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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

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第111話 転生

 やはり追加アップデートを最も体験できるのは新しい街だろう。ボクたちはその街に向かうことにした。


 【マップ】を開くと、確かに新しい見慣れぬ街が追加されている。というかそれどころではない。【アンネサリーの街】の西部に国境が追加されていて、そこを抜けた先には新しい国家がまるごと増設されているのだ。


 本当なら【コールグループ】で行けばいいのだけど、国家まるごと実装されたとなればその道中すらも追加要素があるに違いない。


「というわけでせっかくなので徒歩で向かうことにしましょう!【アンネサリーの街】に【コールグループ】してください!」


----

>徒歩で向かう(コールグループを使いながら)


>徒歩で向かえ定期

----


 【アンネサリーの街】からは徒歩だから!矛盾してないから!まあ、そんなこんなで【アンネサリーの街】に移動し、そこからはゆったりまったりとことことのんびりとした冒険が始まる。


 【アンネサリーの街】の西にはもともと【イグノランス洞窟】というダンジョンがあり、中盤のレベル上げスポットとして有名なエリアだった。【地図】を見る限り、この洞窟が国を隔てる国境になっているようだ。


 中盤のレベル上げスポットということは、ボクたちにとってはもはや取るに足らない相手ということだ。


 意気揚々と洞窟に入ると鎧を着た熊さんが襲いかかってきたのだけど、明日香さんが《SANチェック》を発動させると一目散に退散していった。


 《『心眼』》を得てからまだ2回目だけど、もはや完全に慣れたもの。むしろ背中から飛び出す触手も、改めて見ると明日香さんらしくてきゅーとに見えてくる。


 新規モンスターでも出てこない限りはあえて倒していく必要もないので、道中はすべて《SANチェック》で突破してスムーズに進んでいく。


 けど、逃げるのではなく錯乱して襲いかかってくるモンスターもたまにいる。今はそんな流れで数匹のスライムを撃破したのだけど……。


「あら?変なものがドロップしましたわ♥」


 そう言いつつ、明日香さんが【ストレージ】から取り出したのは1枚の【カード】。中には先ほど倒したばかりのスライムのイラストが映っており、ぷるぷると震えている。タッチしてみるとふにょんという感触が返ってきて、【カード】の中のスライムも変形していく。


「わー、かわいいですね。新アイテムでしょうか?」


----

>ミニゲーム用のアイテム


>だいたい全部の敵が落とすらしい


>スライムかわいいね


>くれ

----


「なるほど。先ほどのコメント欄でも言及されていたミニゲームで使う【カード】のようですね」


 改めて明日香さんの手にある【カード】を見てみると、イラストの下になにやら【カード】のステータスのような記載がある。


【スライムライム】

COST:1 HP:1 AT:1

効果:[召喚時][1/1][スライム]を[召喚]する。


 どうやらこういった【カード】を集めてバトルをするゲームのようだ。【カード】パックなども売っているのだろうか?


「さすがにこれ1枚じゃバトルできなさそうですね。もっと集めておかないといけませんね」


 というわけでそれからは横着をせずに洞窟内のモンスターを狩り尽くす勢いで倒していったのだけど、結局【カード】は1枚も出なかった。


 そのまま洞窟を抜けて、踏み固められた道沿いを進んでいくと、いくつもの家々が立ち並ぶのが見えてきた。どうやら街らしい。


 外壁や柵などに取り囲まれている様子もないし門もないのだけど、モンスターが出現するファンタジーな世界でそれは大丈夫なのかな? 


 まあゲームだし、細かいことを気にせずどこからでも街に入れる親切設計にしたのかもしれない。とことこ、街の中へ入ってみる。


 一見すると普通の街だ。NPCが販売する【武器屋】や【防具屋】、あとは転職用の【教会】など。ほかの街にもだいたいある施設はひととおりそろっていて、NPCがクエストを受けられる合図である電球マークを頭上に灯しながら道を歩いている。


 新しいアップデートで実装された街なくらいだから【ガベジー荒野】級の変化球で来ると思っていただけに少し肩透かしだった。でも今回は街ではなく国家ごと実装されたのだからこの街はともかく、ほかのところにはもっと面白い街が生えてるかもしれないね。


 そんな感じで基本的には普通の街なのだけど、今までの街には例外なく『固有施設』と呼ばれるものがあった。おそらくこの街にもあるだろう。この街特有の新機能を備えた施設。それを探すためにぶらぶらと散策していく。


 プレイヤーが立てたお店や家もすでに存在しているようで、それらが建つ一帯がこの街における一等地、つまり固有施設が近くにある場所なのだと推測し、その一帯をくまなく見て回ると……あった。看板には、でかでかと【輪廻の館】。間違いなく固有施設だ。


 基本的にプレイヤーが立てた家は誰の持ち家であるのか、ステータスを覗くことで確認できるけれど、この店はそれがない。つまり、アップデートが行われた瞬間からこの場に存在する施設というわけだ。


「情報は非公開にもできるけど、非公開であるという事実は表示される。これによってプレイヤーメイドとの違いを把握することができるのです!」


----

>そもそも初期配置の固有施設は地図に乗ってるよね?


>草


>今世紀最大の無駄テクニック


>ドヤ顔で何を言っているんだ……

----


「な、なな何言ってるんですか、ボクが【マップ】のことを忘れるわけないでしょう。これは突然このゲームから【マップ】機能が消滅してしまったときのことを考えていてですね……」


「この街の場所を確認するのには【マップ】を使っていらっしゃいましたよね♥」


「さ、さて!さっそく入ってみましょうか!【輪廻の館】に!」


 扉を開き、颯爽と店の中に突撃するボク。テンポが悪いとアップデートを追っていけませんからね。仕方ないですよ!


「いらっしゃい……キヒヒ……【輪廻の館】にようこそ。【転生】をご希望かい?」


 店の中には、水晶玉をじーっと見つめながらこちらに声をかけるおばあさんが1人。いかにもな雰囲気が漂っていますね。


「えっと、【転生】ってなんですか?このお店がどんなお店なのかわからずにやってきたもので……」


 転生という名前のシステム自体は古来のMMOには少なからず存在していたのだけれど、【フォッダー】においても同じとは限らない。そういう先入観は身を滅ぼすのだ。


「まあ、新機能だからね。知らないのも仕方ない。キヒヒ」


「ロールプレイとメタ発言を併用してきましたね」


「それじゃあ説明してあげようか。【転生】ってのはね。サブキャラクターを作ることができるシステムだよ。それも、モンスターのね」


 もしや、モンスターのアバターでプレイすることができるシステム……!?


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