レースを見学に来たぞ、罪深き食べ物が生まれた
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「結構盛大にやったわね。完全にお祭りじゃない。しかも商会が主導でやっているんでしょう? 確認はしてなかったけれど、ここまでやるのね」
「そりゃあな。商会も利益を出さないといけないからな。戦局的に店とか構えて色々とやっているよ。宿屋も飲食店も全部が関係商会で運営させている。何かあった時のための兵士だけがこっちの持ち出しって所かな」
「完全にこのあたりだけ異質だもの。でも、面白いわね。上からも見たけれど、3種類のコースにこれだけの商業施設、完全に遊びに来るだけの施設ね」
「まあ、それを目指して作られたものだからな。ロレシオもクラークもエミリアも驚いてくれたか? 結構色々と準備をしてきたからな。面白いだろう?」
「はい。私も新領地で仕事をして、アルローゼンで仕事をして、領地の事を解ったと思っていましたけど、ここまで大々的に計画して作られた所もあったのだと初めて知りました」
「僕も。ここって15の商会だけで作っているって話だったよね? 他の商会も入って来れるだけの余力はありそうだし、楽しい施設になりそうだ」
「王都にもこんな所はありませんよ。マクラーレン侯爵家は本当に変わっていますね。思い付いてもこんなことをやる事をしないと思います」
「思い付いたのはこっちの兵士長なんだけどな。コースの設計から、この辺りの運営までを一通り任せていたんだ。完全に趣味の物になってしまったけどな」
「流石に私の趣味全開にした訳では無いですけどね。商会にも利益の出る話ですから、積極的に協力してくれましたよ。後は冒険者の食いつきが良いですね。レースをやるのは今日が初めてですけど、それ以前にも既に冒険者が遊びに来ていましたし」
「あら? そんな事になっていたのかしら? 冒険者も耳が早いわね。でも、その位には大々的に宣伝したと言う事なのかしら?」
「そうだな。特に旧アワーバック伯爵領で活動している冒険者と、アルローゼンで活動している冒険者には積極的に広めたからな。冒険者が資金が余っている状態を維持しているんだ。こうやって使う場所を用意してやらないと使わないだろう?」
「そうでしょうね。冒険者がお金を貯め込んでいるのは私も気が付いていました。母上がどうにかしたいとは思っているのも知っていました。ここなら、思い切って使えそうですね」
「でも、これだけの規模だと、他の商会も入りたいでしょうね。この場所に出店するのに、何かしらの条件が必要なのかしら?」
「条件は1つですよ、姫様。レースに参加すること。これが条件になります。なので、今は必死になって車を作っているでしょうね」
「因みにだが、来年からは20台によるレースになる事が既に決まっている。もっと増えるかもしれないが、今は20台、つまり20の商会が参加をしている事になる」
「なるほどね。噂を聞きつけて、この規模の商業施設を見て、参加を打診してきたところが既に5つあると言う事なのね」
「僕でも参加をすると思います。ここまでの規模の商業施設って無いですから。結構な収益になるんじゃないですか?」
「冒険者がどれだけ見に来るのかによっても違いそうですが、わたくしならば、他の領地の商会であっても参加をするメリットがある様に思いますわ」
「冒険者については、連日ほぼ満員状態ですね。ここだと食事や酒に困りませんし、そういう施設も充実しています。ただ、レースの話を聞きつけている所為で、この規模の商業施設でも若干足りていないのが現状でしょう」
「儲けたい商会はもっと金を出して、宿屋や飲食店を充実させに来るだろうな。食料品も安く手に入っているだろうし、砂糖もロズマリーフの雫も香辛料も手に入っている。料理のレシピについても教会で保管をしている。死角は無しだ」
「今回の料理大会も盛り上がったものね。それに今回出てきたカレーは反則だわ。今までも味付けに使っていたけれど、今回のは別格だったわ」
「あれには食欲をそそられましたわね。しかし、あれを痩せるパンに付けて食べるだけでああなるとは思ってもみませんでした」
「あれなら無限に食べられます。しかも食べても太らない。私もあれは料理大会に出してきたのは反則級のものだと思います」
「僕も食べたけど、あのカレーって今までのカレーと違うよね。今までのカレーって何かに香辛料を混ぜたって感じだったけど、あれは水に香辛料を混ぜて、小麦粉でとろみを付けたって言っていたよね。あのとろみが反則だと思うんだよ」
「あれな。確かにあのとろみが無ければ水でカレーを作っただけなんだろうが、とろみが絶妙過ぎたんだ。あれは優勝せざるを得ない」
今回の料理大会も大荒れだったんだよ。カレーは確かに今までもあった。豆カレーや肉カレーなんかが沢山出てきていた。
が、今回のカレーはまあ凄かった。舌にねっとりと絡み付くせいで、美味さが倍増、いやそれ以上に感じてしまった。
そして、痩せるパンを付けて食べるとどれだけ食べても太らないという完成度。これは問題だ。食事に革命が起こったと思っても良い。
痩せるパンはロマンピース準男爵家から輸入をしている訳なんだけど、それ単品でも十分に美味しい。食べたら痩せられる食料なんてあっても良いのかと思うくらいには良いものなんだ。
それに合わせてきただけでも恐ろしいのに、あの食欲をそそられる香りと味。食べるのがまったく苦痛にならない。むしろ食べているとお腹が空いてくる感覚まである。
あれは、今までのカレーとは一線を画していた。確実に進化をしていたんだ。あれは流行らざるを得ない。流行らない訳がない。香りと旨味に舌と鼻と胃袋がやられてしまう。罪深い食べ物を出してきたと思ったぞ。
料理大会も順調に年に2回の開催をしている訳なんだけど、圧倒的に主婦層が強い。料理人とは思考が違うからな。やはり、日々の料理について考えているだけあって、色んなアイディアが出てきている。それは素晴らしい事だ。
このあたりでも、その内そのカレーが食べられるようになるんだろうな。痩せるパンは企業秘密なので、外には出せないらしいが、買っても十分にお釣りが来るんだ。
それがあのカレーとセットで出されたら、もう食べるのを止められない。太らないという言葉がどれだけ魅惑的な言葉なのかは、女性陣が一番わかっていることだろう。
今の時代は痩せている方が良いという事になっているからな。食事制限なんかも厳しいんだ。痩せるための努力は怠らないというのが一般的だ。
それなのに、食べても太らない食事というのは本当にやばい。需要が高くなりすぎる。香辛料の消費がもの凄い事になりそうだ。だって、太らないのであれば、皆が食べるだろう? 美味いものは太って当然なのだが、そのルールを破壊している。
これで甘かったらやばい。需要に供給が追いつかなかっただろう。甘いものは特に女性に人気だ。そして甘いものは太るのだ。女性に人気だが、女性の敵でもある。
今後に期待だな。料理大会もやってみてわかったのは、家庭で食べられているものは予想以上に美味しいものだと言う事なんだよ。平民食だからと馬鹿には出来ない。貴族の方が美味しいものを食べていると言う常識は無いという事なんだよ。
まあ、今日は料理大会の事を話すために集まっている訳では無いんだけどな。ここに来たのはレースを見に来たのだ。
推しの商会が勝つところを見に来たんだよ。でも、小腹が空いたから、何か食べた方が良いんだろうけど。応援には食事が必要だ。
どの飲食店が当たりなんだろうか。ハズレはないと思うけどな。料理大会のレシピも準決勝まで来たら公開しているんだし、飲食店もその辺は勉強しているだろう。




