塩の使い道を考える
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「よくもまあ、それだけの効率化に成功したわね。予想を軽く超えてしまったわ。魔道具の実物と設計図はミッチェルハーロウ公爵家に送って来たのよね? それだと後は商人を作らないといけないんだけど、準備していたよりも沢山用意しないといけないわね」
「思い付いたのが良すぎたんだ。思った以上の成果になったのは俺もそう思ってる。問題はどうやって運ぶのかだよな。運搬するにしても色々とあるだろ?」
「そうね。最低でも60の商家が欲しいわ。欲を言えば200くらい欲しい所ね。各地に塩をばら撒く訳なんだけれど、販路が無いのが問題ね。ミッチェルハーロウ公爵派閥の販路は派閥内の貴族が行っているもの。それを横取りするのは不味いわ」
「他国に売るのはどうだ? 思いっきり安値で売り込んでやれば、向こうの塩を生産している貴族家にダメージが入るだろう?」
「そうするのが一番平和的ね。それと、塩の使い道も考えないといけないわ。売るばかりじゃなくて使う方も考えないとね。何か無いかしら?」
「何かないかって言ってもな。保存食を作るのが精一杯だぞ? 干し肉じゃなくて塩漬け肉にしてしまうかだよな。後は肉醤かなあ。あれも作り方が特殊だから研究はしないといけないけど」
「肉醤? そんなものがあるの? 聞いたことがないものなのだけど、保存食なの? 大体の作り方でもいいから、教えてくれるかしら?」
「良いけど、動物の内臓を塩で漬けるんだよ。そうすると液体が出てきて、そこに更に塩と肉を追加して漬けるんだけど、そうすると肉が長持ちするんだよな。干し肉にも塩は使うけど、こっちはもっと使う。大量に使うと言っても良い」
「そうなのね。それが肉醤なのね」
「いや、肉醤はその液体の方だな。調味料になるんだよ。簡単にしか作り方は知らないけど、肉を大量に保存するのであれば、作っておいてもいいかなって感じのものかな。肉醤を使った料理ってのも美味しいらしいし」
肉醤。昔は作っていたこともあるものなんだよ。今の時代には作られているのを聞いたことがないんだけどな。まあ、面倒だし塩を大量に使うからな。
なんか、内臓を漬けないといけないらしいんだよ。詳しくは知らないから何とも言えないんだけど、失敗すると腐るだけなんだよな。
干し肉よりも面倒なんだが、肉醤は良い値段で取引されるほどには万能調味料なんだよ。昔は肉も良い値段がしたから、沢山持っているって訳にもいかなかったんだけどな。
今は塩も肉も沢山ある。基本的に内臓は食べないし、捨てるくらいなら肉醤にしてしまった方がお得感がある。
料理人は欲しいんじゃないかな? 新しい調味料なんだから。俺は肉を焼くときに浸けると美味しいと聞いたことがある程度だ。料理は出来ないからな。
因みに、肉醤を作る際に使った肉だが、食べられはする。洗って食べないと死ぬらしいが。塩って食べ過ぎると死ぬんだよ。食べないでも死ぬんだけど。
まあ、内臓を食べる習慣は無いみたいだし、別に良いんだけどな。内臓は美味しい部位は美味しいんだが、好みは分かれるよな。ちゃんと洗わないと汚いからさ。魔物だって動物だって何かを食べて生きているのは変わりないんだし。
「とにかく試してみる価値はあるわね。大量の塩が手に入る訳だし、肉醤を作って売り出してもいいわ。扱う商人を増やさないといけないけれど」
「問題はそこだよなあ。商人が少ないってのがマクファウスト子爵家だからな。今後の事も考えて、多めに作る訳にはいかないのか?」
「多めに作るにしても、人手が足りないわね。また移民を受け入れるべきかしら? 少なくとも向こうの村を拠点にする商人も欲しいもの。受け入れる作業はこちらでも進めておくわね。それにしても、色々と仕事が増えてばかりね」
「大きくなるんだから仕方が無いんじゃないかな。まあ、飛び地が貰えるとも思っていなかったしな。その辺はあるんだろうけど」
「そうね。でも代官も置いたのだもの。しっかりと仕事をしてもらわないと困るわね。周辺の村や町に塩を卸すのも代官の仕事だから。無能は送り込んだつもりは無いのだけれど」
「塩を扱っている時点で、かなりの重要拠点なんだけどな。代官が解ってない事は無いとは思うけど、生産量を消費するのはかなり難しいんだよな」
「全部稼働させようと思っているから難しいだけよ。必要以上に作らなければ良いだけの話だもの。塩は基本的には無いと困るんだから、備蓄しておくのも良いしね」
「塩が駄目になる事ってまず無いからな。だから保存食なんかに使われている訳だし。それに、大量の軍隊を動かした今だから、塩の需要は高いと思うんだよな。なんだかんだ言っても、軍を動かすと戦略物資は減るしさ」
「そうね。今はある程度売れるでしょうね。最終的には他国に売りに行くのが良いのかしらね。塩の供給を握っている方が強いもの」
「絶対に他国に頼ったら駄目な部分だからな。魔石もそうだけど、他国に頼ったら駄目な生産品ってあるんだよな。塩なんて特にそうだろ」
「だから他国に売るのよね。利益度外視で売り込みに行くけれど、それでも利益が出そうなのよね。税金がまた貯まっていくわね」
「無いよりは良いんじゃない? 使い道が無いのも困りどころなんだけど、昔の人がしっかりと内政をしていたおかげだからさ。感謝をしつつ、維持管理していくのが良いんじゃないかと思うんだよ。道路なんかは特にだよね」
「道は全ての基本だもの。移動の際に使わないといけないものだから、しっかりと整備をしないといけないのは当然なのよ。その当然が出来ない貴族家もある訳だけれど」
「それは馬車移動でよく解っているつもりだよ。道中の移動速度が違うんだよね。石畳は費用はかかるけど、維持していかないといけないものだってのはよく解ったよ」
馬車で移動するときは、石畳じゃないと移動速度が違うんだよな。特に道路に金を使っていない貴族家は本当にどうにかした方が良いと思うんだよ。あれじゃあ移動に時間がかかり過ぎると思うんだよね。それはよろしくないだろう?
内政は性格が出てしまう所でもあると思う。軍事に偏っていても、軍隊の移動には道が必要と言って道路を整備する貴族も居るんだよな。ラウレーリンから聞いた話によると。
道路は絶対に使うものなんだから、整備は当然というのがマクファウスト侯爵家の常識だったらしいんだけど。絶対に使うんだから、金をかける。当然の様に聞こえるんだけどな。
それでも道路整備をしない貴族家もあるんだから、どうしたものかなんだよな。下級貴族なら、金がないから出来ないってのは解らないでもないんだよ。主要産業の結果、費用が無いのであれば仕方がない部分でもあるからな。
金に余裕のある貴族家でもやっていない所があるんだよな。伯爵家や侯爵家は余裕があると思うんだが。少しずつでも終わらせていけばいいはずなのに。
それに、石畳が使えなくなることってそうそうないからな。補修費用なんて殆どないと思うんだよ。費用も軍隊を動かせば良いんだから、簡単に終わるし。
だから、ケスラシュミット準男爵家の馬の要らない馬車を運用するのは難しいんだよな。道路の整備が終わってないと使いにくいと思うんだよ。普通の馬車ですら使いにくいんだから、余計に使いにくい気がするんだよな。
空を自由に飛べるのであれば別なんだろうが。鳥のように空を飛べればなあ。道なんて関係ないんだけど、そんな訳にもいかないからな。
塩の販路は結局他国なんだろうなあ。国内の塩づくりをしている貴族家を潰すわけにもいかないし。他派閥だからって容赦なくやって良いものではない。
考えて動かないと、色んなところに敵を作る事になるからな。それは避けたいと思う。敵対してしまう事もあるだろうが、出来る限り敵対しない様にな。




