クラークのお嫁さんが決まりました
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3万人の兵士を5000人に減らしたロレシオから、今度はその育成にクラークが関わっていく事になる。兵士の訓練は大変なのだ。
基礎を叩き込み、魔境で訓練する。対魔物戦に特化した戦いになっていくんだ。だが、人を想定した隊列での訓練も必要になる。
その為に模擬戦をするのだ。1対1、2対1、3対2などなど、沢山の経験を積んでもらう。それでも、少数のベテラン兵士の方が優勢なのだから、仕方がないよな。連携も何も練習していない新兵とは訳が違うんだよ。
そもそもだが、彼らも冒険者だ。連携くらいはと思うだろう。だが、その連携では容易く崩されるという事も覚えて貰わないといけない。
元々は冒険者同士でも連携を取っていたので、ある程度は出来ても、ベテラン兵士の連携には勝てない。兵士も即興でやっているにも関わらずだ。
兵士の動きはある意味均一化されているからな。誰と戦っても同じように連携が取れるように訓練している。その差が大きいんだよ。何度も何度も訓練して身に着けている技術だ。早々遅れを取る様な組み合わせにはならない。
対して新兵である元冒険者は、基本的に1人か2人としか連携をすることは無い。他のパーティーと組むときも分かれて戦う程だ。
まずは、他の人の動きをよく見る所から始まる。人の癖を覚えるところから始まるんだ。この訓練は、まず自分たちの鼻をぽっきりと折る事から始める。
どうしてもある程度戦えてしまう冒険者は、鼻が伸びがちなんだ。それを丁度いい高さまでに折らないとどうしようもない。
そこから基礎を叩き込んでいく訳なんだけど、それにもある程度の時間はかかるんだよ。直ぐに実行できるわけではない。
パッシブスキルの動きを教えるのはその後だ。まずは適度に伸びたプライドをへし折る所から始める。頑丈なのも偶に居るんだけど、それでもしっかりと折ってやらないと、その先へ伸びることが無いんだよな。
戦う事も頭を使うのである。一兵卒でもある程度の頭を働かせないといけない。命令通りに動くにしても、命令を理解できないと動けないからな。
クラークにはその訓練をひたすら見て貰った。書類仕事をさせる訳でもなく、ただそれを見て貰うのが仕事だった。
得るものは多いはずだ。それを活用できるのかはクラーク次第なんだけど、多分大丈夫だろうと思っている。しっかりと活かしてくれるはずだ。
見て覚え、今後に活かしていく。これは飛び地に行っても変わらないからな。クラークが必ずしもこのアルローゼンに残るとは限らないからな。
個人的には残して欲しい所なんだけどな。クラークには俺の代わりをしてもらわないといけないんだ。俺もそろそろ後継者を育てていかないといけない歳だからな。
30も過ぎた。人生の半分は終わったんだ。そろそろ後進の育成をしていかないといけない。残り時間は思ったよりも短いぞ。
前の人生は60と少しで亡くなった。その位だったと記憶している。今度もそうなるとは限らない。そろそろ準備をしておく方が良いだろう。早い奴は俺くらいの歳で亡くなるものも居るんだ。俺も何時までも元気で居られるとは限らない。
爺さんみたいに長生きできるのであれば良いんだが、そういう訳にも行かない可能性があるからな。寿命はいつ来るのかが解らない。だから、悔いの無い様に生きないとな。
まあ、錬金術も結構いい感じに広められたし、十分だろうとは思うけどな。色んなポーションを作る環境も出来上がっているし、問題無いと思うんだよ。
俺抜きでも錬金術は広まっていく。それでいいと思うんだよな。俺が教えたのもある程度の話なんだけどな。研究職ではなかったし、そもそもそこまで腕のいい錬金術師という訳でもなかったんだからな。その程度の人物だったという事は解っている。
だからと言って手を抜くことはしないけどな。前世は、生活で忙しくてそれどころではなかったが、今世は生活に余裕がある。
色々と手伝える事もあると思うんだよ。俺ももう少し頑張れたらなって思っているんだ。色々としてきたとは思うが、まだまだこれからなんだよな。
「そんな訳で、クラークは軍事関係の仕事に専念させていいか? 色々と勉強をさせて育てていきたいと思っているんだよ」
「ええ、それで問題ないわ。元々その予定だったし、ロレシオもしっかりと内政をしてくれている。計画通りに進めるわよ」
「その計画は、俺は聞いていないんだけど? まあ、良いけど。このままの状態を維持していけば良いんだろう? とりあえずは、だけど。クラークにも教えたいことは沢山あるし、暫くは頑張って貰うとするさ。それよりも婚姻はどうするんだ?」
「そうね。とりあえず、クラークの婚姻は決まったわ。バズビーテイラー辺境伯家の傍流の家から同じ年頃の子を貰う事にしたの。式は挙げないわ。それはロレシオと一緒ね」
「ロレシオの式も挙げられないんだったよな。王族の子を貰ったことになるから、式を挙げられないんだっけ?」
「ええ、挙げることも出来るけれど、挙げたら色々と面倒ごとが起きるもの。正式に式を挙げてしまったら、ロレシオの子供に王位継承権が発生するわ。それは避けなければならないの。流石に派閥を2分するどころの話では無いもの」
「その考え方もよく解らないんだよな。式くらい挙げてもいいのにとは思うんだけど。何で駄目なのかが今一つ解ってない」
「正式な婚姻という事になり、王族に迎え入れられたと勘違いをすることを防ぐためね。そんな事は解り切っているのに、それでも形式は守らないといけない訳。可哀そうだとは思うけれど、そういう事なのよ」
「勘違いも何も、王族と婚姻をするだけで王位継承権が与えられてたら、無数に王位継承権者が増えることになるんだけど、どう考えてもそれはおかしいだろう?」
「おかしいけれど、それが普通なのよ。大々的に式を挙げて、王族と繋がったのであれば、王が生まれてもおかしくないと思っているのよ」
「そうは言ってもだぞ。職業で王を名乗れる訳でもないのに、どうしてそうなるんだろうな。……職業で王って無いよな?」
「流石に無いわね。それを言ったら、私の統治者だって、ロレシオの征服者だって、王になる可能性のある職業よ。職業で何もかも決まる訳がないじゃない。王になるにはそれだけの能力が必要になるわ。職業は参考程度ね」
「だよな。職業で王が決まっていたら、王族が増えるのが確定するからな。良い職業の王が立ってくれた方が良いのは確かだけど」
「王の職業なんてどうでもいいわね。無意味な職業でも職務が出来れば一緒だもの。内政の底上げをしてくれるような職業なら良いとは思うけれど、流石にそんなに都合よく出てくるわけでもないし、そもそもそういう系統の職業の方が珍しいもの」
「だろうな。普通は内政に関わる職業なんて貰えないというか、その人がなりたい職業も貰えないんだもんな。神様が勝手に決めるんだろう?」
「そうね。でも、ハインリッヒは内政に関する職業を貰えたでしょう? 意図して採ったのかはさておくけれど」
「まあ、内政に役立ってないかって言われたら嘘になるけど、もうちょっと別の職業が欲しかったけどな。今になってもまだそう思うし」
結果、庭師でも良かったんだけど、もうちょっと違う職業でも良かったんじゃないかと思う訳なんだよ。確かに畑の管理とかはありがたいけどな?




