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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

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第103話 イグニッション

「みなさん、おはこんばんにちは!卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかるちゃんねる!略してきゅーてくちゃんねるにようこそ!」


「アシスタントの屠神明日香です♥」


「というわけで、今回からは【A−YS】を離脱して、【フォッダー】の不思議を探求していこうと思います!そういえば、アップデートがあったんですよね?」


----

>新マップも来てたよ


>ギルド機能とかあるらしいよ


>卍さんもギルド作れば?


>新クエストもう全部攻略したわ


>どうせ裏ルートとかあるからその自慢意味ないよ

----


「ギルドいいですね!今回はそういう新しい機能はあらかた網羅していきましょう!ただ、まず最初に確認するものと言えば……当然アレです!ボクのアイデンティティ!」


 ボクといえばアレです!アレを確認しなければ始まりませんよ!


「新作の水着ですね♥」


「そうそう、灑智がお揃いの装備として欲しがってるんですよーってちがーうっ!新スキルですよ!」


 思わず軽くツッコミを入れると、車にはねられたのかとでも思うくらいの勢いで明日香さんが吹っ飛び出す。そのまま近くの家の窓ガラスに衝突して、ずさりと滑り落ちた。


「えぇ……」


----

>草


>卍さん強すぎる……


>ツッコミで容赦なく人を殺す殺意の体現者

----


「さすがはおねえさまっ……強くなりましたわね……がくっ」


「いやいや、強化とかしてないから!そっちが物質干渉力下げてるんでしょ?」


「さすがおねえさま、ご慧眼ですわ♥」


 どっちに転んでもよいしょしてくるつもりらしい。何事もなかったかのように立ち上がり駆け寄ってくる。


「さて、おねえさま。では新スキルの検証をいたしましょうか♥」


「さっきの下りなんだったの??」


 どうやら本格的に何も意味がなかったらしく、「さあさあ♥」などとボクを急かしてくる。仕方ないので話を進めよう。


「そう!ボクといえば炎属性スキル!新しい炎属性のスキルが追加されているらしいんですよね。他にもいろいろなスキルがあるので検証してみましょうか。近くに【訓練場】もありますし!」


 この間、明日香さんと一緒に訪れたばかりの【訓練場】に入り、検証を開始する。


 【訓練場】で習得したスキルやアイテム、経験値などのデータはすべてが出入りと同時に初期化される。だから、新しいスキルを取得して試してみたいときなどには打ってつけなのだ。


 さっそく【メニュー】を開き、炎属性の新スキルを見てみる。


 今回の新スキルは【イグニッション】!名前だけは公式に載っていたのだけれど、効果を見るのは今回が初めて。さあ、どんなスキルなのかな?


【イグニッション】

[アクティブ][キャラクター][炎属性][支援][魔法]

消費HP:25% 詠唱時間:2.5s 再詠唱時間:30s 効果時間:4m

効果:[キャラクター]が次に[発動]させる[スキル]の[出力]を[増加]させる。

詠唱:派手に弾けろ


「ほむ、付与(バフ)スキルですか。命をコストにするという炎属性の性質を擬似的に他のスキルに適用させることができるわけですね」


 ボク的にはもっと直接的に大火力でど派手なスキルが見たかった気がするけど、悪くはないですね。


「なるほど、さっそく私にかけてください♥」


「わかりました、〈派手に弾けろ〉【イグニッション】!」


 ボクが詠唱を終えると明日香さんの身体からバチバチと火花のようなエフェクトが発生する。効果時間である4分が経過するか、スキルを発動させるまでは延々と火花が飛び散っているのだろうか。ちょっと面白い。


 さて、明日香さんにかけたのはいいのだけど、なんのスキルを強化するんだろう?わかりやすいスキルじゃないと意味ないよね。


 すると、明日香さんはボクの身体をぽんぽんと叩いて、意味のわからないことを言い出した。


「おねえさま、ちょっとふーってしてください♥」


「?ふーって、どういう……」


 ボクがその言葉の意味を聞き返そうとしたとき、なぜか明日香さんが派手に後方へ吹っ飛び出す。なんで!?今回はツッコミしてないよ!?


 そのまま壁に叩きつけられた明日香さんは、今回は地面に滑り落ちることはなく、なぜか吹っ飛ばされた体勢のまま壁に張り付いている。なんでだろう?


「めり込みました、助けてください♥」


----

>卍さんTUEEEEEE


>最強すぎる……


>明日香さんをいじめるとか卍さん最低だな。チャンネル登録外します


>卍さんは恥ずかしがりやだから暴力でしか愛情を表現できないんだ!!許してやってくれ!!

----


「違いますからね!?ボクのせいじゃないですからね!?明日香さんのことは好きですけど、何もしてないですから!」


 などと弁明をしていると、コメント欄でキマシタワーが建造され始めた。とりあえず明日香さんを引っこ抜いて、話を進めることに。


「で、なんでさっきから吹っ飛びまくってるんですか?」


「新スキルですよ♥物質干渉力を自由に上下できるスキルです」


【ブロールート】

[アクティブ][自身][接触][妨害]

効果時間:5s

効果:[自身]または[キャラクター]の[物質干渉力]を[増加]または[低下]させる。


「なかなかに使い勝手がよさそうなスキルですね」


----

>上げるのも下げるのもできるのか。いいね


>再詠唱時間が無いからサイキックのスキルか

----


 なかなかに強力なスキルだ。相手が吹っ飛ぶと困るときもあるし、逆に吹っ飛んでもらいたいときもあるからね。


 また、基本的にこの手の干渉力操作系スキルは上げるか下げるか、そのどちらかにしか対応していないことが多い。


 ゆうたさんの使っている【原始流】も物質干渉力だけなら自在に操作することができるけど、アレは通常攻撃にしか適用できないという前提がある以上、汎用性に欠ける。【ブロールート】は【サイキック】の新たな主力スキルとなるだろう。


「けど、【イグニッション】による強化込みで考えても明らかに吹っ飛びすぎじゃないですか?さっきのってつまり、会話で吹っ飛んだってことですよね?」


「おねえさまの物質干渉力を上げて私の物質干渉力を下げたんですよ♥」


「なるほど、再詠唱時間のない【サイキック】の能動(アクティブ)スキルにしかできない芸当ですね」


 自分と相手、その両方を操作してしまえばその効力は2倍になる。今回使った【イグニッション】の効果は最初の1回にしか適用されないけれどね。

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