表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/506

第110話 豊神の加護

「ちなみに【『ディオニューソス』】にも【加護】はあるんですか?」


「ありますのよ。案内いたしましょうか?」


「あら、強気ですね♥【加護】は基本的に【黄金の才(ユニークスキル)】と同じ課金者の特権では?」


「さすがにわたくしの【『ディオニューソス』】は模倣されようがないですし、構いませんのよ!」


 まあ、【『ディオニューソス』】はスキルを通り越してデータに介入するコンソールの領域に踏み込んでいますからね……。



 というわけで、猫姫さんの案内を受けて【祠】へとやってきた。この【祠】はなんと【ディスポサル城下町】の中にある高級料亭。ともすれば【黄金の才(ユニークスキル)】の保持者でなくても入れてしまうのでは……?と思ったのだけど、一流の料理人としての才能を見せない限りは出入りできない仕様らしい。


 で、どのようにして一流の料理人としての才能を見せるのかというと……。


「はい、わたくしの作った料理アイテムを自分が作ったと言い張って提出すれば通れますのよ」


----

>不正やめろ


>料理を販売するだけで加護が流出する欠陥仕様


>課金者の特権に対する扱いが雑すぎる運営


>猫姫さんじゃなかったらもう一回返金されるレベル


>猫姫なら許されるという風潮

----


 料亭の中は一見すると普通のNPC経営のお店だった。しかし、奥にはあからさまにきらびやかに装飾された扉があり、【加護】の情報がなくても明らかに何かが隠されていると確信できる様相になっている。


「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」


「あの扉の向こうに入りたいのですが」


「奥の部屋は神に選ばれし至高の料理人にのみ開放される特別なエリアです。入りたいというのであればあなたの料理人としての作品を示しなさい」


「これがボクの作った料理です。どうでしょう?」


 そう言いつつボクが取り出したのはアップルゼリーを塗ったトースト。


 受け取った店員さんは、そのパンをがぶりとかじった。その瞬間、彼の目の色が変わった。


「こ……これは……!サクッとした歯ざわりと、その後に訪れるもちもちの食感。そして咀嚼するたびにそこはかとなく感じられるパン本来の甘みがハーモニーを奏でている!これはまさに至高の料理……!さすがです!」


「いやー、それほどでも?」


----

>料亭の店員がトースターで焼いたパンをベタ褒めしている謎の光景


>そんなに美味しいのかな


>ドヤ顔で他人の料理を自分の料理として提出するクズ


>でもおまえらもこれから猫姫さんの料理を買って同じことするんでしょ?


>当たり前だ

----


 皮肉コメントが大量に流れてきたが、軽く受け流しつつ扉の奥へと案内してもらう。


 扉の奥にはこれまで何度も見てきた【加護】特有の【祠】の姿が。その中には例によっておじいさんが正座で待機しており、ボクに語りかけてくる。


「【『ディオニューソス』】の【権能】を振るいし者よ、よくぞ参られた。お主に【加護】を授けよう。——しかし、【権能】の所持者がこの短期間で世に現れるとは……時代の転換期は近いというのか……」


 そして、おじいさんが手をかざすと、不思議な光が送り込まれて新たなスキルがボクに追加される……!


【豊神の加護】

[パッシブ][ブレッシング]

効果:[食事][効果]を[増加]させる。


「なるほど、料理を強化するのではなく、食べた料理の効果を引き上げる能力ですか」


「そういうことじゃ。『豊神』の【権能】を活かす至高の【加護】よ」


 そして後からやってきた明日香さんも同じようにして【加護】を獲得した。


 「まさかこれほど短期間に新たな【権能】の持ち主が現れるとは……!」と、同じようなことを言ってるのが面白い。


----

>偽物なんだよなあ


>加護担当の人かわいそう


>加護担当の人だって馬鹿じゃないんだからわかっててわざとやってるぞ


>こういうNPC役って楽しそう


>30分くらいで飽きそう

----


 ついでにゴブ蔵にも【加護】を習得させて猫姫さんにお礼を言った。


「猫姫さん、ありがとうございます!おかげでまた強くなれました!」


「いいんですのよ。これでわたくしの作った料理が爆売れしますもの!」


 なるほど、猫姫さんの料理はこれから【加護】引換券としての需要が高まるわけですか。1度購入すれば永続的にスキルが獲得できるとなると、かなりのぼったくり値にしても売れそうですね。


 それから猫姫さんの作ったパンを再びかじってみると、先ほどより心なしかおいしく感じる。【豊神の加護】の効果だろうか?本来の味よりおいしく感じるスキルって、地味にひどい気がする。


「どんな料理でもよりおいしく感じることができるこの【加護】があれば素晴らしい食レポができますよね!」


----

>捏造食レポやめろ


>まーた卍さんが見えないチャーシューを幻視してしまうのか


>見えないチャーシューが食べられたら食費にお金を使わなくても済むのになあ


>気づかないうちに飢え死にしそう

----


「捏造じゃないですから!ボクにとってはそういう味になってしまうんです、このスキルは!みなさんが全員でこのスキルを取得すれば正しい食レポになるんです!」


「全員が洗脳されれば世界は幸せになるんですよ♥」


「その言い方は怖いからやめてください」


 ディストピアか何かかな?とはいえよく考えると言ってることはボクの発言とほとんど同じだった。やべーですね、このスキル。



 それから猫姫さんに依頼してHP増強効果のついた料理をたくさん作ってもらい、キッチンを後にした。HP1で食いしばることができる【パインサラダ】にも連続攻撃や地形ダメージという穴がありますし、素のHPが低いボクとしては、こっちのほうが有効に活用できそうなんですよね。


 そしてボクたちがキッチンから去るのと入れ違いに、何人ものプレイヤーがやってきて猫姫さんに話しかけていた。おそらく料亭に入るための料理を求めにやってきた人だろう。


「さて、【植物園】の素材はもういいでしょう。そういう施設があるという紹介にはなりましたし。次のアップデート情報を試していきましょう!……何があるんでしょう?」


 公式サイトに載っているアップデート情報を軽くのぞいてみると、新ダンジョンが追加された——とか、新しい装備の効果が追加された——とか、もう道を歩いてれば追加要素に遭遇するのではないかというくらいの大規模アップデートだと理解できた。


 とはいえ普段どおりぶらついているだけでは意味がない。このアップデートを一通り楽しむため、スケジュールを立てて計画的に追加要素を網羅していくのだ!


「明日香さん、次はどこに行きますか?視聴者のみなさんも今回のアップデートで気になる要素があったら教えてください!すべてを見に行きますよ!」


「うーん……そういえば【闘技場】に【シングル】や【ダブル】などに次ぐ新たなシステムが追加されたらしいですよ。期間限定イベントもやってます♥」


----

>新しい街があるらしいぞ。新しい街なら中にある要素は全部新要素じゃないか?


>新クラスの人柱になってくれ


>新クエストコンプリートはよ


>ミニゲームとしてカードゲームの大会があるらしいよ。ぜひ遊んでみてくれ

----


「ほんとに新要素たくさんありますね……わかりました!それらのアップデート、ぜーんぶ、このきゅーてくちゃんねるで配信しましょう!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
▼ 他のオススメ作品 ▼
【VR】ブレイブファンタジー【神ゲー確実】
掲示板形式で進む謎のVRMMOモノ。
結月ゆかりは画面を見つめる
VR全盛時代に古きを貫こうとする謎の二次創作モノ。
サキュバスさんがおうちにやってきた
平和な謎の日常コメディモノ。
これが僕らのMMO!
現実のMMOを主題とした謎のエッセイ。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ