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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

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第112話 スライムあすかさん

「モンスターのアバターを操作できるということですか?」


「ヒヒヒ……人の身体を脱ぎ捨てて、魔の根源に最も近いとされる強靭な肉体を得てみないかい?」


 質問には答えてくれなかったけどおおむね間違っていないようだ。面白そうですね。


「ちなみにどんなモンスターになれるんでしょう?」


「モンスターが落とす【カード】……それさえあればどんな姿でも思いのままさ」


 なるほど。現在の状況だと明日香さんはスライムになれるということですね。


「では——わたし、スライムになります♥お願いしてもいいですか♥」


 そう言いつつ明日香さんは【スライムライム】の【カード】をおばあさんに手渡す。それを受け取ったおばあさんは2回ほど頷き、水晶玉に手を伸ばす。


「では、早速変えてやろうか。なあに、気に入らなければすぐに戻れる。安心しな。ヒッヒッヒ」


 そう言うとおばあさんの手からエネルギーが水晶玉に送られる。力を受け取った水晶玉はキラキラと光を放ち、明日香さんに向けて光線を放った。


 光線を浴びた明日香さんは真っ白に輝きながらゆっくりと姿形を変えていき……やがて光が収まり、そこには黄緑色の小さなスライム——明日香さんがいた。


 思わず抱き上げ、ぷにぷにと触ってしまう。病みつきになる弾力だ。かわいい。


「あっ♥おねえさま……そこは恥ずかしいですわ……♥」


「えっ!?ボクはスライムのどこを触ってしまったんですか!?」


----

>これはR-18指定

>セクハラとか卍さん最低すぎる

>うにょーんってしてくれ

----


 コメント欄で要望が来たので、うにょーんと引っ張ってみた。今度は恥ずかしい部分ではなかったらしく、反応はなかったがとっても楽しい。


「【メニュー】から戻れるみたいですね。ステータスはレベル1ですので、別キャラクター扱いみたいです♥ただ、職業(クラス)は取得できそうですよ♥」


「なるほど、即戦力にはなれない感じですね。とりあえず今回はこの配信の癒し系マスコットとしてその姿でいてくださいね!」


 【転生】に使用した【カード】は残念ながら消失してしまったので、新しい【カード】がないとボクもこの機能を体験することはできない。早く何か手に入るといいなー。


 とりあえず【輪廻の館】から出て明日香さんを抱えながら街を散策する。軽く見て回った限りでは【ディスポサル王国】とは趣が異なる要素がいくつかある。


 なんと、モンスターが街を徘徊しているのだ。いや、明日香さんも今はモンスターだし、他のプレイヤーもモンスターになっているのだけど、ボクが見かけたのはNPC枠としてのモンスターだ。【輪廻の館】を利用している設定なのか、はたまた素の状態でモンスターなのか……。そのあたりはわかりませんが、これがこの街の特色なのでしょう。


 ちょうどクエスト発生のマークをつけたタコさんが足をうねらせながら徘徊していたので声をかけてみることに。


「こんにちは!なにかお困りですか?」


「おや、旅人さんかな?【ノーグッド】へようこそ。最近この街の近くに凶悪なモンスターが潜伏しているという噂があってね。何人もの人が犠牲になっているらしいんだ。本当は用事があって出かけたかったんだけど、それが怖くてねえ……」


「なるほど!では、ボクたちが護衛いたしましょう!」


「本当かい!?ありがたいねぇ。報酬はこれでどうだい?【魔法のタコ墨】。本を執筆するのに使えるんだよ」


 ……と言いながらポーションの瓶を取り出して、墨を吐き出すタコさん。どうやらお手製のアイテムらしい。


 本を執筆かあ。魔法の本が作れるのかな?


「わかりました♥全力でお守りいたしますね♥」


 タコさんはどうやらここから北にある【フール村】と呼ばれるところに向かいたいらしい。その間には【ダイ平原】と呼ばれるエリアがあるのだけど、基本的にそこのモンスターたちは無害であり、危険もなく安全に通行できるのだとか。


 と言っても護衛のクエストなのだから、本当に無害であるはずがないよね。タコさんを引き連れて、スライムの明日香さんを抱きしめながら街を出て、とことこと北へと向かう。


「そういえば、凶悪なモンスターってどんな感じなんですか?守るのにも相手の情報は欲しいですね」


「ああ、それはだねぇ……。あっ、あそこにいる!あのモンスターを倒してくれ!」


 おっ、もう出てきたんですか!?どこどこ!?タコさんが足で指し示す方向を見ると……そこには!!


「ヒャッハー!!こいつら経験値がうまいぜ!根こそぎ狩り尽くそうぜ!」


「そうだなジョニー!レベリング最高だぜえ!」


「なんて極悪なモンスターなんだ……!」


 マジかよ。プレイヤー最低ですね。


「そこのお二人さん。通ってもいいですか?護衛中なので」


「どうぞー。あ、護衛イベのNPCはプレイヤーが倒すとレアアイテムがもらえる仕様なので気をつけてくださいね」


「そういうことなんですね。ありがとうございます、気をつけます」


 お二人さんはレアアイテムには興味がなかったようで、普通に通してくれた。おまけにクエストの仕様まで教えてくれる良い人ですね。なるほど、プレイヤーがモンスター役として妨害してくる対人戦クエストなのか。この手の護衛クエストは他にもけっこう実装されていそうですね。


 これはより深く警戒しないといけない。そう思ったのはいいものの、それから特に何事もなく【フール村】に到着。タコ墨をいただいて無事にクエストが完了した。


 報酬はとりあえず置いておいて明日香さんを連れて村の外へ。スライムモードの真価を確認しないといけませんしね。


「さあ、スライム明日香さん!あそこに角の生えた狼さんがいますよ!戦ってみてください!」


「わかりました♥」


 しゃがみ込んで明日香さんを地面に下ろすと、明日香さんはとてつもない速度で地面を這いながら突撃していく。


 明日香さんに気づいた狼さんは、彼女を喰らい尽くさんとすべく大口をあけて迎え撃つ。しかしその瞬間、スライムの身体から緑色の液体が口の中に撃ち込まれた。


 液体で毒状態になった狼はダメージを無視して明日香さんに思い切りかじりつこうとするが、ぬるりとした動きで後方へ下がり回避する。そのまま大きく距離をとった明日香さんは、スライムの身体の中から【鬼火】を取り出して【キネシス】で射出した。


 火と毒で的確にHPを削っていき、戦闘は無事に終了した。


「【サイキック】を取得したんですね。さっきの毒はスライム特有のスキルですか?」


「そうですね♥モンスターの状態で取得できる通常の職業(クラス)は1つのみで、もう1枠は専用のスキルが集まった特殊(スペシャル)職業(クラス)で固定になるみたいです♥」


 モンスターの特性を引き継いだ上で、プレイヤーのときとまったく同じ戦術を活用することはできないということですね。このゲームにしてはバランスに配慮されている気がしますね!


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