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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

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第108話 料理回

 絶賛炎上中のお水を見ながらボクは考える。瓶口から炎が溢れるみたいに漏れているが……これ、そのまま使っても火炎放射器になりそうですね。


「まあ火炎放射器の案は新しいフォルダさんあたりに投げるとして……とりあえず炎を足してみましょうか」


 さすがに瓶にスキルを撃ち込むにはボクの魔法は強すぎるので、炎属性装備を外した上で巨大な桶に移し替えてから【フラムブレット】を撃ち込んでみる。


 ボクの予想では、炎を吸収した水がさらに燃え上がると思っていたのだけど、なんと炎を浴びた水はそのまま蒸発してしまった。


「常に炎上しているような水がこの程度の炎で蒸発してしまうんですねー……おっ?」


 ちょっとがっかりしたボクだけど、その直後に驚くことが起こった。


「わあっ、炎が浮いてます……♥」


 おそらく気体になってしまってもなお、発火は続いているのだろう。


 鬼火みたいな炎が、ぷよぷよと宙に漂う。触れてみると確かな温かさを感じ、同時に炎属性ELM(親和性)装備をつけていないボクのHPを削っていく。


 水でこそないものの、この鬼火もあくまでアイテム。【ストレージ】にすっと収まった。


 改めて炎属性ELM装備を装着して炎を取り出すと、今度はダメージを受けない。むしろさっき削れたHPが、みるみる戻っていくくらいだ。


「んー。持ってるだけでも継続回復(リジェネ)効果のアイテムとして使えそうだけど」


 火の玉を連れてる系女子とかも見栄えがよさそうだけど、ちょっと味気ないよね。ここからどう改良していくべきだろうか。


 燃える水はまだまだある。とりあえずそれらもすべて鬼火に加工してみると、なぜか炎がふわりと揺れ、上下左右へゆっくり漂い、他の炎と合体していく。


 合わさるたび熱が増し、火はふくらんでいき、やがて巨大な火球へと変貌した。


「明日香さん、もしかして【キネシス】で炎を操作しているんですか?」


「そうですわ♥この炎もアイテムであるなら、できるだろうなーって思って♥」


 アイテムを自在に動かすことができる【サイキック】のスキル【キネシス】。それを利用すれば擬似的な炎属性魔法のようにこの鬼火をコントロールできるのか。


 なんというか、【サイキック】のスキルって魅力的なものが多いですよね。むしろ【アイテムマスター】にもそんな感じのアイテム操作スキルがあってもいいと思いませんか?


 というわけで【円盤ハウス】はボクが預かり、【鬼火】は明日香さんのものになった。


 あとに残ったのはぶどうやらりんごやらの大量の食べ物と薬効を強化する葉っぱなど、少なくとも【ドローイング】ではどうしようもなさそうな素材ばかり。


 こういうのはやはり専門家に任せるのがいいだろう。とりあえず新しいフォルダさんには火炎放射器の製作をお願いしておき、薬効強化の葉っぱをアイテムショップのねこですさんに提供する。


 残ったのは果物なのだけど……さすがにラーメン屋さんにお願いするわけにはいかないよね?


 このまま生で食べてもいいのだけど、料理人を探して【ギルドハウス】内のキッチンに向かう。あそこなら必然的に料理が得意なプレイヤーがたくさんいるはずだ。


「やっぱりいますね。たくさんキッチンを配置していてよかったです。さっそく声をかけてみましょう」


 貢献値によって配備された生産施設の性能は最高品質!それによって作られたアイテムも同様に(職人の実力の範囲内で)最高級になるのだから、使わない選択肢はない。


 だからこそ、最高品質の施設を使えなかった多くのプレイヤーがこのギルドに入ってくることになったのだと思うのだけど——実際のところ、施設の性能で品質はどの程度上昇するのだろう?


 見渡してみると、見知った顔のプレイヤーが料理をしていたので聞いてみることにした。


「猫姫さん、こんにちはー!」


「こんにちは♥料理をなされているんですね♥」


「こんにちはですの!わたくし、こう見えて料理は得意なんですのよ?まあ【モーションアシスト】込みでないとダメなのですが」


「アシスト込みなら得意ではないのでは……♥」


「いえいえ、違うんですよ明日香さん。こういう官能系の生産活動はセンスというものも重要ですからね」


 【モーションアシスト】が補助してくれるのは、ハンバーグを作りたい、とか、こんな味にしたい、と考えたときの手順だけを支える。人によって好みが分かれる料理で、とにかくおいしいものを!と考えても、食べる人を洗脳する以外の方法で万人受けする食べ物を作ることはできない。


 だからこそ、素の技術力自体は低くても、こういった料理を作りたいという明確なヴィジョンがあるプレイヤーの方がおいしい料理を作れるのだ。幸い、どんなに高難易度のテクニックが必要でも、再現自体はアシストが保証してくれる。


 なんならリアルでもこの手のアシスト機能を利用して1つ星レストランを経営している人もいるらしい。


----

>官能系の生産活動……


>えっっっっっっ


>1つ星レストランの店は本来ならば3つ星級なのにサポート込みだから1つ星とかいわれて炎上してたな


>前時代的だよな。美味けりゃ何でもいいだろ


>あの手の評価って味だけじゃなくて雰囲気とかも重視されるからしゃーないところはある

----


「というわけで猫姫さん!この果物と植物を料理してください!」


「わかりましたの!では、この最初から凍ってる冷凍みかんを使って料理しましょう」


 ほうほう、冷凍みかんをメインにするんですね。どうするんでしょう?


「まず冷凍みかんをこの断熱素材の箱の中に入れてー」


「入れてー♥」


「他の果物も入れてー」


「入れてー♥」


「蓋をして明日になったら完成!ひんやりした果物が食べられますの」


「そうですか」


----

>ただの冷凍庫定期


>【悲報】冷凍庫さん、調理器具だった


>手抜きすぎる……


>ギルドに搭載された最高品質の調理器具はどうしたんだ

----


「猫姫さん、もっと早く食べられる感じの料理ってありませんか?」


「わかりましたの!それではまず食パンを最高品質トースターで焼いてー」


「焼いてー♥」


「りんごゼリーを取り出してー」


「取り出してー♥」


「塗って食べる!うーん、デリシャスですの!」


 うーん、この。


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