車は出来たんだが
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「こいつは凄いですね。また良いものを見つけて来てくれたものです。これはかなり他にも使えると思いますよ。まずは車輪に使う訳なんですけど」
「ゴムの木の樹液はそんなに良いものなのか? まあ、色んな職業の人を巻き込んで作った訳なんだけど、これはピーチモーア準男爵家でも作れると思うか? 人材が居るのかどうかって事もあるんだけど。結構な職業の力を借りただろう?」
「出来るとは思いますよ。この鉄の車を作るのに時間がかかりましたが、これで一先ずは形になったと思いますし」
「後は、これを運転する人の技量次第か。運転方法はそこまで難しい訳では無いが、簡単だという事でもない。しかも今までの御者の経験は全く活かせないからな」
「そこなんですよね。この魔道具の運転は、簡単だと言えばその通りなんですけど、それには前提知識があるのかどうかが問題になりますからね」
「ヘリコプターよりは簡単になったが、こっちの方が事故の可能性は高いからな。向こうは墜落しないと事故にはならないが、こっちは木に突っ込んだり、魔物に突っ込んだりするだろうし。それでも大丈夫なように頑丈にはしたけども」
「そうですね。車の心配よりもぶつかった時の相手が心配でしょう。でも、木にぶつかったら、流石に運転手は大怪我でしょうね。安全装置も付けましたけど、ちゃんと機能するかどうかは解りませんし。事故をしてみないと解らないですよ」
車は完成した。とりあえず、事故を起こさなければ大丈夫だろうという感じに落ち着いては居る。問題は運転手なんだよ。
魔道具だからそこまで難しい訳では無いんだけど、暴走の危険性はある。鉄で出来てるから、魔物でも平気で吹き飛ばすし、人間ならもっとひどい事になる。
なので、街道で使っても良いのかが問題なんだよな。一応は、爆音が鳴る様になっているんだけど。近づいてきたら解る様にしてある。
流石に速度を出さなければ静かなんだけど、速度を出せば出すほどに五月蠅くなる仕様だ。異音がしたら避けてくれることを願うしかないんだよな。
理論上、王都までの道のりが3日程度に短縮されると思う。人身事故を考えなかった場合だけど。その位には車輪に自信があるんだよ。
ゴムの木を使った訳なんだけど、これが凄いんだ。樹液の性質が素晴らしい。形状を記憶するのに柔らかく、反発もちゃんとする。
他の事にも使えそうな素材だ。何に使うのかは、鍛冶師や技術系の人たちが頑張って使ってくれるだろうとは思うんだけど。
とりあえずは、馬車の車輪になると思う。暫くはな。木の車輪でも、ゴムの樹液を巻くことによって、もの凄く揺れが軽減されるからな。画期的だと言ってもいい。
とりあえず、これを量産とは言わないが、作って貰うとしてだ。問題は外側。車の車体に問題があるんだよ。
ウェンリー兵士長曰く、車体の形状で出せる速度が変わるらしい。特に車体の真ん前をガラス張りにしたんだけど、これが真っ直ぐでは駄目らしいんだよな。
初めはガラスも無かったんだけど、速度が出るのであれば、目を開けていられなくなる可能性があったので、ガラスは欲しいだろうという結論に達したのだ。それでもガラスを垂直にすれば、割れる危険性があったため、斜めにしているんだけど。
それが車体全体にも言える事なんだそうだ。最高速度を目指すのであれば、車体の形状を考えないといけないらしい。
空気の流れに逆らうと速度が落ちるとかどうとか言っていたからな。難しい話は解らないが、とりあえず、最高速度に差が出てくるらしいのだ。
十分に早いので、それはそれでいいんじゃないかとは思うんだけど、こういうものは突き詰めた方が良いと言う事なので、突き詰める方針で考えることにしたんだよ。因みに乗れる人数は5人くらいが限界だ。大きくすることも可能なんだが。
とりあえず、魔石1つで1時間くらいは動くので、効率はそこまで悪くない。乗合馬車みたいな大型の車にするのであれば、もっと魔石消費量が増えるんだろうが、乗合馬車と取り替える必要性は無いと思っているからな。
高速移動手段というだけなんだよ。急いで何処かに行きたい場合に使うものである。流行るのかは解らない。けど、死者は出るだろうと予想はしている。
ヘリコプターもそうなんだけど、乗り物が便利になればなるほどに死者の数が増えていきそうなのはなんでなんだろうな。
馬車でも死者は出る。徒歩だと殆ど死者は出ないが、ヘリコプターと車は、事故した時の被害が半端じゃなく大きい。
使用は制限されるべきだろうし、緊急時以外は使わない方が良いんだろうが、結局は利便性に負けて使うんだろうな。
特に商売に関しては、移動速度が重要になってくる場合もあるので、高速移動する商人が出てくるかもしれない。
できれば、安全に使って欲しいんだけど、俺たちも使う時があるかもしれないしな。新領地まで行くのに、60日くらいかかる所を5日以内で走破するだろうからな。
「とりあえず、ピーチモーア準男爵家に許可を取らないといけないな。許可が出なかったら、他の家に売り込みに行くだけなんだけど。馬車も作って貰っているし、車も似たような物だから大丈夫だろうとは思うけどな」
「量産する訳でも無いですしね。量産するのであれば、専門の貴族家が欲しいんでしょうけど、そもそもそんなに需要があるのかも怪しいですし」
「まあな。ヘリコプターの方が需要はあるだろうと思う。貴族家から欲しいと思われるかどうかだろうからな。商人だと、まだ手が出ないだろう?」
「出ないと思いますけどね。結局は乗合馬車で十分って考えになっていると思いますから。それでも、今までの移動速度に比べたら速いんですけど」
「今度のは本気で速いからな。何に使えるのかも解らないくらいに速い。新領地と往復するのに使うくらいになるんじゃないだろうか。事故が怖いけど。倒木なんかがあったら、どうなると思う? そのまま通れると思うか?」
「倒木くらいなら跳ね飛ばすでしょうね。車体が歪むのと、乗っている人が大変な事にはなると思いますけど」
「死ぬ可能性があるもんな。大怪我で済むかどうかだろう。盗賊だった場合は、簡単に振り切れるから、逃げることは可能だとは思うけどさ」
「ガラスが割れるので、その場は酷いことになるとは思いますけどね。これの使い道も考えないといけないんでしょうね。作ってしまったのは私たちですし。作れたのであれば、何に使えるのかを考えないといけないでしょう」
「理論上は、ヘリコプターよりも速いんだよな? 道を走るから、最短距離を進めるヘリコプターよりは到着が遅れるけど」
「そうですね。理論上はってだけです。事故の危険性も考えないといけないので、実際はヘリコプターの3分の1くらいの速さにはなるんでしょうけど。それでも普通の20倍、30倍は速いんで、使い道はあると思うんですけどね」
「今度は使い道を考えないといけないか。何に使えるだろうな。できれば、面白い事に使えると良いんだけど」
娯楽としては、使えなくもない。購入するだけでも娯楽みたいなものだからな。高い買い物になるのは解り切っているんだけど。
需要があるのかどうかなんだよな。ヘリコプターよりも早く出来ていたら、需要は一定数あったのかもしれないけど、移動はヘリコプターで十分だよな。




