妙な商人が入って来たらしい
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「妙な商人が入ってきている? 風貌が変なのか、行動が変なのか、それともまたフランチみたいな薬を売りにきたのか? 何か掴んでいるんだろう?」
「そうですね。報告としては、探し物をしている様に見えたとありました。探し物は、沢山あるので現状は何を探しているのかが解らないという感じらしいです」
「まあ、そうだよな。探すものは多いだろう。ポーションに関しても殆ど探りを入れてこなかったから、マクファウスト侯爵家で止まっている可能性があったんだけど、他の物なら考えられるよな。砂糖か、宝石か、それとも薬か」
「交代で尾行をしているので、その内解るかと思いますが、どうしましょうか? 捕まえてどうにかした方がいいんでしょうか?」
「うーん。……泳がせておいてもいいんじゃないかな。ポーションの秘密をってなっても、そもそも秘密にしてないし。砂糖は見つけられても真似できないだろうし。宝石は場所が違うしな。塩が欲しいのであれば、そもそも堂々としていればいいんだし」
密偵って感じなんだろうけど、商人に紛れ込ませるのは普通だな。商品を探していると言われてしまえばそれまでだしな。
盗めるのであれば、盗んでもらっても構わないんだけどな。問題は薬なんだよ。フランチの様な薬を広められると困るんだよな。
何処から来たのかも問い詰めないといけないし、色々と面倒になる可能性もあるからな。薬関係の動きでは無ければ、基本的には放置したい。
盗まれて困るものは特に無いんだよな。真似できるのであれば、真似してもらっても構わないんだよ。アルローゼンで作っているものは、真似したくてもできないものが多いんだよ。一番真似できるのがポーション関係の事なんだよな。
宝石と塩に関しては、そもそも場所が違うので盗まれるものはない。塩に関しては、派閥の貴族にも例の魔道具の作り方は教えてある。
高効率で塩を精製するのは、一見簡単そうに見えるんだけど、かなり特殊な魔道具が必要になるからな。実物を持っていって色々と調べないと解らないだろう。
宝石を盗むのは、割と簡単だな。失敗作に関しては管理をしていないからな。ゴミと一緒に捨てられている可能性があるから、宝石泥棒は出来る。
まあ、宝石泥棒はそもそもアルローゼンでは不可能なので、ここに居る意味はないんだけどな。旧王領に行かないと解らないんだよ。
でも、密偵だとバレる様な人材を何で寄こしたのかが問題だよな。普通はバレないようにやるはずなんだよ。把握されている時点で駄目だろう。
目立つことに意味があるのか? 本命は他に居るのか? そうだとすると、別の商人を気を付けないと、いや、冒険者の可能性もあるのか。護衛で来ている冒険者も怪しいと見ないといけない。
「その怪しい商人を護衛してきた冒険者の動向はどうなっている? そっちが本命の可能性もあるが、把握しているか?」
「はい。外から入ってきた冒険者なので、監視は付けてあります。……ただ、基本的には飲み食いをしているだけだという事が解っているのと、ポーションを補充できると喜んでいた位でしょうか? 特に怪しい行動は無いと思います」
「冒険者が密偵の可能性は低そうなのか。商人が怪し過ぎるんだよな。囮の様な気もしないでもない。だからと言っていきなりフランチを使うのも違うだろうしな」
「泳がせるんですよね? とりあえずの処置であることは解っていますが。何を狙っているのだと思いますか?」
「全くわからない。時期的には砂糖か宝石の気がしないでも無いんだよな。そもそもだが、塩に関しては今さらだろう? それにどう考えても沿岸部に行くだろうさ。ここに塩は無いんだから。だから沿岸部に土地を貰ったわけだし」
「そうですよね。塩の販売経路的にここを通るのは当然なのですが、ここで塩を作っている訳ではありませんし、そもそもマクファウスト子爵家が沿岸部を貰ったのは周知の事実です」
「だよな。だから砂糖か宝石だと思うんだけど、宝石も結局は売っている場所が旧王領になるだろう? 半分以上こっちに来てから売られているのは確かだが」
「なんだかんだと言いつつ、ラウレーリン様が実物を見ますからね。自分が欲しいものを探しているだけなんですけど、周りからはここから宝石が売られているように見えるのかもしれません」
「その可能性はあり得るんだよな。宝石狙いで来ても、結局は鉱山も何もないから、侵入も出来ないし、盗むことも出来ないんだけど。まあ、失敗作の宝石をゴミに捨てているのであれば、ゴミを漁れば宝石が出てくる可能性はあるけどな」
「いえ、その辺は厳重に管理をしているはずです。使わなくなった宝石は鍛冶師がちゃんと処分している筈なので」
「あ、そうなっているのか。てことは、宝石も盗まれる心配はないと。後は、現地価格の砂糖を買い付けにきた商人って話になるんだけど、な?」
「そうでしょうね。ミッチェルハーロウ公爵家で同じことをやる方が普通に集まるでしょう。わざわざマクファウスト子爵家に来る理由がありません」
「だよな。栽培している作物にしても、砂糖を直接買い付けるにしても、ミッチェルハーロウ公爵家の方が沢山作っているんだから、そっちを調べるよな」
「向こうは既に調べた後で、無理だったからこちらにきたという線もありますが、もう少し密偵の人選があるでしょうね。あれでは怪しんでくれといっているようなものです」
「どう考えても動きが囮だよな。本命らしき冒険者が動いていないんだから、別の商人が動いているんだろうか。その商人と同じ時期にやってきた商人はいないのか?」
「いますが、こちらはアルローゼンに拠点を置く商人ですので違うかと思います。内通されていたら解りませんけど、商人には生産過程なんかは通知していませんからね。知っている商人の方が少ないのではないですか?」
「メールベールについて知っているのは文官と農家系統の人くらいなんだよな。しかも他の貴族が育てられるかといったら無理だろうし」
「とりあえず、監視を続けます。兵士の警戒レベルを上げるようには通達をしてまいります。それでよろしいですよね?」
「ああ、それでいい。現物を盗まれても別に構わないが、一応盗みは犯罪だからな。処罰はきちんと受けて貰おう」
普通、密偵ってバレる様な密偵を使うのかって話だよな。バレないようにやるんじゃないのか? その辺りは詳しい訳ではないけど、バレたら終わりの業界の筈なんだけどな。密偵が居るか居ないかなんて解らないのが普通なんだよ。
今回みたいに解りやすいのが来たら、どうするよってなるよな。バレているけど、どうしますかってなるよな。どうにもならない様な気もするんだけど、とりあえず何が目的なのかを調べない事には意味が無いし。
そして、そもそもなんだけど、そういう人だという可能性もある。怪しい人に見えるが、実はそれが普通の人だったって可能性も無きにしも非ずなんだよ。単純に緊張しているだけの商人だったりするかもしれない。商人には向いていないが。
なんにしても、泳がしてみるのが一番だろう。目的が何なのかは知らないが、読みとしては宝石か砂糖だろうと思う。
何方も盗めるものじゃないし、問題ない様な気もするが、そもそも本当にそれが目的なのかも解らない。
監視対象というのは、ずっと見ていないと意味がないんだよ。他の貴族家だとは思うけど、本当に何が狙いなんだろうか。
他国って線はあり得ないから考えなくてもいい。ここは隣国に近いといっても、比較的というだけだからな。そもそも辺境伯家を調べるだろうし。




