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シルバとアイラ

12時に1話更新しているのでまだ見ていない方はひとつ前からどうぞ。

◇シルバ◇


最近カイル王子の様子がおかしい。


私とカイル王子は幼馴染みで小さい頃から一緒に過ごしてきた事もあり、最近の王子の様子に困惑している。

どうおかしいかと言うと、最初の頃は何故かよくイライラしていたのにその内ご機嫌になりその辺りからほぼ毎日のように街に出掛けるようになったのだ。

執務や公務はちゃんとやっていくので特に問題は無いのだが、急ぎの要件等あった時に城にいないのが少し困る。特に侍従をしているロイが大変そうだ。

そんな日々を過ごしていたある日、執務室で女物のハンカチを手に持ち苦悩しながら見つめているカイル王子がいた。

私とロイはそんな王子の姿を怪訝な表情で見ていたのだ。

王子にそのハンカチをどうしたのか聞くと、少し躊躇してから最近出会った女性にある事情で濡れてしまった王子の髪を、そのハンカチで拭いてくれたのだが急に恥ずかしくなりそのハンカチを奪って帰ってしまったと言われた。

それを聞いていたロイが王子にその女性にお礼を言ったのか尋ね、言ってなかった事に気付きどうするか悩んでいたので私からその女性に喜ぶ事をしてあげればと提案する。

すると暫く考えた後舞踏会を開催しその女性を招待すると言ったのだ。ロイにその準備を任せ当日の事を考えているのか顔がにやけている王子に、その舞踏会にアイラを招待して良いか聞くと了承を得られた。


舞踏会当日、私はアイラに告白しアイラが受け入れてくれたのでその後夢のようなひと時を過ごす事が出来たのだ。そして一夜明け中庭の東屋でアイラと過ごしていると、昨日の舞踏会でちょっとした騒ぎになった王子とその女性が共に現れた。

どうやらそのサクラと呼ばれる女性があのハンカチの持主らしく、そして街の宿屋で働いていると聞きアイラと二人で王子達の噂を教えて上げたのだ。

すると最初否定していた王子が途中で言葉に詰まって考え込み、サクラに至近距離で覗かれた事で顔を真っ赤にさせ城の中に入っていってしまった。

私達は呆然とその様子を見ていたのだが、アイラが私の袖を引っ張って顔を近付けてきたので私もアイラに顔を寄せると、アイラは小声で王子とサクラの気持ちを教えてくれたのだ。

王子は確かにあの様子は恋をしている様子だと納得し、サクラの方はとアイラに聞くとサクラが辛そうに『好きになる筈が無い』と言っていたのを見て、まだ自覚は無いみたいだけど王子に恋をしているようだと教えて貰う。

そして心配そうに王子の去った方を見ているサクラを見て、アイラと共にこれは時間の問題だと確認し合った。


その後色々あったが結果的に予想通り二人は恋人同士になり結婚したのだった。



◇アイラ◇


私に最近新しいお友達が出来ました。


名前はサクラ様と言いとても珍しい黒髪に黒い瞳の明るく可愛らしい人です。

知り合った切っ掛けは、シルバ様に誘われお城の舞踏会に行った次の日にお城の東屋でシルバ様と過ごしている時、カイル王子様と一緒にサクラ様がいらした事で初めて会いしました。

その後私がサクラ様の働いている宿屋の食堂に伺うようになり、そしてサクラ様とお友達になる事が出来たんです。


そんなある日、街にシュバイン国の襲撃があり私はシルバ様の目の前で拐われてしまいました。

私は拐われている途中で気を失い、気が付いた時には見知らぬ部屋のベッドに寝かされていました。不安になりながら横を見るとそこには気を失っているサクラ様がいたのです。

私は必死にサクラ様の頬を軽く叩き名前を呼んでいると、漸く目を覚ましてくれたサクラ様にホッと安堵しサクラ様の手を両手で握り締めました。

意識を回復されたサクラ様からここはどこか問われたのですが、申し訳無く思いながら私も分からないと答えるしか無かったのです。

するとサクラ様は何か考えながらベッドから降り、まず入口の扉のノブを捻って確認し次に窓に近付いて窓が開くか調べて窓の外を覗き見られてから、私の方を振り向いて困った表情でやっぱり監禁されてると言われました。

これからどうなるのか不安になっていると、突如扉が開きそこから兵士が入ってきて私をダグラス王が呼んでいると言われたのです。怯える私を急かす兵士に不安な顔でサクラ様を見てから大人しく付いていくことにしまいました。


初めて見たダグラス王は冷淡な目で私を見てきたので、私は恐怖で震えだし怯えながらダグラス王の質問に答えたのです。

そしてダグラス王から私が拐われた理由を聞き一瞬その場で意識を失いそうになりました。

顔から血の気が引いた状態で元の部屋に戻った私の下にサクラ様が駆け寄って来てくれ体を支えられながら長椅子に座らせて貰えました。

私はサクラ様にダグラス王から言われた事を話すと堪えきれず泣き出してしまったのです。

サクラ様は泣いている私の背中を泣き止むまでずっと優しく撫ででくれました。

漸く涙も止まり落ち着いてきた私は今度はサクラ様に申し訳無い思いで一杯になりました。

サクラ様も同じように拐われて来たのに私ばかりが悲しんでしまった事を謝ると、逆に励まされ必ずシルバ様が助けに来てくれるからと笑顔で言ってくれたのです。

私はその笑顔に元気を貰いサクラ様と一緒だった事を心から嬉しく思って笑顔を返しました。

その時再び扉が開き先程の兵士が今度はサクラ様を呼びに来たので、サクラ様は私を不安にさせないよう笑顔を向けてくれた後その兵士に続いて部屋から出ていかれました。


暫く経ちサクラ様が部屋に戻ってきたので急いでサクラ様の下に駆け寄り無事を確認し、そして少し困った表情をしているサクラ様から人質になった理由を聞くと、私の方がその内容に動揺してしまい結局また落ち着くまでサクラ様に介抱されたのでした。



その後私はいろんな事が起こり過ぎたせいで疲れきってしまいいつの間にやらベッドで眠ってしまていたようです。

深夜にふと目が覚め、窓辺に立ち月明かりに照らされながら月を見上げているサクラ様に気付きました。

私はその姿がとても幻想的で美しくて見とれてしまい声を掛けることが出来なかったのです。

するとサクラ様はポツリとカイル王子様に会いたいと呟き、そして顔を手で覆いながら声を殺して泣き出しました。

私はその姿に胸が締め付けられる思いになり、私を不安にさせないよう無理に笑顔を作られていた事を知り、私がサクラ様を守らなくてはと強く思うようになりました。


しかし結局私は何も出来無かったのです。

次の日の朝にはスッキリした表情でサクラ様が身の回りの改善を積極的に動いてくれました。そのお陰かそんなに酷い環境で監禁される事も無く、私に出来る事はと考えサクラ様の言葉を信じて助けを待つ事だと思い大人しくしている事にしました。

ただ気になったのが何故かサクラ様がよくダグラス王に呼び出されていた事です。

サクラ様の話では何故かダグラス王にサクラ様自身の話を色々させられているそうで、サクラ様も何故そんな話をさせられているのか分からないと不思議がっていました。

そんなある日またダグラス王の呼び出しでサクラ様はダグラス王の私室に向かわれたのだけど、いつもより帰りが遅く心配になっている時に突然爆発音が聞こえてきたのです。

不安になり長椅子に身を縮めていると突如扉の前が騒がしくなりそしてシルバ様達が部屋に駆け込んで来ました。

驚く私にシルバ様が駆け寄って抱き締めてくれ、これが現実だと知り嬉しさで涙を流して私からもシルバ様を抱き締めました。

サクラ様の言葉を信じて良かったと思っていると、一緒に来ていたカイル王子様がサクラ様の行方を聞かれダグラス王の私室に行ったまま帰って来ない事をお伝えすると焦った表情でカイル王子様が部屋を出ていかれたのです。

私は心の中でカイル王子様にサクラ様の事を頼みますと願いシルバ様と共に屋敷の外に逃げ出しました。

なんとかシルバ様達と外に逃げ出しカイル王子様と共にいるサクラ様を見付け、私はサクラ様に駆け寄り無事を確認し合って抱き合いました。


その後シルバ様とダグラス王の一騎討ちがあったり、カイル王子様が怪我を負わされ一時瀕死の状態になったりと大変な事が沢山ありましたが無事みんなで城に帰ることが出来たのです。

それから半年後、サクラ様がカイル王子様と結婚式を挙げられその幸せそうな姿に私は嬉しくてずっと涙を流していました。


そして月日が流れた今もサクラ様との友情はずっと続いています。

ここでこの話は完結となります。

短い間でしたが読んで下さりありがとうございました!

前作で力尽き暫く創作活動から遠ざかっていたのですが、ムクムクと創作意欲が湧いてきてこのお話を書く事にしました。

そしてやはり自分の文章力の無さを痛感しながら、それでも読んで下さる皆様がいらっしゃった事で頑張って最後まで書ききれました。

ちょっと休んでまた創作意欲が湧いてきたら、前作の続きかそれか新作か何か書くかも(断定は出来ませんが・・・)しれないのでもしその時はまた宜しくお願い致します。

最後になりますが本当に読んで下さりありがとうございました。

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