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卍荒罹崇卍のきゅーと&てくにかる配信ちゃんねる!  作者: hikoyuki
4章 survival 超次元の生存競争!

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第102話 魔力

「お姉様、どうしたんですか?」


 【フォッダー】にログインする前はこんなものは見えなかった。


 灑智の身体から水色のエネルギーのような『ナニカ』があふれ出す異様な光景が目に映る。エネルギーは部屋中にかなりの濃度で充満しており、視界はひどく悪い。


 水色のエネルギーが漂っているのはこの部屋だけではない。部屋の扉を通じて部屋の外にもあふれ出しており、窓の外を見ると街全体を霧のように覆っているのが見て取れる。仮称:《『心眼』》を得たのに、なんで逆に視界の面で苦労しなければならないのか。


 〈改造行為(チート)〉の理論から言えば、灑智が『バーチャルステーション2』でログインすればゲーム内でもあふれるようにエネルギーが充満していくのだろうか?


 逆に〘リアルステーション〙であれば現実(リアル)の身体データを必要としないことから、エネルギーの再現は行われないという理屈になるだろう。


 もしかして——これが灑智がVRに入りたがらない理由なのだろうか?


 よく見るとボクの身体からもエネルギーが生じているのが見て取れる。手をまじまじと見つめると、ほのかに赤く発光しているのだ。


 仮に灑智の放つエネルギーと同質のものであるとするならば、明らかな才能の格差を感じて少しへこむ。エネルギーの使い方なんて知らないし、そもそもなんなのかすらよくわからないけど。じゃあ落ち込む必要はなかったね。


「いや、なんかね。灑智から水色のへんなのが出てるなーって」


「ああ、きっと水属性の魔力ですよ。これを撒いてると夏は涼しくなるんです。お姉様が暑いから相殺してるんですよ」


「ああ、魔力だったんだ。今まで目で見たことなんてなかったからびっくりしちゃった」


 どうやらボクの《『心眼』》は魔力が見えるらしい。触手も見えるし、魔力も見える。見てはいけないものも見えてしまいそうで少し怖い。


「私がいないところにお姉様が行くと、暑がられてるんですよ?気をつけてくださいね」


「そうなの?もしかしてウザがられてる?」


「夏だけちょっと疎遠になってる人とかいません?」


「いる。なんか冬だけはべったりしてくる」


「そういうことです」


「悲しい」


 やっぱり〈魔導〉のお勉強はしないといけないね。エネルギーを引っ込めることもできるのだろうか?『KPS』で魔力についての講義を受講してみるべきだろうか。


 公衆テレポーターなんかも〈魔導〉の最新技術が使われているらしいし、魔動車なんかも今では完全に定着している。これからは〈魔導〉によって世の中が発展していくのだろう。


 そんな現代で〈魔導〉に詳しくないなんて言い訳は通用しない。VRにログインしない妹に文句を言ってる場合じゃなかった。ボクも時代に盛大に乗り遅れているのだ。


 さて、謎エネルギーの正体もわかったところで、ふと物思いに耽る。


 《『心眼』》のことではない。これは別に不都合はないだろうし、気が向いたときにでも眼科で見てもらえばいいだろう。考えているのは、【フォッダー】のことだ。


 大会に出場するために必要な残る【願いの石】の数は3つ。だいたいの人がクリアしているメインクエストで2つもらえて、50層を攻略した参加者が1つ。


 かなりの大盤振る舞いに感じられる。この調子だとエンジョイ勢も含めてほとんどのプレイヤーが気がついたら参加権を取得しているんじゃないだろうか。


 あまり積極的に集める必要もなさそうだね。これなら次からはお散歩や世界観探求みたいな配信をしていてもいいかもしれない。


 もちろんあくまで大会への出場権が大盤振る舞いというだけであって、そこで優勝するためにはさらなるテクニックを習熟させていく必要があるだろう。


 けど、実はこのゲームって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()節がある。


 世界観を調べれば世界のルールに由来する定められた仕様が見つかるだろうし、冒険をすれば祠などを発見できる。


 生産をすれば当然ながら強力なアイテムを得られるし、なんなら世間話をしてるだけでも新たなヒントが生まれるだろう。


 当然戦いを考慮した修行もする必要はあるけど、戦いを極めるだけでは勝ち上がれない。そんな予感がする。


 なぜなら【願いの石】の入手条件は戦いに限られていない。商人プレイヤーにも入手の窓口は用意されているし、極論一度も戦わなくても挑戦権は得られる可能性がある。


 となると、むしろ戦い以外のことを経験することこそが優勝への近道!


 生産に冒険に……ゲーム内でできるありとあらゆることを体験しなくてはなりません。


 久々の『フォッダー不思議探検隊』としての活動が始まりますね!明日香さんを連れて冒険に行きましょう。触手に慣れる訓練もしないといけないですしね?


 考えもまとまったことだし、今日はネットサーフィンでもしつつ、【フォッダー】のネタを探そうかな。


 そう考えて【フォッダー】関連のニュースサイトを見てみると、つい先ほどアップデートが行われたとの告知が出ていた。


 ユーキさんがボイコットしている限り、アップデートは行われないものだと思っていたのだけど、どうやら勘違いだったらしい。新たなスキルの実装やキャンペーンイベントの告知など、極めてまともな更新内容がずらーっと表示されている。


 目玉となるのは『サバイバルイベント』だって。面白そうだね。これは絶対参加しないと!


 新スキルも、もちろん見逃せない。詳細は記載されていないのだけど、追加された職業(クラス)とスキルの名前だけは羅列されており、その中には炎属性っぽいスキル名も並んでいる。


 ただ、そんなアップデート項目の中に紛れ込むように異彩を放つ謎の一文が記載されている。簡単に言えば規約に関する項目を変更した、というような文脈なのだけど……。


・利用規約より、AI規程に関する条文を削除しました。


 重要そうな内容の割にはごくあっさりと、当たり前のように記されている。


 AI規程、なんてものは当然のごとく利用規約を読み飛ばしていたボクとしては存じ上げないのだけど……。


 以前、NPC担当の寿美礼さんが話していた内容が頭をよぎる。


 ——このゲームの運営や開発に携わる重要な役職はほとんど初期AIが占めている。だから【フォッダー】はNPCにAIを採用しているの——


 まーた、なにか起こる予感がしますね?


テクニックその71 『魔導』

これまで何度も登場していましたが、解説を忘れていましたね。公衆テレポーターや魔動車など、現代における科学技術の基礎となる技術の事です。魔力というエネルギーを利用して特殊な事象を引き起こす事が出来ます。純然たる物理法則なので特別に禁止されていない限りはゲーム内でも使用できますし、これまでの戦いで使っているプレイヤーもいましたね。その詳しい仕組みについてはボクもよく知りません。今後の配信を通じて学んでいきましょう。

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