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没ネタ2

※没ネタの墓場

※活報に載せたやつもあります。



□見られちゃった□



 俺が手にしているのは、細く白い花弁が幾つも重なった、一輪の花。

 名も知らないその花に俺は一瞬だけ懺悔した後、一枚ずつ花弁を抜き始める。


「ティアラは俺のことが――、好き、きら…………。好き、好き、好き、好き――」

「うわっ。ポジティブすぎるでしょ!? それにちょっと怖いわよ」

「――――!?」


 突如後ろから聞こえた声に、俺は慌てて振り返る。そこにはモップを持ったタニヤが佇んでいた。

 み、見られた――!?

 予想外のハプニングに頭が真っ白になる俺に、タニヤは笑いを堪えながら続けた。


「それにしても――。ぷっ――。マティウス君が花占いをするなんて――。ぷぷっ――。これは是非アレクにも――!」


 タニヤは満面の笑顔でモップを放り出し、隼の如き速さで廊下を駆け出した。

 おい! お前ただの侍女の癖に走るの早すぎねーか!?


「ちょっと待て! 言うな! 喋るな! 止まれ! いや、止まってくださいッ!」


 俺はタニヤの背を追いかけながら、必死で懇願するのだった――。





□告白?□



「マティウス君。何も考えずにこれを読んでみて。大きな声ではっきりと」

「あぁ? いきなり何だよ」


 文句を言いつつも、俺はタニヤから小さな紙を受け取る。


「えーとなになに? 『ティアラーッ! 俺だーッ! 結婚してくれー!』――って何言わすんだよ!?」


 俺は紙を握り潰しながらタニヤに抗議する。タニヤはぺろっと舌を出しながら自分の額をこつん、と叩いた。まるで「ドジしちゃった☆」みたいな仕草と表情だが、それ使いどころ間違えてるだろ!?

 その時俺の後ろから、まるで何かが爆発したようなぼふっという音が。振り返るとそこには、顔を真っ赤にしたティアラが頭から湯気を出し、両手を頬に当てて突っ立っていた。

 き、聞かれてたーッ!? ていうかここはティアラの部屋だから本人がいるのは当たり前じゃん!


「いいいいいいや! いっ、今のは! ちちちち違っ――!」


 俺はくしゃくしゃになった紙を広げて見せながら、今のが俺の意思から出た台詞ではないことを懸命に説明する。

 厳密には違わないけど! むしろ俺の本音といっても過言ではないけど! でもこんなふざけた流れで俺の気持ちを知られてしまうのは何か嫌だ!

 ティアラは無言のままこくこくこくこく! と無駄に首を縦に振る。どうやらタニヤの悪戯(イタズラ)だというのは理解してくれたらしいが、それでも顔は真っ赤なままだ。俺もそれにつられてしまい顔が熱くなる。

 何というか、非常に気まずい雰囲気だ。どうすりゃいいんだよコレ。

 と、その時俺の肩を無表情な同僚がちょいちょい、とつついてきた。


「これを読め。この空気を吹っ飛ばせる」


 アレクは先ほどのタニヤ同様、小さな紙を俺に渡してきた。意外なところから救世主現る。藁にも縋りたい思いだった俺は、迷い無くその紙に書かれた言葉を朗読した。


「『セッ○スしようぜ!』――ってふざけんなゴルァァアアアアッ!」

「はい。素晴らしいノリツッコミいただきましたー」


 アレクは無表情のままぼそりと呟くと、乾いた拍手を俺に送った。

 いや、今のはノリツッコミじゃねーし!?

 ていうかお前、最近タニヤの影響受けてね!? 今のはそのタニヤよりも酷かったけど! 思春期男子の悪戯かよ!? 確かにお前の言うとおりさっきまでの空気は吹っ飛んだよ!? ただし悪い意味でな!

 ――ってティアラが寝室に逃げ込んでしまったじゃねーか! 間違いなく今ので俺の印象は地に落ちた!


「とにかくお前ら、俺で遊ぶな!」





※収集がつかなくなってきたので没。

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