搦手でいくしかないですね。【サバイバル】の仕様を学んで、情報によるアドバンテージで優位に立ち、初見殺しで突破する。どういう初見殺しならAIに通じるかは想像もつかないが、やってみるしかない。


 予定が決まったら再び練習試合を行う。ただし今回は明日香さんと寿美礼さんしか参加しない少数規模の練習試合だ。さらに配信を切って情報の流出を極限まで防止する。


 ボクの配信者としてのスタンスとは大いに反する行動だ。とはいえこれは本番で素晴らしい戦いを見せるための事前準備。視聴者さんには申し訳ないけれど、ぱーふぇくとな戦略には地道な情報収集と研究が欠かせない。


 全速力でジャングルを駆け巡り、アイテムを回収していき、その位置情報を【マップ】にメモしていく。すべてをメモしたらリセットして再走だ。


 これを繰り返していくと、アイテム配置の傾向が見えてきた。素材の配置はやはりランダムになっているようだ。ただしどうやらそのランダム性に偏りがある。


 南には鉱石が多く、北には調薬用の素材が多い。西には食材が多く、東には加工済みのアイテムが配置される傾向にある。


 南だからといって調薬素材がないというわけではない。大幅に偏っているだけで他の素材も見つかるし、中間の方角なら、対応する素材が両方とも多めに配置されている。


 またエリアの外側のほうがアイテムが多く、内側のほうがレアリティや品質が高い傾向にある。これもあくまで傾向なので必ずしもそうだというわけではないが、目安にはなるだろう。


 ただし【サバイバル】におけるプレイヤーの初期配置はランダムだ。必ずしも目的のアイテムを採取できる位置にいるとは限らない。完全な運ゲーである。


 【ダブル杯】と同じように毎週開催されるのだから多少なりとも運ゲーでいいと運営は思っているのかもしれない。ただし今回の【サバイバル杯】に勝たなくてはならないボクとしては最悪だ。配信者としても運負けだなんて言い訳はできない。


 つまり——運に左右されない戦略を開発する必要がある。


 初期配置の場所によって臨機応変に対応ができるように、あらゆるパターンをシミュレートして、検証する!すべては勝利のために!


 結局それからボクはひたすら試合を繰り返し、日付が変わってからようやくログアウトすることにした。


 残りカード枚数:0枚


 残り日数:2日


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼ 他のオススメ作品 ▼
【VR】ブレイブファンタジー【神ゲー確実】
掲示板形式で進む謎のVRMMOモノ。
結月ゆかりは画面を見つめる
VR全盛時代に古きを貫こうとする謎の二次創作モノ。
サキュバスさんがおうちにやってきた
平和な謎の日常コメディモノ。
これが僕らのMMO!
現実のMMOを主題とした謎のエッセイ。
― 新着の感想 ―
[一言] …アレ、これつまりAIメタでは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ