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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

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第107話 円盤ハウス

 【四つ葉のクローバー】にとらわれず、この【植物園】で取れるアイテムを片っ端から確保していくことに決めたボク。明日香さんとは手分けをして、最終的に見つけたアイテムを見せ合うことになった。


 《『心眼』》で見るとさまざまな色のオーラを放っているのでわかりやすいのだけど、入口付近が最もプレイヤーが多く、奥に進むほどまばらになっている。


 これは【四つ葉のクローバー】の発見報告が入口付近だったかららしいのだけど、逆に競合相手を避けて人の気配が少ないほうに向かう人たちもいるので、一応のところ一通りの場所はチェックされているだろう。


 でも、もしかしたらなかなか見つからないレアアイテムがほかにもあるかもしれませんよね。


 このあたりはあらかた探索されているようなので、面白いアイテムを見つけるならもっと奥地を探したほうがいいかな。明日香さんも奥のほうに行くようなので、それぞれ左右に分かれて正反対の方向に進んでいくことに。


 採取したりんごをもぐもぐしながら木の根元にある謎のきのこや、ふわふわと浮いている雲みたいな謎の綿菓子を回収しつつ、草木をかき分けてずんずんと歩いていく。


----

>どういうコンセプトの施設なんだよw


>わたがし美味しそう


>お菓子の国みたいですこ

----


「ゴブ蔵!一緒に採取をお願いしますよ」


「ゴブー!」


 ゴブ蔵も召喚して手当たり次第に植物を刈り取っていく。残念ながら【四つ葉のクローバー】に匹敵するレベルのアイテムはないようだけど、食べ物だけではなく頑丈そうな木材やポーションの薬効を引き上げる草など、良さげなアイテムが回収できた。


 この分だと本当にただのアイテム採取施設のようですね。モンスターも出てこないし、出てくるアイテムはどれも今までになかったような面白いアイテムばかり。これで何が作れるかはわかりませんが、なかなかよい立地に【ギルドハウス】を建てられた気がします。


 とはいえこの【植物園】、かなり広い。けっこうな距離を歩いているとは思うのだけどなかなか施設の端にたどり着けない。いくら歩いても新規のアイテムが見つかるので非常に楽しいけれど、燃え盛る水を見つけたあたりでいったん【ギルドハウス】に戻って明日香さんと合流することにした。


「おねえさまは何を見つけましたか?私は鉱石を見つけましたよ♥」


 そう言って見せてくれたのは、どろどろに溶けた銀色の液体。……鉱石?


「ボクはこの燃え盛る水ですね。何かに使えそうな気がしませんか?」


 と、ボクも採取結果を明日香さんに見せてみたけど、どちらもそのままでは使い物にならない気がする。せいぜい面白いアイテムとして見せびらかすか投げるか。それくらいだ。


 それならばこの面白いアイテムたちにどんな加工を施して、さらなる面白いアイテムを創り出すか。それこそが重要なのである。



 さっそく【ギルドハウス】に帰還し、広大な建物内を見て回りながらどんなアイテムを作ろうかと考える。


 新しい家とかいいかもしれないですね。【〈ミュージックハウス〉】は便利ですけど、付随効果がよくも悪くも影響力が高すぎて出しっぱなしにしておけないんですよ。だから同系統の小型の建物がもうひとつほしいと思ってたんですよね。


 アイテムの設計図を描くスキル、【ドローイング】も大会以降あまり使っていないし、なんとか自分で作ってみようかな。


 そう思い立ったボクは、どろどろに溶けた鉱石を使って家を設計してみることにした。


 それからしばらくして、どろどろではあるけど、なんとかかまくらみたいな家を作ることができたので、中にミニチュアの家具を収納し、申し訳程度の収納棚を設置して〈ファニチャーホーム〉として完成させる。


「これ、持って歩いたらそのまま崩れそうなくらいの見た目ですね……。とりあえず【ホーム】として登録しておきますか」


「……これって、【ホーム】に登録したあとに崩れちゃったらどうなるんでしょう♥」


 などとひどい見た目のかまくらハウスの耐久性に不安を覚えるボクたちだけど、一応は〈不壊化〉できるので大丈夫なはず……。


「あっ、崩れた」


 かまくらハウスをぷにぷにと突いていた明日香さんが、そのまま倒壊させてしまったのだ。『不壊』のはずなのに崩れちゃうんですね……。


 仕方ないので、粘土のようにこねこねして再び形を整えようとするのだけど……。


「待ってください、壊れたのに【ホーム】の設定が消えてませんわ♥」


「はい?」


 確かに【ホームリターン】の項目を開いてみると、いまだにこのかまくらハウスが帰還ポイントに登録されている。完全に家として成立していない状態なのにね。


「……本来なら『不壊』だから形が崩れて【ホーム】としての条件が未達になることを想定していないのか」


 『不壊』なのに壊れてしまった件については、このどろどろの鉱石の性質が原因だろう。ゲーム的には壊れたのではなく、形を変えられるという性質が反映されているだけなんだ。


「せっかくなので面白い形にしてみましょう♥こねこね」


 明日香さんが家(元)をこねると、おなべのふたのようなよくわからない何かになった。


「盾です♥」


----

>【悲報】明日香さん、工作レベル0


>バカを言うな、素晴らしいお皿だろう!


>UFOだぞ

----


「あとはこれをこうして……♥」


 完成したおなべのふたを炉にぶち込んで高温で熱してみると……。


「ほら、形が固まりました♥」


「もう家の原型のかけらも残ってませんね」


 でも【ホーム】の移動先には依然として残ったまま。ボクはそのおなべのふたをおもむろに持ち上げて……手首のスナップを効かせて投擲してみる。


「おっ、形の割にはけっこう飛びますよ!」


「形の割にはってなんですか♥」


 拾い上げてアイテム名を確認すると、【かまくらハウス】となっていますが、これは『円盤ハウス』として扱っていこう。


 再び『円盤ハウス』を投げてみると、明日香さんが【ホームリターン】を連打して瞬間移動を繰り返していく。


 これはなかなか便利なアイテムとして使えそうですね。逆に最近はあまり有効活用できていない【〈ミュージックハウス〉】の出番が減りそうな気がしますが……あちらは家としてではなく、効果の利用をメインに考えていきましょう。


「さて、次はこの絶賛炎上中のお水ですけど……どうしましょう?」


「炎を継ぎ足してみましょう♥」


 そういうことになった。


テクニックその73 『アフターブラックスミス』

【ホーム】として完成したものは本来ならば『不壊』であり、改築機能こそあるものの、【ホーム】としてあるべき要素が失われる事がない。

要するに形状が変化する事が想定されていないので、形が変わっても【ホーム】として扱われ続けます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「家」という要素だけでかなりいろんな方向にテクニック波及していくの好き
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