あまりにも出来すぎている
OFUSE始めました。
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「いや、この間から絶妙に話が逸れていっているけど、ダルバダラゴーナ公爵家がなんで移民を出しているんだって話だよ。それ解決してないから。まだ未解決の問題だから。その原因ってなんだって話をしたい訳なんだよ」
「はあ。別に構いませんが、解らないってのが解決じゃなかったんですか? 結局、何の職業を集めているのかっていうのはラウレーリン様も解らないって話だったではないですか。それ以上に何かを求めていらっしゃるので?」
「ああ、求めている。問題は職業を集めているって所もそうなんだけど、移民を出しているって所なんだ。そっちに注目して欲しい」
「移民を出している? それは移民になるくらいに人口が増えているからでしょう? それ以外に理由が見当たらないと思うんですが?」
「そう! 人口が増えているからなんだ。移民が出るくらいに。確か辺境伯家が大開拓に失敗しているのが要因だっただろう? 50年くらい失敗していると。そして、移民が30年くらい前から増えてきていると。繋がるだろう?」
「まあ、繋がりますけど。20年も経てば確職をしてくる人も増えるでしょうし、人口も増えるのが当然なのでは?」
「いや、50年前までは移民を送り出していなかった。そして、移民を送り込み始めたのが30年ほど前だ。20年間の空白があるだろう? そこがポイントだ。つまり、20年後に人口が余り過ぎた。その空白期間に産まれた子供が多いと言う事になるだろう?」
「そうですね。大開拓を止めたのであれば、50年前から人口が余り出して王領に移民を送り込んでいなければならないでしょうね。20年前から人口が突如増え始めた事になります。そう考えないと辻褄があいませんからね」
「だろう? つまりは、何かを急激に推し進めないと、人口が増えるって事にはならないはずなんだよ。具体的に言えば、50年前の失敗の時に何かしら方針を転換していないと説明がつかない」
「それは、そうでしょうね。50年前の失敗以来開拓をしていないという話ですし、そこで何かの方針を変えたと言う事ですか?」
「そうだ。それが人口増加と結びついていないのかという事なんだ。主要産業が変わった訳でもない。なのに人口が増えるようになっている。これはおかしくないか? 主要産業が変わって、その職業の人たちが大量に必要になったのであれば解る。だが、事実はどうだ?」
「主要産業は変わっていませんね。それでは職業を集める必要は無いでしょう。……確かにおかしいですね。その頃から人口が増えてますし」
「ああ、おかしい。人口を増やすにしても、理由が無い。大開拓に向かわせるのであれば、50年も止まっているはずがないんだ」
「動いていないとおかしいと言いますか、職業を集め始めたって噂もおかしいです。辻褄が合わなくなってきましたね」
そう、おかしいのだ。50年間も大魔境の開拓を止めている。なのに30年前くらいから人口が増えて溢れ始めている。普通なら人口を減らす方向に向かわせる筈だ。
それか維持し続けるのかだな。維持し続けるのであれば、50年前から放出していないとおかしい。急激に増えて、王領に人を流しているように見える。が、それは急激に増やして王領に流しているの間違いなのではないかという事だ。
「ですが、職業を集めているという噂は本物です。職業を集めていないと、そもそも噂になる事もありませんし、事実集めているのだと思いますよ?」
「ああ、職業を集めているのは本当だろう。だが、何の職業を集めているのか解らない。そうだったな? じゃあ、複数の系統を同時に集めているのであれば、どうだ?」
「複数の系統……。それはつまり、大工系統と鍛冶師系統、魔法使い系統の様な3種類、いや、それ以上の系統を集めているから実際に何を集めているのかが解らないと、そういう事ですか?」
「そうだ。噂で流れている以上、何かを集めているんだろうが、多すぎて絞り込めない。だから解らないというだけで、実際は複数の系統を同時に集めているのであれば、説明がつくだろう? 雑多に見えるものを整理したら何種類かの系統が見えてくるはずだ」
「しかしですよ? 集めてどうするのですか? 言っては何ですが、複数の職業の系統を集めているからと言って、何かしている風には……見えないとおかしいですか」
「そうだ。明らかに何かしていないとおかしいんだ。しかし、実体としては何もしていないように見える。人口が増えて、余剰を王領に流しているだけに見える」
「事実は、人口を増やして、特定の職業を集めて何かをしている。けれども、何かをしているようには見えない、ですか。これは思った以上に厄介かもしれませんね」
「だろう? 厄介だと思うんだよ。それでだ、一番初めに思い付いたのは、王領で集めている職業があるんじゃないかって事なんだよ。何か知らないか?」
「王領で集めている職業は解りますよ。鍛冶師系統と錬金術師系統を集めていますから。そこは解っているところです」
「ん? そうなのか? 鍛冶師系統と錬金術師系統を集めているのか……。理由は解るのか? 理由もなくその系統を集めようとはしないだろう?」
「理由は簡単ですよ。通貨を作っているからです。鍛冶師系統のスキルで通貨を作り、錬金術師系統のスキルで魔力ポーションを作り、鍛冶師系統が更にスキルを使用するという循環を作り出しているんです。通貨が一定以上作られるように」
「しかもその系統を排出した家庭には報奨金もでますよ。これも結構有名な話でもあるんですけど、50年分くらいのお金が貰えるそうです。だから平民は一攫千金を狙って子供を作るんですよ」
「……なあ、それはダルバダラゴーナ公爵家が奴隷としてその系統を売り込んでいないか? 確か鉱山が主要産業だったよな。当然だが、鉱山の採取物は王領に売れるよな。通貨を作らないといけないんだから、必ず売れる商品だよな?」
「……そう、ですね。ええ、もしも奴隷として売るのであれば確かに。50年分の収入が貰えて、それを家族には30年分渡せばある程度の納得は出来るでしょうね」
「ああ、20年分のお金が何もせずに入ってくるわけだ。そして、鉱山の収入も上がる事になるよな。職業が増えているんだから、冒険者も増えるだろう」
「ポーションが少なくても、冒険者が多いのであれば、鉱山は潤うでしょうね。いや、冒険者がそもそもリスクのある職ですから、冒険者が居れば居るだけ産業が潤うでしょうね」
「だろう? だがそれだけだと噂が広がるはずだよな。王領と同じ感じで。それだけじゃないと思うんだよ。もっと色んな系統の職業を集めていないと噂で系統が解るはずなんだよ。それが解らない。解らないという事は、どういう事なんだろうな」
「……もし、もしもですが、奴隷にしているというのであれば、魔道具師系統も集めている事になりますね。でもそれだけだと噂になる。足がつかない奴隷を集めるのであれば、多くの系統の奴隷を使うのであれば、……まさか」
「ああ、俺も気になったことがあるんだ。突如起こった戦争。その中には少なくない奴隷が居たという話を聞いている。向こうの国家と同数くらいの奴隷が居たと」
「開戦するくらいですから、奴隷をかき集めたんでしょうね。……その奴隷と同数程度の奴隷が居る。これは気が付いても良かったことなんでしょうか?」
「……解らん。鉱山冒険者をやらないが、冒険者になれる職業の系統は沢山だ。それらを全部、奴隷として売っていたとすれば、どうする? 具体的に言えば、今回の戦争が起きた原因の公爵家派閥の辺境伯家に売っていたとするなら、どうする?」
「30年程度であれば、前線に立っていることも可能でしょうね。我らの派閥を出汁にして、戦争を誘発させたという責任だけを押し付けようとした?」
「最悪、その派閥と組んでいたという事にならないか? 今はミッチェルハーロウ公爵派閥が幅を利かせている。いや、50年前からトップ派閥だっただろう?」
それが思いっきり前に出てきたから、準備していた戦争を始めたのではないか。可能性は0ではない。あくまでも可能性の話だが。出来すぎていないだろうか。




