お姫様がやってくるんです
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「それで、お姫様がやってくるわけだ。今日中に到着するのか? 早馬が到着したという事はそういう事なんだろう?」
「ええ、そうね。思ったよりもゆっくりだったけれど、漸く到着ね。歓迎の席も用意するから、色々と大変だろうけれどその辺は抜かりはないわ。既に準備はしてあるもの。大々的に歓迎をしてあげないといけないわね」
「そうか。ロレシオの1つ下なんだよな。学校ではいい感じだったらしいけど。それで? なんて名前の子が来るんだ?」
「名前はエミリア=ハースベックよ。歳は今年で13歳。王族の直系の4女という事らしいけど、大切に育てられていたらしいから、ちょっと心配しているのよね」
「ん? ラウレーリンが心配なんて珍しいな。大切に育てられていたのであれば、いいんじゃないのか? 詳しくは解らないけど」
「性格は問題にしていないの。その辺はロレシオからも聞いているし、付いて行かせた者たちからも評判を聞いているからある程度は解っているの。問題は執務の方よ。ちゃんと内政を行えるのか。もっといえば、書類仕事が出来るのかどうかね」
「あー。書類か。書類は強いからな。俺も未だに考えることはあるし、難しい事に関しては、ラウレーリンに任せているからな」
「そうでしょう? 平民であったハインリッヒでもある程度の事は出来ているのよ。王族であれば、それ以上を求めても良いとは思うのだけれど」
「大切に育てられた分、そういった執務関係の事を何もしてきていないんじゃないかって事か? 流石にある程度の事は出来るんじゃないか?」
「ある程度の事は出来て貰わないと、ロレシオが可哀そうだもの。少なくともハインリッヒよりは仕事が出来てくれないと、内政が回らない可能性があるもの。今は状況が大きく変わっているもの。ハインリッヒと同じ技量じゃ駄目ね」
「そりゃあ、なあ。俺が貴族になった時に比べたら、領地がもの凄く増えているからな。こんなに必要なのかってくらいには増えてしまったし」
「必要なのは当然の事なのよ。当然の事なのだけれど、急に増えすぎたというのが一番の問題点ね。ロレシオがいきなり大きな仕事をやらないといけなくなったのだもの」
「クラークにもやらせているけどな。ロレシオはそこまでおかしな事をやらなかったし、上出来じゃないのか?」
「減点ではないけれど、加点も出来ていないのが現状よ。減点にならなかった事実だけをもって、成果とするのは少し違うわね」
「厳しいなあ。解らないでも無いけど、新領地に関しては仕方がないだろう? まだ魔境の冒険爵を貰える魔物の調査も全部終わってないんだから」
「そうね。逆に言えば、ちゃんと音頭を取って動いていたら、終わっていた可能性もあるの。そこが出来なかったことで、加点にならないのよ」
「かといってクラークが終わらせても、続きでやったから加点にもならないと。順当であれば、そろそろ終わるはずだもんな」
「そうね。そろそろ終わって貰わないと困るのよ。最低でも鉱山と、グランドドラゴンの魔境は動かしていきたいもの。兵士をまだまだ募集するんでしょう? それに向こうでも募集をするのだもの。装備の統一は必要よ」
「せめて地竜魔銀製の武器防具で揃えたいよな。できれば、ヴェノムスパイダーも居てくれると助かるんだけど。それ以外って言うと、なかなか難しい所があるからな」
「ええ、知っている魔物であれば良いのだけれど、知らない魔物もいる可能性があるの。それを纏め上げて何処に重点的に冒険者を配置するのかも考えないといけない」
「それをお姫様が出来るのかって所だよなあ。出来ると思っているしかないとは思うんだけど。ある程度は文官が仕事をするんだし」
お姫様がやってくる。それはいいんだ。ラウレーリンが準備をもの凄くしていたからな。受け入れる準備は出来ている。受け入れた後の話なんだけど、内政が出来るのかが疑問なんだそうだ。教育を受けているとは思うんだけどな。
王族だからって内政をしないでも良いって訳では無いはずだし。むしろ積極的にやらないといけないのではないかとも思っているんだけど、違うんだろうか?
王領って公爵領よりも広いんだぞ? そりゃあ文官を育成する学校があるから、他よりも質の良い文官を揃えられるってのは解る。だから資料を作るのは文官の仕事なんだろうけど、判断をするのは王族の筈なんだけどな。
まったく仕事に関わってこなかったって訳でもないと思うんだよ。多少の教育は受けている筈だし、もしかしたら、実務的な教育も受けているかもしれない。
少なくとも、俺よりは使えるであろうと思っているんだけど。これでも10年以上は書類仕事をしてきているから、直ぐに抜かされるって事にはならないとは思うけどな。
出来てくれないと、困るのはロレシオになるんだ。ロレシオがラウレーリン以上に書類仕事が出来るのであれば良いのかもしれないけど。
そう考えるのは難しいと思うぞ。ラウレーリンも20年近く書類仕事をしてきている訳なんだから。それを易々とは超えられない。
特に侯爵家になったばかりのマクラーレン侯爵家だ。人材が足りない。圧倒的に足りていないのだ。それを1人でカバーするのは不可能だろうと思う。
簡単な仕事は減ったが、難しい仕事が増えたからな。特に新領地の内政が全然追いついていないんだよ。足りているのは食料品だけだからな。
それでも食料品が足りているのは朗報だよな。農家系統の職業を積極的に使っているからこそのこの現状だ。それ以外の職業についても、必要な数は居るんだろうが、まだまだという感じなんだよ。特に研究に使えるだけの人材が居ない。
研究に使える人材が居ないというのは、なかなかに問題なんだよな。マクラーレン侯爵家が大きくなってきたのは、その研究の成果でもあるからだ。
パッシブスキルの可能性と、錬金術。これらをどうにかして研究し続けないといけないと思うんだけど、それをするにしても、人口が余ってこないと難しい。
例えば鍛冶師も、研究用に欲しいとなると、10人は欲しい訳なんだ。スキルは全部で10個ある訳なんだから、10人居れば、1つをレベル30にすることは出来るだろう。それからどうやって知識を吸い取るのか、なんだよな。
俺も持っているから解るんだけど、植物知識は、植物の知識を得られるが、見たもの、名前の解るものについては簡単に見つけられるんだけど、それ以外を探すとなると難しい。
特定の用途の植物を探し出してくれと言われても、解らないんだよ。無数にある植物の中から選んでちょっと資料を見るって感じでしか探せないんだよな。名前が解れば簡単に調べられるんだけど、知らない植物の名前を知っているわけがない。
だから、その年代に1人は欲しい訳なんだよ。知識だけの集団を準備して、年代ごとにその人材を確保することを目指していった方が良い。
だが、それをするにしても人材が足りない。そんな中でお姫様がやってくる。使える人材であれば良いんだけど、使えない人材なら? ラウレーリンはそれを心配しているんだろうな。ロレシオが忙しくなるだけになるのは防ぎたいのかね?
将来的には、軍部の仕事もロレシオがやる事にはなると思うんだよ。お姫様に何をさせるのかは難しい問題ではあるんだけど。
秘密の多い家だからな。根幹部分をやらせるのかって疑問はあるだろう。俺はやらせても良いとは思うけどな。王族に漏らしてもらっても構わないと思っている。
特にポーションの事については、王族に多少の事が漏れても構わんだろう。売り先が王族から他派閥の貴族家になるだけだからな。




