拳聖フランチェスカ=マクラーレン
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「貴様ぁあああ!!! 何者だぁあああ!!!」
「フランチェスカ=マクラーレンですわ! 今の私では荷が重いかもしれませんが、倒せる可能性のある人物が居るという事を解って貰わなければなりませんもの!」
「倒すだと!? 私が何者かも解っていないお前らがか!?」
「見る限り悪魔であると言う事は解っていますわよ? それも侯爵級の悪魔であることは確定していますわね。公爵ではない。それよりも上でもない。聖剣が無くても、気合で何とかなりますわ」
「そこまで解っている人間が居るのか!? だが、聖剣がない状態で私を倒そうだなんて大それたことをよく言えるな! 後悔させてやろう!」
気が付いたら、フランチェスカが前線に立ち、よく解らないあれと対峙している。何が起きているんだ? 何故にフランチェスカが戦っている?
いや、あれはやばいんだ。フランチェスカに戦わせるのは不味い。
「フランチェスカ! 下がれ! 兵士に任せるんだ!」
「無理ですわ! 兵士では荷が重すぎますの! 私が戦わなければならないのですわ!」
そう言いつつも、攻撃の応酬が凄まじい。防御に回っているが、あれは本当にフランチェスカなのか? 確職もしていない子供の動きなのか?
なんだあの戦いは。闇の腕を何本も伸ばしてきているあれが、フランチェスカの拳であしらわれている。様子見なのか? あれでか?
「!? 兵士たちよ! 精鋭たちよ! 子供に任せていて良いのか!? 否! 良い訳がない! 大人としての意地を見せろ! 前衛は戦線に加われ! 後ろからも魔法で援護だ!」
「「「「「「うぉおおおおお!!!!!!!」」」」」」
そうだ。子供にばかり任せていたら、ラウレーリンに合わせる顔がない。アルローゼンで待っている皆に合わせる顔がない。ここに居るのは精鋭たちだ。冒険者も含めて皆が皆、実力を買われてここまで来ている。黙って見ているしかないというのは、流石にプライドが許さない。
メインを子供に任せてしまっているが、それでも自分たちの出来ることはあるだろうと動き出す。恐怖で体が震えていても、こんな状況でも戦えるという意地がある。兵士も冒険者も同じだ。援護には回る事が出来る。……本当はフランチェスカを前線から下げたいが、あんな戦いを見せられたら、下げるに下げられないじゃないか。
「貴様らぁああああ!!!!! コバエの様なゴミ虫共が!!!!!」
「悔しいのですか? でしたら名を名乗ればいいではないですか! ネームドの悪魔では無いのでしょう? それだけの存在なのでしょう? 侯爵級とは言えども! 名前が無くては所詮はこの程度というもの! 数で押し切って差し上げますわ!」
「うがぁあああああ!!!!!」
「姫様! 闇の腕は任せておけ!」
「おうよ! こっちも良い恰好をさせてくれよ!」
「お任せしましたわ!」
フランチェスカが兵士と連携を取り始め、後ろからの援護射撃も増えてきた。また冒険者が遊撃のように横から後ろから攻撃を加える。囲んで倒せば怖くないと言わんが如く。それぞれの意地とプライドをかけた攻撃があれに食らいついていく。
その分、負傷者も増える。それでもあれは手強い。大きな負傷を負うものもいる。だがこちらには潤沢なアムリタがある。その程度の負傷なら何とでもなる。
「負傷者は後ろに回せ! 担ぎ上げてでも運んで来い! 生きていたら助かるんだ! 簡単に死ぬような真似はするんじゃないぞ!」
「「「「「「うぉおおおおお!!!!!!!」」」」」」
「解ってます、わ!」
「人間風情が!!! 人間風情がぁあああ!!!」
「甘いですわ! 甘々ですわ! !! 隙ありですの!」
「ぐぉがぁああああ!!! 聖なる波動だと!? 貴様! 聖剣も無しにどうやった!?」
「拳聖ですもの! 聖なる波動程度、操ってみせますわ!」
「まずはお前からだ! お前を倒してから、他も蹂躙してやる!」
「おっと、俺たちを忘れて貰っては困るな!」
「姫様には近づけさせねえ!」
「がら空きだぜ! 隙あり!」
「がぁああああ!!! 聖剣でも無いのに何故だ!!! なんだその剣は!!!」
「!? その武器でも十分とは言えるダメージになるのですね! 攻撃の手を緩めてはなりません! 徹底的に防御に回らせるのです!」
あれにもちゃんと恐竜渦魔金の武器の攻撃が入る事が解った。倒せない相手じゃない。皆の努力があれば乗り越えられる。
「押せ押せ押せ! 反撃を許すな! 畳みかけろ! 攻撃が効いているぞ! 戦える! 俺たちは戦えるんだ! あれを押さえ込め! 気合を見せろよお前らぁあああ!」
「治療を! 治療をお願いします!」
「怪我人有り! こっちに回せ!」
「ハインリッヒ様! 怪我人が増えてきております!」
「解っている! 怪我人は直ぐに回復させろ! ベテラン勢以外は手を出すなよ! 死ぬぞ!」
かなりの負担だ。兵士も冒険者もどんどんと負傷者が担ぎ込まれてくる。フランチェスカが一番前を支えてくれているから良いものを。これは、フランチェスカが崩されたら一気に崩れるぞ。
自分の娘を、まだ子供を前線に立たせるのはかなりの葛藤があるんだが、現状まともに対処できるのがフランチェスカしか居ないのが問題だな。この状況を何とか出来る奴が居るとは思えないし、フランチェスカに頑張って貰うしかない。
「クソが! こうなったら一気に押し潰してくれる! 来い! 魔物どもよ! あ奴らを叩きのめせ! がぁあああああ!!!」
「!? 魔物が来ます! 対処を!」
「聞いたなお前ら! 魔物が来るぞ! 冒険者はあれよりも奥へ! 後ろは気にするな! 前だけに集中しろ!」
「やっと出番か!」
「見ているだけもこれで終わりだ!」
「お前ら! 冒険爵の意地を見せろよ! 姫様に魔物を通すんじゃねえぞ!」
「誰に向かって言っているんだ! パワーポーションは持ってきているんだろうな!」
「当たり前だろ! 俺たちの活躍の場だ! やってやるぜぇえええ!!!」
後ろからもの凄い数の魔物が出てきた。冒険者はそっちの対処だ。あれを放置するのは不味いが、大量の魔物を放置する方がもっと不味い。押し潰されそうな程の魔物が押し寄せてきている。本当に一体何が起きていると言うのか。
攻勢に出ているのはこちらだ。だが、負傷者も続出している。アムリタやエリクサーを大量に持ち込んでいるが、このままずっとこの調子であれば、スタミナポーションやソーマも飲まないといけないだろう。
だが、フランチェスカがそれをするための隙が見当たらない。現状、フランチェスカが倒れれば、戦線は崩壊する。綱渡りな状況だ。頼む、もってくれ。早期に決着がついてくれ。流石にフランチェスカの負担が大きすぎる。
「何故だ! 何故だ何故だ何故だ! 貴様ら人間如きに! 矮小な人間如きに! 何故私が苦戦しなければならない! 何故だ! 何故だ何故だ何故だ!」
「そんな事! 知れたことですわ! 貴方がそれだけの存在だと言う事です! 名もなき悪魔よ! 滅びなさい!」
「ぐぉおおああああ!!! 聖なる波動が! クソが! 何故だ! 小娘! お前は一体何なんだ! 人の身で聖なる波動を使いこなすお前は何なんだ!」
「拳聖だと言っているでしょう! 早く終わりなさいな!」
「ぐがぁああああ!!! おのれ! おのれおのれおのれ!」
「隙があるぜ! そぅら!」
「斬って斬って斬り飛ばせ!」
「俺達だって忘れて貰っては困るなぁ!」
「ぬぉおおおお!!! クソが! 雑魚共に苦戦をしないといけないとは! こうなれば! こうなれば仕方がない! 小娘だけでも屠ってくれるわ!」
「それはさせん!」
「姫様を守れ!」
「その程度の攻撃! 打ち払って見せますわ!」
決死の攻撃がフランチェスカを襲う、筈だった。
「どりゃぁああああああ!」
横から光り輝く剣を持った男が乱入して、あれを吹き飛ばしてしまった。




