フランチェスカ確職、旅立ちます
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「北方領地の魔王」
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フランチェスカが漸く確職の祝福により、確職した。俺的には納得というか、そうなるだろう事はなんとなくだけど解ってた。
フランチェスカの職業は闘神。何をしたいのかははっきりと解る。戦うんだろうなってのがはっきりと解ってしまう。
しかし、これに驚いたのは、ラウレーリンを始めとした学校に行っていた皆さんだ。驚く要素が何処にあるのかが、俺には解らなかったんだけど、この職業は色々とある職業なんだそうだ。簡単に言うと、勇者の職業なんだと。
勇者って神様から聖剣を与えられた存在の事を言い、冒険者であれば猛者から勇者へと変わるきっかけになるものなのだ。
でも、フランチェスカは闘神。職業的には拳で戦う職業な訳なんだけど、それが聖剣を扱うのかと思った。聖剣を扱うらしいんだよ。
何でも聖剣というのは、別に剣の形を採っている訳では無いらしいのだ。形は所持する人の為に形を変えるらしく、兄であるアントンが聖剣を持っていたように、剣の状態で出てくる方が珍しいまであるそうなんだよ。
それって聖剣なのか? とは思ったが、そういう事なのだそうだ。そして、過去には闘神に確職した人が勇者になった記録もあるらしい。
300年ほど前って話なんだけど、流石に知らないからな。俺はもっと前に死んだはずなんだし。俺が前に生きていたときは、職業なんて無かったもんな。
だから、闘神に確職したという事は、勇者に選ばれる可能性もあるという事らしい。というか、らしいで済んだのは3日ほどだった。
朝起きたら、2つのナックルダスターを持ったフランチェスカが挨拶に来たからな。勇者に選ばれてしまったそうだ。本人は楽しそうにしているが、いやまだレベルも上げてないのに勇者になるのか? そう思ってしまった。
けど、あの時の戦いぶりを見ると、レベルって必要なのかね? って思うのも無理はないと思うんだよ。レベル関係ないよね?
そのままでも兵士よりも強いのだ。それが確職して職業まで得てしまった。SPが30もある状態になった訳なんだけど、SPが必要なのかも解らない。
ただ、手が付けられないくらいの強さになるんだろうなって思う。絶対に勝てない何かになるんだろうと思う。けど、勇者か。悪い予感しかしないんだけど。
勇者って良い事ばかりでは無いんだろう? 厄災があるから勇者が必要なのだ。つまり、厄災があるという事になってしまう。
そんなフランチェスカだが、未来予知にSP30を振ってしまったらしい。既に未来を見る力は備わってしまっている。これはもう、誰も勝てないのでは?
思いっきりが良いというか、なんというか。既にやってしまったことについてどうのこうのいうつもりは無かったんだけどな。無かったんだけど、その後がなあ。
「お母様、お父様。フランチェスカは勇者としての力を得てしまいました。すなわち、神からの命があったという事なのです。ですから、これからは自由な世界を望みます。何かに縛られる訳では無く、私の思うがままに生きたいと思いますわ」
「ええ、その方がいいでしょうね。勇者フランチェスカ。貴方は貴方の戦場に赴きなさい。そして全てに打ち勝つこと。勇者としての務めを果たしなさい。資金、物資面では支援しましょう。何か困ったことがあったら来なさい。見繕うわ」
「ご理解いただき感謝申し上げます。闘神フランチェスカ、この世界を悪魔から守るために尽力いたしましょう」
とまあ、こんな感じだったんだよ。俺? 置いてきぼりだよ? よく解ってないし。結局悪魔さわぎの時もよく解ってなかったからな。
そんな訳で、フランチェスカはマジックバッグに大量のポーション類を持って旅立っていった。何処に行くのかは解らない。
ただ、兄さんに会う事があったら言っておいてくれと、伝言を言い渡した。時間があったら、俺と姉さんに顔を見せに来いよと。
歴史的に見ても、勇者が1か所に固まる事は少ないらしい。だが、無い訳では無いそうだ。これからもしかしたら会うかもしれない。言っておくべきだろうと思うんだ。
兄さんには直接言ったけど、念押しでな。暇が出来たら顔を見せて欲しい。何処でどうやって生きようが勝手なんだろうけど、一応な。
そして、フランチェスカが居なくなったことで、気の使い手が1人減ってしまったという事になる。兵士にも居るには居るんだがな……。
どうもまだ完全にマスターしましたって兵士が居ないんだよな。魔力みたいなものらしいんだけど、若干の差があるらしいんだよ。
気とは、スタミナと魔力を混ぜ合わせて使用する何か、みたいなところまでは解っているみたいなんだけど、フランチェスカ曰く、それにもう1種類の力を混ぜるみたいなんだよな。活気と言っていたらしいんだけど、それが何なのかがよく解らないらしい。
まあ、フランチェスカもその内帰ってくるだろうから、その時にでもまた教えて貰えば良いと思う。とりあえずは自己流で何とかしてもらうとしてだな。
しかし、ラウレーリン曰く、勇者が2人も1国に集まるというか、1か所に集まる事はまず無いらしいので、悪い予感がするとも言っていた。
フランチェスカも似たような事を漏らしていたし、兄さんも似たような事を言っていたんだよな。未来予知で何処まで見えているのかは知らないけどさ。
何かあるんだろうな。それが何なのかは解らないが、勇者が2人も同じ代に誕生している。これが悪い予感がしなくてどうするというのだ。確実に何かが起きる前兆だろう。こういうのって、物語だと良くある話だけど、当事者になるともの凄く怖いんだけど。
もう半分は生きたんじゃないかって感じなんだけど、まだまだ引退は出来ないのかもしれない。隠居してゆっくりしたいという願望が出てきているんだけどな。世界がまだゆっくりとさせてくれないらしい。俺はもう嫌なんだが?
しかしだ。フランチェスカも具体的な事は言っていかなかったんだよな。悪意があるのは解るが、直近の未来しか見えないらしいし。
とりあえずは場当たり的に何とかするらしいが、連鎖的にこちら側が忙しくならないと良いんだけど。悪い予感が当たらないことを祈っている。
だけど、流石にマリオが学校を卒業してきたら、俺達も引退だからな。そろそろ引き払う事を考えないといけない。
貴族たるもの、長々と居座るのも問題なんだそうだ。前に居たアワーバック伯爵みたいに、跡継ぎを決めないで、ずっと当主に居ると碌でもないことになるみたいだからな。俺達はとっとと引退するに限るんだよ。
もう数年後の話だけどな。それまでに、何事も起きないと良いんだけど。起きない訳がないんだよな。俺には解る。何かが起きるんだろうな。
その時は、兄さんもフランチェスカも居てくれると助かるんだけどな。というか、補給物資だけでも取りに来てくれと思う。今からでも貯め込んでおくべきなんだろうけどな。今でも十分かもしれないが、余分にあれば、それだけでも良いんだから。
ラウレーリンとも話をしよう。アムリタとソーマ、それ以下の各種ポーションも沢山用意しておこう。何が起きるか解らないんだから。
ラウレーリンの説得は必要だ。毎日飲んでいるソーマ酒を少しだけでも良いから備蓄に回してもらいたいからな。
反対するんだろうけど。そこまで必要ないはずだといいそうだけど。毎日の楽しみを奪われるのは悲しいだろうしな。なお、結局俺が負けた模様。




