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彼女の恋心  作者: 江古左だり


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9/10

(9/10)古典女、ごめんね

 あれから2年半経った。

 今では中原紗莉菜と花沢光彦は会社公認の仲である。


 なぜなら紗莉菜が同期21名の前で酔っ払って付き合っていることを暴露してしまったからだ。全てをなぎ払うゴリラみたいな女だ。『地獄のように先を読む男』の花沢だって彼女には勝てない。


 裏ではコッソリ『ゴリラと飼育員』と笑われている。もう完全に『お世話係』にされてしまっていた。


 今日の同期会もである。

「今からミツヒコの家に泊まるーーっ!!」と酔っ払ってゴネ出している。


 みんな薄情で「ハイさよならー」と帰っていった。

 最後に上条がミツヒコに顔を近づけて「ちゃんとしつけしろよ!! 飼育員がっ!!」と捨て台詞を吐いた。だいぶひどい。


 ミツヒコはほとほと困って紗莉菜の実家に電話し、了解を取り付けて自分の家に泊めた。


 そういえば、2年半も付き合っているのに泊めたのはこれが初めてであった。


 やっとこさ紗莉菜を『マイジャージ』に着替えさせ、自分のベットに送り込んだ。


『はぁ〜。やれやれ』だ。


 一方、中原紗莉菜は幸せであった。


 3年前、お座敷にポツンと寝かされていた古典女こと有橋美琴を思い出した。


 あのとき美琴は『花沢の上着をかけて欲しい』とねだって叶わなかった。

 ところが、今自分は上着どころか全身をミツヒコの匂いに包まれて眠ることができる。


 ミツヒコが部屋を離れてしまったのでちょっと泣きそうになったがすぐ戻ってきた。

 そしてベットサイドにミネラルウォーターを置いてくれると、ベットに腰掛けてNINTENDO Switchをやり始めた。


『そばにいてくれるんだ〜』


 別の意味で泣きそう。


 それから、あのときの有橋美琴に本当に申し訳ないと思った。

 有橋だって、ミツヒコとのこんな未来を夢見たこともあったろう。今は今でエライ金持ちを捕まえて幸せそうにしてるからそれが救いだった。


『あのときは「古典女」とか言って罵ってゴメンね』と密かに思った。


「ねぇ。みっちゃんさぁ」と声をかけると「はいはい」と言ってくれる。


「もうさー。結婚しようよ」

【次回 最終回】彼女の恋心


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