結局は内政なんだって話
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何事もなく日々が過ぎていくということは無い。何かしらの問題が毎日のように浮き上がる。現在は悪魔対策に頭を悩ませている。一応だが、ミッチェルハーロウ公爵派閥では情報を共有した。
こんな存在が居るのだという事を共有させてもらった。そして、勇者の誕生も報告した。仕方がないだろう? 共有しておかないと死人が出るんだから。
悪魔とは異常なものである。それを周知徹底してもらう事が良い事だと思うのだ。資料はフランチェスカに作って貰った。
本人は凄く死んだ目をしながら作っていたけどな。貴族だと書類仕事は付き物だ。それは俺もよく解っている。似た経験があるからな。
とりあえずの情報を共有したつもりだ。フランチェスカが言っていることがすべて正しいとは限らないからな。思い込みの線もある。
具体的過ぎて、思い込みなんて思えないんだけどな。あれは対峙してみないと解らないとは思う。ただ、空気が魔物とは全然違うので、解るとは思う。
今後の対処の方法だが、やっぱり戦力の底上げが必要だろう。こうなってくると新領地の魔境に何か良い魔物が居ないのかという話になるんだけど、居ない訳では無さそう、ではあるんだよな。
ラウレーリンからリストを見せて貰った。グランドドラゴンやヴェノムスパイダーなんかが居る事が解っている。これは凄く良い事で、地竜魔銀や地竜魔銀毒糸を作るのには必須の魔物なので、数が居てくれると言うのは凄くありがたい。
後は見知った魔物がちらほらと居るのと、よく解らない魔物が多くいるんだよな。空を飛ぶドラゴンが居なかったのがちょっとって感じか。
居ないのであれば、それでも良いんだけど、居てくれた方が嬉しいんだけどな。結局は合金に頼るしかない。金属で良いものがあればそっちの方が良いのかもしれないが、金属を探すのは難しいという話だ。俺にはよく解らない。
そもそも、スキルを使うにしても、その金属を知らないと作れないというか。スキルも万能ではないって事なんだろうな。
それでも金属類を集めるには色々と必要だし、良い金属という指標も無いので、どう扱って良いのかも解らないんだよな。
「お父様、これはこれでよろしいのですか? その、一気に集めるというのはやらない方針だったのではないでしたか?」
「いや、それはそうなんだけど、悪魔騒動で精鋭部隊が少ないというのが浮き彫りになったからな。なるべくは質も上げたいんだけど、それをするにしても原石が必要だろう? 磨き上げないといけない数が多くないと、精鋭部隊も作れないからな」
「その理屈は解ります。結局はどれだけ努力したのかで決まってきますから。では、一時的な質の低下は許容すると言う事でよろしいのですね?」
「よろしいのです。クラークには選んでもらって申し訳ないが、追加で選んでおいてくれ。冒険者の質も下げたくないから、程々にな」
「難しい話ですが、やってみせましょう。対策さえ出来てしまえばこっちのものですから。訓練もしなければならないですわね」
「程々にとは言わないけど、気? だっけか? それを使えるようにはなったのか? 兵士と訓練をしていたと思うんだが」
「使い手は何人か居ますわよ。とりあえず、攻撃への転化と、身体能力の向上に向かわせていますけれど。スキルと似ている所為で、習得が早いですわね」
「そうなのか。聞く感じだと、スキルと魔法と同系統の技術って感じがするんだけど。スキルに無いスキルを使うという表現が適切なのかが解らないが、そういう感覚なんじゃないかなとは思うんだよ。魔法に関してもそうだったし」
「そうですわね。気というものは、魔力も関係してきますから、既に魔力を扱えている者たちの習熟は早いですわね。魔力に気を込めて戦うのが一般的ですから」
「一般的なあ。そもそもそんな技術を初めて知った訳なんだけど、よく解らないよな。何処からそんな知識が来ているんだろうな?」
昔の冒険者が使っていた訳でもないから、俺もよく解らないんだよな。昔の冒険者が使っていたのであれば、俺と同じだろうとは思うんだけど。
でも、昔のことは知らないっぽいんだよな。俺と同類ではないと言う事なんだけど、ラウレーリンからは同類扱いされている。
俺は知らないから解らない。昔の冒険者が使っていたのであれば、魔力ポーションはもっと売れていたはずなんだよな。
気という何かと魔力を混ぜる行為が出来たのであれば、兵士の強化に使える。今まで以上に魔力の補給が大切になるんだけどさ。
後は気の補充も考えないといけないと思うんだけど、そんなポーションがあるか? 聞いたことが無いし、実験でも出来ていないはずなんだけど。俺に報告が来ていないって事は、そういう事なんだろうとは思う。
マクファウスト侯爵家が黙っていたら解らないんだけど、ポーション関係に関しては、隠し事は無しになっているんだよな。
元々がマクラーレン侯爵家が出所なので、隠し事は無しの方針なんだよ。それでも無いと言うんだから、気って何なんだろうとは思うけどさ。
とにかく、軍事関係では、特訓と人員確保に動いている。これが終わらないと次に進めないので、素早く丁寧に終わらせたいんだよな。後は魔境の状況確認と冒険者の分散なんだけど、これがなかなか進まない。
魔境のある程度の状況は確認してあるので良いんだけど、詳細がまだまだ入って来ていないのが現状だ。これからも状況の確認をしなければならないだろう。
そして、それとは別に戦力の分散化。良い狩場に集まるのは解るんだけど、それだけだと混雑の元だからな。どんどんと広げていかないと。
「フランチェスカ、大体の予定で良いから、次の年までに何をやらないといけないのかを纏めておいてくれよ?」
「解っておりますわ。しかし、予定が詰まり過ぎではないかしら? 貴族とはここまで忙しいものなのですか?」
「忙しいんだぞ? 勉強が終わったばかりだからこの程度で済んでいるが、ラウレーリンとロレシオ、エミリアは俺達の倍以上の仕事をしているからな。俺も出来る方じゃないから、何とも言えない所があるんだけど」
「忙しくて目が回りそうですわね。これなら体を動かしていた方が楽だと思う事があります。その方がスカッとしますもの」
「その気持ちはよく解る。俺も錬金術をしていた方が楽しいと思うからな。書類仕事は強いだろう? 思った以上の難敵の筈だ。これを毎日やらないといけないんだからな。偶にはサボっても良いが、ちゃんと終わらせるんだぞ?」
「決裁権を文官に委譲するのは駄目なのですか? こういうことは効率化をしていくべきだろうと思うのですが」
「駄目ではないが、知っておくべきこともあるって事なんだよ。特に軍事の関係は、上が知りませんでしたでは通らないからな。その作戦の成功率なんかも変わってくる。責任者が知らないのは本当に不味いんだよ」
「それも解りますが、やはり効率化は必須かと思うのですが。仕事ばかりしていたら体が鈍ってしまいますわ」
「これでも効率化はしているんだぞ? 仕事の量が半分以下になったからな。更にフランチェスカと俺で分けている。数はこれでも少ないんだ」
分けてもこの量があるんだ。頑張るしかないんだよ。俺達には選択肢がない。やるかやらないか。やる以外の選択肢がないんだよ。やらないと死に直結する事もあるので、慎重にかつ大胆に決めないといけないんだよ。
俺だって、貴族がこんなに忙しいとは思ってもみなかったんだよな。貴族になってから解ったことなんだけどな。
貴族は優雅に過ごしている。そう思っていた。横暴な事をやってばかりだと思っていた。それはどうやら特殊な貴族らしいんだよな。
イメージとしては、横暴で、横柄で、怠慢なのが貴族というイメージなんだけど、ここではそれが全く通用していないんだよな。




