まだまだ序の口
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おかしいとまでは言わないが、現在悪魔が5体出てきていずれも簡単に討伐できてしまったらしい。魔物も1万から10万まで幅広く氾濫してきているが、スタンピードよりも大きくない。これはどういう事なんだろうな。
こういうことは結果が全てだ。故に悪魔を倒した実績と、魔物が思ったよりも少ないという事実が今回の大氾濫の結果なのだ。……そんな訳がない。その程度で終わる訳がない。
ただ、現実的には、継続的にそれだけの数が一斉に来ているって事を除けば、普通のスタンピードよりは楽になる。戦力が分散してしまっているからだな。
総数だけで言えば、既に億を超える量の魔物を処理しているのだから、楽ではないのは解っているんだけど、200か所で億と言われてもな。
まだ魔物が来ていない場所もあるし、どうなっているんだろうか。こんなに楽で良いのか? もっと、がっつりと襲ってきても良いはずなのに、随分と少ないんだ。まだまだこれからがあると思っておいた方が良いんだろうな。
「クラーク、前線の様子はどうだった? そろそろだが、冒険者の方が気が緩んできそうだと思うんだが、どうなっている?」
「それには心配及びません。むしろ冒険者の方が危機感を持っております。兵士はまだまだ余裕があるとは思うのですが、冒険者側は実力はあっても、個人の実力を頼りにしている感じがありますからね。それに、この状況を大分警戒しているようです」
「そうか。警戒しているのであればそれでいい。今後も警戒をさせておいてくれ。多分だが、この調子で終わるはずがない。まだまだ魔物の大軍がやって来るぞ。覚悟しておけ」
「解りました。今日も前線に向かえば良いでしょうか?」
「ああ、士気を落とさないように注意しつつ、食事を少しだけ豪勢にしてやってくれ。偶には楽しみが無いとやっていけないだろうからな」
「確かにそうですね。気が付きませんでした。今日の昼食はこれまで倒してきた魔物をふんだんに使った肉料理にしてもらいましょう」
偶にはそう言った気配りも必要になってくる。長期戦だと、食事くらいしか楽しみがないって感じになるからな。……一応出張娼館もあるんだけど、毎日行く訳にもいかないだろうからな。そこまで多くの娼婦男娼を用意している訳では無いし。
色んな場所に配置をしているからな。数は少ない。娼館側にも負担になるから、ある程度の回数の規制はしているんだけど、楽しみがそれだけだとな。
食事を偶にがっつりと食べさせておかないと、楽しみが少なすぎて飽きてくるし、士気が下がる方向に向かうんだよ。こんな緊急事態なのにな。
士気の維持は大切だ。やる気が削がれたせいで負けましたでは話にならない。食事には気を付けるべきだと思うぞ。割とそれが楽しみって人も居るんだから。
「報告! 物資の搬入が来ました。今数量を確認している所です。それと、追加の物資と魔物の素材の回収をしたいと言っておりますが、準備は出来ていますか?」
「勿論だ。向こうに纏めておいてある。それを渡してくれ。それと、多少だが酒を多めに搬入してくれると助かるとだけ伝えてくれ。偶には飲ませてやらないと可哀そうだからな。冒険者にはその位の配慮が必要だ。他の場所にもその様にしておけと言ってやってくれ」
「報告! 物資ですが、予定よりも少し多く搬入されてました。それと、大量の酒が送り込まれています。これの使い道を考えて欲しいと言われました」
「……流石に手早い。冒険者の事もよく解っているな。ウェンリー兵士長にはお礼を言っておいてくれ。それと、そういうサプライズは大歓迎だと言っておいてやってくれ。無くなるのは困るが、そういう気配りをしてくれるのは助かる」
「解りました。その様に伝えておきます」
さて、流石にそろそろダレてくるだろうと言う事はお見通しか。手が早い。今日はちょっとした酒盛りを楽しむことが出来るだろう。そうやって伝令にも伝えさせておけば、今日の士気とこれからの士気が高まるだろうな。定期的にこういうことはやってやるべきだ。
「さて、伝令を。前線まででいい。今日は多少の酒盛りを許可すると言っておいてやってくれ。後は飲み過ぎて夜番の奴らの分も飲み過ぎるなと注意をしてやってくれ。多少の羽目を外すことは許す。が、問題を起こすなよと伝えてくれ」
「解りました」
さて、どうやって考えるのかだよな。このままで終わる訳がない。この調子で終わったのであれば、勇者が未来予知をしてまで対処しないといけない事態ではないはずだ。まだまだ何かが起きるんだろうとは思う。何かが解らないから怖いんだけどな。
何かが解らない。何時なのかが解らない。それが怖すぎる。士気にも関わってくる。最低でも3年は見ているんだけど、それで足りるのかだよな。冒険者の支払いも色々とあるんだけど、他の貴族家は大丈夫なんだろうか?
普通に考えたら、資金が足りないんだよな。何処からその資金を調達するのかって問題はある。ミッチェルハーロウ公爵派閥は問題ないんだろうが、他の貴族家だよな。
「「「「「おおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」
ああ、伝令が届いたみたいだな。これで士気が上がっただろう。気を抜かれても困るが、こういうサプライズも必要だろうからな。
さて、被害を抑えてこれたのは良いんだけど、まだまだ続きがあるんだろう。何処までの規模の大氾濫なのかは解らないが、本格的に始まるのは何時になるんだろうか。それが怖くて仕方がない。簡単に終わってくれるとは思わない方がいいだろうからな。
こういう時には、本当は冒険者を使わない方が良いんだろうけど、規模を考えるとどうしても使わざるを得ないんだよなあ。
単発での侵略しかして来ないのであれば、兵士だけでも十分だとは思うんだが、そんな訳にもいかないだろう。
すぐにでも大戦力が来ると思われる。それに耐えないといけないんだから、兵士だけでは足りない。冒険者はどうしても雇わないといけないんだよな。問題は、財政的に大丈夫なのかという所なんだけど、王族がある程度の費用を負担してくれるのかだよな。
「報告! 前線に魔物の数多数! 凡そ5万との見立てです。交戦状態に入りました。何か指示があればと、クラーク様より命を受けております」
「報告ご苦労。5万であれば、通常通りに蹴散らせと伝えてくれ。魔物は何か解っているのか? それ次第では色々とあるんだが」
「魔物はウルフです。真っ直ぐにこちらに向かってきておりました。それ以外の魔物は確認ができませんでした」
「そうか。それなら、今日の酒盛りにはそのウルフの肉を使ってやってくれ。大量に手に入るんだろうから、豪勢に使ってやってくれればいい。ただ、食い過ぎや飲み過ぎに注意しろとはもう一度念を押しておくように」
食材の方からやって来てくれるのは好都合だ。どんどんと狩ってしまう方が良いな。今日はそれをふんだんに使っての酒盛りになる。楽しんでくれれば良いさ。そして、明日からも頑張って欲しいと思っている。士気はしっかりと維持しないと。
その辺はクラークが融通を利かせてくれると良いんだけどな。まだまだというか、貴族故に冒険者に気が回らない可能性があるんだよな。
俺は元々平民だから、そういう事にはなんとなく理解が出来るんだが、そう言った気遣いも必要だと言う事を覚えて貰わないと。
これからも冒険者を使う事は多くあるんだ。気を緩めても良い時は緩めさせないとずっと緊張状態ではやれない事もある。
流石に緊張状態を維持しないといけない時は維持するが、今はまだいいだろうという判断だ。これからが大変になってくるだろうからな。




