効率化は出来るんだが
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「試作品6号機は駄目ですね。効率化を進めましたが、それでも魔石の消費量を考えると5号機の方が良かったですし、そもそも小型化は間違っているような気がします」
「今の所、試作品3号機が一番良かったのかと。生産効率が3倍になって、魔石の消費量が3倍になったものですね。ですが、価格的にはどうしても高くなってしまいます」
「判断が難しいな。どう考えても今の案じゃあ駄目だと言う事なんだろうな。何かを根本的に変えないと駄目なんだろうと思う。それがなんなのかが問題な訳なんだが」
現在、試作品を作っては性能を試すという工程に移っている。長丁場になる事は確定しているし、とりあえず作ってみない事には始まらないと言う事でこうなっている。基本的に口を出すだけなんだが、出せる口が少ないのもどうかと思うんだよな。
それに、着手しているのは塩だけではない。ポーション作りも並行して行っている訳で。そっちはポーションを作る職人と場所と素材さえあれば事足りるので何とでもなるんだけどな。
ポーションの方は順調に稼働をしているんだよ。この村にだって冒険者は居るんだから、ポーションは大変ありがたいと思われている。
ただまあ、村の冒険者が誰も海に近づこうとしないのが不思議だったんだけどな。その答えも直ぐに解った訳なんだけど。
海に近づくと魔物が襲ってくるんだよな。それも大軍で。フライフィッシュというらしいんだけど、そいつらが20も30も空を飛んでくるんだよ。実際に襲われてみてわかったことなんだけど、まあ危ないってものじゃない。
直撃したら骨折するくらいの事は平気で起きるし、最悪死ぬ。盾で守れば良いじゃないかとは思わないでもないんだけど、生半可な力では押し負けるんだよな。
ただ、襲ってきた後の対処は簡単だ。魚だからな。陸では泳げない。止めを差すだけでいいんだ。だから楽だと思うだろう? 止めを差している間にも飛んでくるんだよな。盾職がいれば、安定して稼げると思ったのは俺だけではないはずだ。
なので、兵士には魚狩りをしてもらっているぞ。勿論だが冒険者も雇っている。初級冒険者であれば、何とか対処が出来るからな。初心者冒険者では荷が重い。
そんな訳で冒険者を指導しつつ、兵士も訓練ついでに魚を狩っているんだが、これがまあ美味いんだよな。魚がこんなに美味いとは思わなかった。
塩で焼いただけなんだけど、美味い。肉とはまた違った味わいがあるんだけど、初めて食べたが本当に美味しいんだよ。
小骨が多いのがちょっと面倒なんだけどな。魔物の骨って大きいものが殆どなんだけど、魚の骨は細いし細かい。初めての食事は美味いが痛いという感じだった。
そして、海の魔物に関しては、王国からの補助が出ない。沿岸部に国がある事から解る様に、職業が配られる原因になった魔物の大氾濫には海からの魔物は含まれていないからだ。
そりゃあ、陸に上がったら無力な魚が主体なんだから、大氾濫が無いのと変わらないだろうさ。けれど、海も魔境の1つなんだよ。資源としては美味しい資源なんだ。冒険者に狩らせるのも良いと思うんだよな。魚も美味しいし。
なので、子爵家の持ち出しで魚の魔物の討伐依頼を出すことにした。冒険者次第では楽に稼げるようになるはずなんだよ。
定期的に冒険者ギルドに金を入れないといけないのは仕方がない。その位の費用は出しても良いと思うんだよな。今後の為にも頑張って欲しい。
因みにだが、この村にはポーションがあると言う事で、冒険者が集まりだしている。既に他2つの村でも素材を栽培し、ポーションを作らせているんだけど、冒険者が集まってきているんだよな。何処から噂を聞いてきたのかは知らないが。
町や都市と違って、冒険者の受け入れ人数には限界があるんだよな。村で作っている食料以上には冒険者を受け入れられないんだ。
宿も無いし、色々と足りないんだよな。空いている敷地は畑になっていることが多いし、このまま行けば冒険者が溢れてしまう可能性もある。
それは何ともならないから、冒険者ギルドにお任せしておいた。商業ギルドも兼ねているからな。ポーションの横流しを容認したんだよ。
冒険者がポーションを求めてやってくることは仕方がない。皆欲しいのは当然の事なんだよ。だから、作った分を外に売り出す許可を与えたんだよ。
王領内だけって縛りはつけたけどな。王領内ならまだ大丈夫だ。周りの公爵家に喧嘩を売る様な事をしないでくれと言う事なんだよ。王領の周りは、公爵家5つが取り囲んでいるからな。ミッチェルハーロウ公爵家もその1つだ。
冒険者の移動にも慣れて貰わないと困るんだよな。移動のし過ぎも困るんだけど、どうにかするだろうと思う。冒険者ギルドに任せておけば悪いようにはならないはずだ。
さて、塩を作る魔道具の開発の話に戻そうか。魔道具作りは難航している。効率化が出来ない訳ではない。むしろ出来るんだけど、魔石の消費量が増えるんだよ。
魔石が余っているんだから良いんじゃないかとも思うんだけど、魔石にだってお金は生じている。ならば価格も上げざるを得ないと言う事なんだよ。
許容範囲内であれば、損害を被る事も有りだとは思うんだけど、ラウレーリンが許してくれるかどうかなんだよな。俺は許すんだけど。
少なくとも効率は5倍、魔石の消費量が2倍程度まで落ち着けないといけないと思うんだよな。その辺が妥協ラインだと思う。
期待されている以上は、期待に答えないといけない。魔道具師の協力も取り付けているんだから、しっかりとやっていかないといけないんだけど、これが中々に難しい。思ったようにはならないって事なんだよな。
「どうあがいても効率を上げると、魔石の消費量が増えるんだよなあ。という事は、こっちからのアプローチは駄目だと言う事なんだろうが、他の方法が解らない」
「結局、時間をかける方が安価ですし、それを大量に作るしか無いんでしょうか。そんなことは無いと思うんですけど、案があるのかって言われると無いんですよね」
「劇的に変える必要があるんだろうな。ここだけ変えるとか、ちょっとだけ変えるってのは、確かに効率は上がるんだけど、その分魔石の消費量も増えてしまう」
「いっその事、1から設計し直すか? って言っても前提知識が同じなら、同じものが出来るのが世の常か。劇的に変えるのであれば、何か発想が欲しい」
悩ましい。本当に悩ましいな。自分の発想力の無さを痛感している。これで6度目。既に1か月は過ぎてしまっている。なのに結果は芳しくないどころか、成果が全く上がっていないと言えてしまう始末である。何か、根本から見直さないといけないんだけど。
「皆さん、根を詰め過ぎですよ。ここは暖かいものでも飲んでゆっくりしてみるのはどうですか? 良いコーヒー豆が手に入ったんですよ。この辺の特産品でもあるんですけど、中々に良いものですよ? ちょっと苦い飲み物ですけど」
「……そうだな。とりあえず休憩するか。暑い時期に暖かい飲み物を飲むのも、なんだか微妙な気持ちがするんだけど」
「ですね。冷たい飲み物が欲しいです。最近になって作ったあれがあれば冷たい飲み物も用意できるんですけどね。まだまだ単価が高いですし」
「ブリザードリザードのあれな。あれは会心の出来だったからな。魔石の消費量がもの凄く抑えられて非常に良いものだと思う。貴族様の所では使っていたんでしたか?」
「勿論だ。あれがあるおかげで冷たい飲み物を常備できるようになったんだ。あれは画期的な一品だぞ。昔のものは5分も経たない内に魔石が無くなるとかいうものだったが、今のは1日以上も魔石が持つんだ。あれは素晴らしい」
コーヒーを入れて貰いながら冷たい飲み物について思いを語っていたとき、コーヒーを入れている方法を見て、ふと思い付いたことがある。試してみるか?




