久しぶりの夜会がある
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アレッシアを新領地へと送り出して暫く。ミッチェルハーロウ公爵家からの手紙が届いた。結構な頻度で届くのだが、今回は如何にも正式な文書ですって奴が届いた。
「それで? 内容は大体想像が付くんだけど、何が書いてあったんだ? 悪い知らせではないはずだし、戦争もあり得ないだろう?」
「そうね。悪い話ではないわね。ただ、夜会をするって話ね。それの日程が届いたのよ。今は2月18日だから、4か月後ね。7月1日に開催するらしいわ。ちょっと早いけれど、別に問題ないでしょうし。いつも通りに行くだけね」
「そうか。そうだよな。でも、夜会で何をするつもりなんだろうか。新規の開拓は無理だろう? 人数も集まらないし。平民が圧倒的に足りないからな」
「新規の開拓は絶対に無理ね。こっちは出せても兵士だけ。それも多い訳では無いもの。今は兵士を増やしているといっても、そこまで多い訳でもないでしょう?」
「そりゃあな。訓練もしないといけないし、育成するにしても1年くらいは欲しい。冒険者は沢山居るから引き抜きは簡単だけど、それでももう少し時間が欲しいぞ?」
「そうでしょうね。でも、そんな事はミッチェルハーロウ公爵家も解っているはず。今は何処も平民が足りていない状況なのよ。それで新規の開拓をするとは思えないわね。でも、ただ夜会をしたいだけなら、こんな正式な文書を使わないと思うのよ」
「だよな。何かあるからそんな形式の文書で送られてきたんだろう? 久しぶりに顔を会わせましょうって訳では無いんだよな。多分だけど」
「ええ、その可能性も無いとは言わないわ。けれど、文書の中には王族まで呼ぶらしいのよね。普通は逆なんでしょうけれど、何かあるんでしょうね」
「ん? 王族も呼ぶのか? てことは、国全体に関わる事なんだよな? 戦争……でも無いよな。そもそも隣接地が無いんだし、シュトナイザリオン王国には攻められないしな。もしかして、同盟を結ぶとか?」
「あり得ないでしょう。相手の方が国土は大きいとはいえ、戦力的にはこっちも負けていないもの。同盟を結ぶ理由が無いのよね。それも他の派閥ならいざ知らず」
「ミッチェルハーロウ公爵派閥が同盟を結びたいって言ってもな。関係ないんだから引っ込んでいろとはなるだろうし」
「そうね。口出し無用と言ってくるだけよね。となれば、何かあると言う事なのよ。何があっても対処できるようにしておくべきでしょうね」
何か、ってなんなんだろうな。大きな問題があるからこそ夜会をやるんだろうし。顔合わせ程度で、こんな正式な文書を寄こさないだろうしな。
強制参加というか、絶対に参加しろって意味だからな。普通の文書であれば、やむを得ずの欠席はあり得るんだよ。正式な文書という事は、それが許されないって事なんだ。何かはあるんだよ。何なのかが解らないから困っているんだけど。
悪い知らせ何だろうとは思うんだ。ミッチェルハーロウ公爵家が何かを掴んだんだろうと思う。直近で何かがあったとするならば、心当たりが無い訳では無い。
あの悪魔騒動だよな。あれがあったんだから、他の所でも起きていてもおかしくはないんだよ。勇者が2人も国内に居るという事は、問題しかないという事なんだよな。
神様1柱につき1人の勇者しか生み出せない……よな? 多分だけど。だから同じ国に勇者が2人も産まれるなんてことは異常事態なんだよな?
それでも2人の勇者が産まれてしまった。ラウレーリンもその辺の事は詳しくは知らないって言ってたしな。勇者が10人以上居たことはないって話だけど、それは国内でって話だからな。国外も含めたら、もしかしたら10人以上いるのかもしれない。
可能性の域だけどな。どうなのかは俺も知らないし。でも、普通は勇者が1人でも現れたら大問題なのに、2人も現れてしまったのだからさあ大変だ。何かが起きる可能性しかない。
それについての調査が終わったんだろうか。でも、それにしても早過ぎるよな。情報収集が得意だと言っても、いくらなんでも早過ぎる。
何かを掴んでいて、ずっと調査をしていたのであれば解るんだけど、そういう訳では無いと思うからな。何かが切っ掛けで情報を掴んだという方が正しいだろう。
「なあ、もしかしなくても悪魔関連の話か? でも、調査が終わったにしては早過ぎると思うんだけど、どう思う?」
「そうね。それの関連の話だとは思うわ。調査結果を知らせるのか、ある程度の概略だけを伝えるのかは別にして。何を話すのかまでは読めないわね」
「だよな。悪い知らせであることは間違いないと思うんだけど、それにしても情報収集が早過ぎるとは思うんだよな」
「早過ぎるのであれば、それなりの理由があるはずよ。どんな理由なのかは知らないけれど、非情に不味い事態になっている可能性があるわ。そうでもないと、こんな正式な文書を送ってくることは無いと思うもの」
「うーん。とりあえずだ。ロレシオとエミリアは連れていくとして、クラークとラッテはどうするつもりだ? 連れていくのか?」
「連れていくわ。何が起きるのかが解らないのよ。聞かせておくべきことかもしれないわね。クラークとラッテにも伝えておくわ」
「ああ、頼んだ。問題ばかりが起きてくるのは止めて欲しいんだけどな。問題が大きくなるのは避けたいんだけど」
「仕方がないでしょう? そういう事なんだから。何を言っても始まらないわ。とりあえずは行ってみるしかないのよ」
「ヘリコプターを使うのか? 使った方が早く着くし、余裕をもって到着できると思うんだけど。馬車だと結構な時間が必要だろう? 6人を運ぶだけならヘリコプターでも余裕で行けると思うんだが、どうだろうか?」
「私たちは馬車ね。ヘリコプターは遠い領地の貴族家が使うでしょうから。特にバズビーテイラー辺境伯家やその周辺の貴族家が乗り合わせて来るはずよ。だから、着陸場所がないって事は防がないといけないわ。だから、近い私たちは馬車ね」
「馬車なんだな。まあ、大分改良を施してあるから、馬車の乗り心地も良いはずだけど。車を開発する関係で、色々と改善点が出たからな。がっつりとその成果を馬車につぎ込んである。昔よりも乗りやすくなっているはずだ」
「そういう事は特に気にしないのだけれど。とにかく、急ぐ必要は無いかもしれないけれど、なるべく早くに行く方が良いわね。向こうでも情報収集をしたいし」
「だな。それと、状況次第では寄子を集めての会議も必要だろう? どうなるのかは解らないけど、それも準備しておいた方が良いか?」
「そうね。今回の夜会の内容次第では、緊急でこちらも寄子を集めるわよ。出来ることはやっておくべきだろうし、その辺りは向こうでの話を聞いてからね」
そうだろうな。向こうの話次第では、寄子を集めないといけないと思っている。……寄子の経済状況は悪い訳では無いんだけど、格差があるからな。
今の所の寄子は8家。男爵と準男爵ばかりな訳なんだけど、ここの領地では、まだポーションを作らせてないんだよな。後発組だから広める対象外だったんだよ。今回の夜会で許可を貰わないといけない可能性も出てくるんだよな。
何の話なのかが解らないが、いい話ではないのは確かなんだ。最悪の事を考えると、ポーションも大量に作っておく必要がある。
それを教えに行かないといけないんだろうな。人員はこちらで出すことにはなると思う。ミッチェルハーロウ公爵家がやると言ってくれればやって貰うけど。
さて、何処までの最悪がくるのかなんだよな。予想内なのか、予想外なのか。それが1番の問題なんだよな。どうなるのかね?




